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2023年2月の記事

2023年2月26日 (日)

キャッシュトラック

★★★☆
製作:2021年 米国 上映時間:119分 監督:ガイ・リッチー
 
 派手なタイトルだが、キャッシュトラックとは『現金輸送車』のことである。こう書けばすぐに、現金輸送車を狙う強盗を描くアクション映画だと気付くだろう。また本作の主人公は強盗ではなく、現金輸送者に乗り込んでいる警備員と言うことになる。そとて主役のパトリック・ヒルを演じるのが、無口で強面のジェイソン・ステイサムなのである。
 
 ロサンゼルスにある現金輸送車の武装警備会社「フォーティコ・セキュリティ」で働く警備員は、厳しい採用試験に合格し特殊な訓練を受けた強者ばかりである。しかしながらそんな強力な警備体制を持つフォーティコ・セキュリティでも、一般人まで巻き込まれた大規模な現金輸送車襲撃事件で二名の警備員を失ってしまう。
 その欠員補充のため、採用試験に訪れたのがパトリック・ヒルであった。と言うところから始まるのだが、まずは無口で不愛想ながら超人的な戦闘能力を保持するパトリック・ヒルに驚かされる。まさにジェイソン・ステイサムそのものと言った役柄なのだ。
 はじめはよく分からないパトリック・ヒルの素性がだんだん解明されてゆくのだが、まだ彼がヒーローなのか悪人なのかは判明しないままストーリーが進展してゆく。さて彼が一体何者なのかは、ネタバレになるので本作を観てのお楽しみにしておこう。
 
 中盤までは超人的なパトリック・ヒルのアクションと、その謎に満ちた素性に興味が募ったのだが、彼の正体が分かる頃になるとだんだんボルテージが下がり始めてしまった。それと同時にストーリーバランスも崩れ始めて、あとはなんとなく惰性で観賞したのだが、結局ラストもほぼ想像通りの結末で特に感動もなかった。
 それにしても、米国ではこのような犯罪が日常茶飯事に起こっているのであろうか。その真偽はともかくとして、「米国ならあってもおかしくない」と思えるところが、米国の米国たる所以と言えるだろう。従ってこれが邦画だと笑っちゃうのだが、米国映画だと真剣に観れるんだよね。
 
 
評:蔵研人

 

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2023年2月20日 (月)

ジョン・ウィック:パラベラム

★★★☆
 
製作:2019年 米国 上映時間:131分 監督:チャド・スタエルスキ
 
 キアヌのジョン・ウィックシリーズの三作目だが、話がどんどん大きくなり過ぎてついてゆけない。さらにアクション・アクションの連続で、会話もストーリーも殆ど無風状態なのだ。まさにアクションゲームの実写化と言った趣向と言ってもよいだろう。
 未だかつてないほどもの凄いアクションは、一体どうやって撮影するのだろうか。とにかく呆れるほど凄まじいのだが、何度も観ているうちにだんだん食傷気味になってしまうのは、決して私だけではないはずだ。アクションが売りなのは分かるのだが、もう少しストーリーのほうにも力を入れてもらいたい。
 
 さてジョン・ウィックシリーズは、日本ではさほど人気はないようだが、米国では本作が公開から最初の週で58億円の興行収入を出すほど、かなり人気のシリーズになっているようである。すでに『ジョン・ウィック4』が2023年3月に全米での公開が決定しているが、『ジョン・ウィック5』も検討中だというから、かなりフィーバーしているんだね。それにしても58歳になったキアヌ・リーブス、少しよれよれしているけど必死で頑張っている姿は感動ものだ。
 
評:蔵研人

 

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2023年2月17日 (金)

レプリカズ

★★★☆
 
製作:2017年 米国 上映時間:107分 監督:ジェフリー・ナックマノフ
 
 人間の意識をコンピューターに移植する実験を続ける神経科学者ウィリアム・フォスター(キアヌ・リーヴス)は、嵐の中で運転中に事故に遭遇し、妻と3人の子供たちを失ってしまう。だが家族との未練を断ち切れないウィリアムは、なんと家族のクローンを創り、研究途上の技術を用いてクローンたちに死んだ家族の記憶を移し替えてしまうという恐ろしいお話なのだ。まさにスティーヴン・キング『ペット・セメタリー』のSF版と言った発想なのである。
 
