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2022年5月 9日 (月)

おもかげ

★★★☆
製作:2020年 スペイン・仏 上映時間:128分 監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
 
 元夫と旅行中だった6歳の息子が行方不明になり、フランスの海岸らしき場所から電話がかかってくるが、そのまま行方不明になってしまう。それから10年間、母親のエレナは息子が残した「フランスの海辺」を頼りに、フランスの避暑地にある海辺のレストランで働きながら息子を探していた。
 そんなある日、彼女の前に息子の面影を持つ少年ジャンが現れるのだった。そしてエレナを慕うジャンは、毎日のようにエレナが働くレストランに現れるようになってしまう。息子の面影を持つジャンを見守るエレナと、純真で炎のように彼女を慕うジャン。周囲は異常な二人の関係に戸惑い混乱してゆくのだが…。
 
 序盤の15分間はエレナと行方不明になる息子との「最後の電話」のやり取りに終始する。そしていきなり10年後、フランスの海辺をふらついているエレナの姿が映し出される。息子のその後の話は一切切り捨てたまま、一体この急激な舞台チェンジはどういうものなのだろうか。そんな観客の疑問には一切答えず、浜辺で息子に似た少年のあとをつけてゆくエレナの姿がなんだか痛々しい。
 それもそのはず、この映画は15分間のオープニングに 、第91回アカデミー短編実写賞にノミネートされた短編映画『Madre』を使用し、息子を失った女性の「その先」の物語を描いた長編映画という構成だったのである。だがそれを知らない観客は置いてけぼりになった気分を否めないだろう。
 
 音楽と景色やカメラワークには好感が持てるし、感性豊かで心を引き込まれる作品であることは認めたい。ただ息子を置き去りにして姿を消した元夫の失踪原因や、息子自体の消息などが曖昧なままなのと、ラストの近親相姦的なラブシーンにはモヤモヤ感が残り、元夫への電話にも後味の悪さだけが残った。それに加えて息子に対する母の気持ちと言うのも、おじさんにはなかなか理解できないのかもしれない。
 
 
評:蔵研人

 

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