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2023年1月14日 (土)

罪の声

★★★★
製作:2020年 日本 上映時間:142分 監督:土井裕泰
 
 本作は昭和59年と昭和60年に大阪府と兵庫県を舞台に起きた、江崎グリコや森永製菓などの食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件『グリコ・森永事件』をモチーフとしている。また犯人が「かい人21面相」と名乗ったことから、別名『かい人21面相事件』などとも呼ばれた。本作ではそれを『ギン萬事件』と呼び、犯人は「くらま天狗」と名乗っている。
 
 主演は父親の残したテーラーを営む曽根俊也を演じる星野源と、新聞記者の阿久津英士を演じる小栗旬である。その曽根俊也が自宅の天袋で見つけた手帳とテープから、自分が子供のころに『ギン萬事件』にかかわっていたことを知り、その謎を知るために過去を追いかけることになる。
 またそれと同時に、大日新聞文化部所属の阿久津栄士が、社会部の鳥居に年末企画の取材班に入るよう命令される。その企画とは、35年前に起きた未解決事件の『ギン萬事件』を追うというものであった。すでに時効になった事件であり、何をどう調べてよいか分からないまま取材を続ける阿久津だった。
 
 このように二人がそれぞれ調査をして行くのだが、正直この前半の流れは退屈であった。やっと面白くなるのが、この見ず知らずの二人が知り合って共同調査をし始める後半からであろうか。そして次第に犯人グループと犯行の謎も解明してゆくことになる。
 また本作では犯人と犯行目的の解明のほか、犯罪に利用された子供3人の運命を同時に描いているのだが、こちらのテーマのほうが社会性もあり感動的でもあった。
 
 ここ最近はマンガの実写化ばかりが幅を利かせている邦画の中で、昔の松本清張ばりの社会派映画は非常に珍しいし懐かしい。また主役二人の演技力の確かさに加えて、脇を固めるベテラン陣、そして英国ロケなど久々に映画らしい邦画に巡り合えたことが嬉しくてたまらない。
 
 
評:蔵研人

 

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