 人間のクローンについては、ヒトの尊厳や神の領域を犯すなど、倫理的にはいろいろな問題を抱えている。ただもし完璧なクローンが創れるとしたら、本物との区別は「記憶の存在」だけではないだろうか。本作ではその記憶もしっかり移植されているのだから、例えレプリカ(複製)であっても、不死の体を手に入れた本物と考えてもよいではないか。ただもし「記憶」だけではなく、「魂」というものが実在するとしたら、その魂こそが本物なのかもしれない。いずれにせよ肉体そのものだけを指して、本物・偽物を論じるのはナンセンスと言うことになるだろう。
 
 ネット評価はかなり厳しいが、僕的にはなかなか面白い映画だった。ただホラーでもヒューマンでもなく、あくまでも「エンターテインメントとして観ること」をお勧めしたい。それにしてもラストが駆け足過ぎて、ジョーンズとゾーイの復活(多分クローン)が、直ぐにピンとこなかった。もう少し丁寧に描けば、ラストで感動も呼び込めたはずだが……多分ご都合主義で雑なラストには、非難の嵐だろうなと思わず想像してしまうのだ。
 
 
評:蔵研人

 

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2023年2月14日 (火)

チョウたちの時間

★★☆
著者:山田正紀
 
 時間の本質とは何なのか、また超時空間なるものは存在するのかを問う、ある意味、哲学的なハードSF小説であった。と書けばかなり格好良いのだが、ぶっちゃけ風呂敷を広げ過ぎて収拾がつかなくなったと言えないこともない。
 
 本作はラノベということで文章は平易なものの、現実世界よりも未知の時空間での描写に終始し過ぎて、かなり難解な理論展開がなされるため、一度読んだくらいでは、なかなか理解出来ないかもしれない。従って「現代を描いた序盤」以外は殆ど理解不能、ストーリーも全く感情移入できず退屈極まりなかった。よくもまあ途中で投げ出さず、最後まで活字を追いかけた自分に拍手・拍手である。
 
 本作のタイトルもそうだが、なぜか時間とチョウを関連付けるようなSF小説や映画が多い。まるでチョウたちが、時間という蜜を探し求めてやって来るかのようである。ダジャレじゃないけれど、チョウには超能力があるのだろうか。
 
評:蔵研人

 

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2023年2月10日 (金)

あした世界が終わるとしても

★★★
製作:2019年 日本 上映時間:93分 監督:櫻木優平
 
 SF系のアニメなのだが、ゲーム風のビジュアルはなかなか美しい。また音楽も悪くはないのだが、最近の劇場アニメ全般に共通した課題として、脚本が安易過ぎてお粗末だったのが残念である。もう少し芯を入れてもらいたかったし、終盤のどんでん返しや盛り上がりにも期待していたのだが……。
 
 パラレルワールドなのだが、二つの同じ世界しか存在しない。またそれぞれの世界の「同じ人間の命がリンク」している、という設定はなかなかユニークではないか。だが片方の世界が、もう一つの世界を征服しようとしている、という発想そのものがもはや小学生レベルなのだ。従ってそのあとの展開も、「仮面ライダー対ショッカー」なみに萎んでしまった。
 
 いつも邦画のSFを観て思うのだが、嘘でもいいからもう少し製作費を投入し、理論的な構成を選択しないと、大人の観客に対して失礼ではないだろうか。まあいずれにせよ、話を大きくすればするほど、時間制限のある劇場用アニメには手に負えなくなることだけは間違いないよね。
 
評:蔵研人

 

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2023年2月 7日 (火)

ジョジョの奇妙な冒険

★★☆
 
製作:2017年 日本 上映時間:118分 監督:三池崇史
 
 最近の邦画は右を向いても左を向いても、マンガのアニメ版と実写版で溢れかえっている。本作も例にもれず、荒木飛呂彦によるマンガ作品の実写化である。それにしてもなぜ邦画界はこれほどまでにマンガに頼らなければやってゆけないのだろうか。それはハリウッド映画のような大市場を持たないため、ある程度マンガで人気を得ていて、映画化してもある程度確実に製作費を回収できる3億円程度の小さな映画に依存しているからであろう。まあそれはそれで許すとしても、せめて話の中身ぐらいはもっと良く練り込んでもらいたいものである。
 
