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2022年9月 6日 (火)

囲碁殺人事件

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著者:竹本健治
 
 『囲碁の鬼』と恐れられている槇野九段が、タイトル防衛戦の最中に何者かに殺されてしまう。しかも首なし死体で発見されるのである。一体誰が何の目的でこのような大事な時に、このような残酷な殺人をしたのであろうか。
 本作は囲碁知識を鏤めながら、天才囲碁少年・牧場智久とミステリーマニアの姉・典子、そして彼女の恋人で大脳生理学者の須堂信一郎の素人探偵トリオが迷宮事件を推理してゆくやや明るいタッチのミステリーである。
 前半は謎解きと犯人捜しに終始する。そしていつしか、智久が犯人の目星をつけるのだが……。今度はそれを良しとしない犯人が、智久を執拗に襲撃するのであった。
 
 著者の竹本健治は『匣の中の失楽』や『ウロボロスの偽書』などの幻想的で毒の漂うような作品で有名だが、本書はその概念を一掃するような健康的なミステリーだ。そしてさらに本作の続編とも言える『将棋殺人事件』と『トランプ殺人事件』さらには短編の『チェス殺人事件』へと繋がってゆくのである。
 こんな小説を書くくらいだから、もちろん竹本健治は大のゲーム好きのようだ。そしてその中でも囲碁に一番憑りつかれていて、アマ五段の腕前だという。従って本書の中では、囲碁用語や実在したプロ棋士の名前などが頻繁に登場する。だからと言って決して囲碁知識がなければ読めない小説ではないのだが、やはり多少でも囲碁に興味がないと殊に前半はやや退屈かもしれない。
 
 私自身は一応囲碁をたしなむため、前半は全く退屈しなかったし、後半の謎解きや智久が犯人に襲撃されるシーンも、ハラハラドキドキしながら十分に楽しめた。ただ犯人が解明されるシーンのあっけなさや、殺人の動機・殺害方法などにかなり無理があり、急にエネルギーが減速してしまった感がある。もう一捻りの構想が欲しかった、と感じたのは私だけであろうか。
評:蔵研人
 

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