ラヴレター
★★★★
著者:岩井俊二
岩井俊二と言えばその昔、若手有望監督として廃れていた日本映画界に新風を吹き注目されたものだが、来年はいつの間にか還暦を迎えるらしい。私も彼のピュアな映画が大好きで彼のほとんどの作品は観たつもりである。ただ近年上映された類似作品『ラストレター』は覚えているのだが、本作を映画化した『Love Letter』は観たのか観ていないのかよく覚えていないのだ。
映画ではまだ若かりし頃の中山美穂が二役を演じて話題になったり、日本アカデミー優秀作品賞に輝いているし、なんと韓国でも大ヒットを飛ばしたようである。だからという訳ではないが、小説との比較のためにも、既に観ていたとしても改めてこの映画を観てみたい気がする。
それにしても映画監督は脚本を手掛けることが多いので、小説を書いてもおかしくはないのだが、本作はなかなか出来の良い小説だと感じた。それもそのはず岩井俊二は、学生時代から小説家を目指していたのだと言うではないか。
ラヴレターというタイトルであるが、手紙の交換は藤井樹と渡辺博子という二人の女性の間で行われる。もっとも最初に渡辺博子が雪山で遭難したフィアンセに宛てて書いたつもりの手紙が、同姓同名の女性に届いてしまったという偶然から始まるのだが…。
もしかすると天国のフィアンセからの手紙なのかもしれないと、夢のような微かな希望にすがる博子の純なこころが痛ましく悲しい。ただ誰もがその瑞々しさと切なさの中に、青春時代のノスタルジーを感じとるはずである。
評:蔵研人
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