 本作はスタンドと呼ばれる分身を操作できる特殊能力の持ち主たちの戦いを描いているのだが、彼等がどうやってスタンドを身に着けたのか、そもそもなぜスタンドなるものが存在するのかなどの説明が殆どない。一応学園ものなのだが特に青春しているわけでもなし、また神木隆之介の存在意味もはっきりしないまま、やたら退屈な戦闘シーンばかり繰り返されるのだ(ただしミニチュア軍隊だけは良かったね)。つまりぶっちゃけ中身の薄い、仮面ライダー調アクション映画ということになるのだろうか……。
 
 またこの映画の副題が、『ダイヤモンドは砕けない 第一章』となっているので、たぶん続編が予定されているのかもしれない。だが時間と金の無駄だから、もう「これっきり、これっきり、これっきりにして~ちょーだい!」
 
 
評:蔵研人

 

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2023年2月 4日 (土)

ザ・ファブル 殺さない殺し屋

★★★☆
 
製作:2021年 日本 上映時間:131分 監督:江口カン
 
 原作は南勝久の人気コミックだ。それを岡田准一主演で実写映画化した「ザ・ファブル」のシリーズ第2作である。監督は前作に続き江口カンが務めているため、前作の雰囲気をそのまま引き継いでいる。さらに製作費が増えたのか、かなりパワーアップしているではないか。ことに大修繕中の団地で、足場を挟んでのアクションシーンがもの凄いのだ。その息つく暇もないスピード感と、スリル満点の迫力には、きっと誰もが圧倒されてしまうに違いない。まるで外国映画を観ているのかと錯覚するほどの、アクションまたアクションの連続シーンが延々に続くからである。
 
 ただ残念ながら前作ほどの驚きがなかったし、脚本的にもやや物足りなさを感じてしまった。これはシリーズ第二作目以降の宿命であり仕方がないのだが、もしかすると敵役の宇津帆を演じた堤真一がミスキャストだったのかもしれない。どうも彼には『三丁目の夕日』のイメージが、こびりついてしまっているからなのだろうか……。
 それから人が足りないからあんな変なおじさんを連れてきたのに、団地のシーンであれほど大勢の戦闘員を集められたのが矛盾していないだろうか。まあ原作がマンガであり面白い映画だったから、それは許容するにしても、できれば2時間以内に収めて欲しかったね。
 
 
作:蔵研人

 

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2023年2月 1日 (水)

愛しのアイリーン

★★★☆
 
製作:2018年 日本 上映時間:137分 監督:吉田恵輔
 
 原作はあの社会不条理をえぐる『宮本から君へ』の作者・新井英樹の描いた同名漫画だという。道理で過激な描写が多いはずだ、と変に納得してしまうのだが、余りにもやりたい放題で放送禁止用語のオ××コを絶叫し過ぎるよね。漫画ならともかく実写映画では生々しくて下品極まりない。当然観る人を選んでしまうから、興行的にも余り得策ではないと思うのだが……。
 
 パチンコ屋勤務で42歳まで恋愛の経験もなく生真面目だった岩男(安田顕)だったが、失恋の痛手から立ち直れずフィリピン嫁探しツアーに参加する。そしてフィリピン人の嫁アイリーン(ナッツ・シトイ)を連れて実家に帰省するのだが……。なんと実家では父親の葬式の真っ最中だった。驚いた参列者がざわつく中、ライフルを構えた喪服姿の母親ツル(木野花)が怖い形相で現れる。
 
 序盤はややコミカルな展開なのだが、次第にセックス・人身売買・人種差別色が臭ってくる。さらに人種を超えた愛や、母親の狂気の愛などが練り込まれて、ストーリーは混沌とした怪しい流れに染まってゆくのだ。それにしても俳優たちの熱演は想像以上に凄まじかった。ことにさえない中年から眼光鋭い無謀な男へ変身する安田顕の芸達者ぶりと、たとたどしい日本語を操りながらも愛らしいナッツ・シトイの好演には絶大なる拍手を送りたい。
 さらに何と言っても、いつも上品な役柄の多かった木野花の狂気じみた怪演には度肝を抜かれてしまった。僕的な感覚では、彼女の演技力はダントツで、彼女抜きでは本作は成立しなかったのではないか、と勝手に決めつけている。
 
 それにしても凄まじい映画だ、製作費の少ない邦画が踏ん張れるのは、こうした作品だけなのだろうか。おもわず園子温監督の『冷たい熱帯魚』を思い出してしまった……。本来ならもっと高評価点をつけたかったのだが、余りにも下品な描写が多かったのでかなり減点してしまったかもしれない。
 
評:蔵研人

 

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