ルース・エドガー
★★★☆
製作:2019年 米国 上映時間:109分 監督:ジュリアス・オナー
『クローバーフィールド・パラドックス』のジュリアス・オナーがメガホンをとり、2019年のサンダンス映画祭で絶賛を浴びたサスペンス系ヒューマンドラマである。また主要なキャストは、主人公のルースをケルヴィン・ハリソン・Jr、黒人女性教師をオクタヴィア・スペンサー、養父母をティム・ロスとナオミ・ワッツが演じている。
オープニングは、17歳の男子高校生ルース・エドガーが、全校生徒の前でスピーチをしているシーンから始まる。彼はそこで先生や保護者に対しての感謝の意を伝え、全員に好感を持って受け入れられている。そうルースは、誰もが認める文武両道の超優等生なのだった。
だが彼の両親は二人とも白人なのに彼の皮膚は黒い…。彼は白人夫妻の養子で、もちろん現在の両親は里親である。それに7歳までは戦場のエリトリアで育っている。そしてそのことに絡めて心配する教師のハリエットが、無断で彼のロッカーを開け、その中から危険思想論文と危険な花火を見つけてしまう。さらに不安を感じたハリエットは、ルースの母親にそのことを報告し、証拠物件を引き渡すのだが、このあたりからストーリーが急に重く深く沈んでゆくのである。
超優等生と誰もが認めるルースだが、実は優等生は表の顔であり、裏の顔は得体のしれない悪魔と言うほどではないのだが、あの『エスター』となんとなく似ているよね。ということはある意味でホラーとも言えるのだが、実はもっと深い・重いメッセージが見え隠れしている。つまり表裏の顔が異なるのは彼だけではなく、教師も両親も二重構造であり、これを観ている観客の大部分も同じような資質を持っているかもしれないのだ。
さらに真実よりもイメージや先入観で行動してしまう人間の愚かさや、黒人と黒人の中に渦巻く人種差別問題や、不妊と里親の問題なども漂ってくるではないか。なかなかテーマが豊富なうえに、重厚でのめり込んでゆくようなストーリー展開に惹かれてしまう。だがここまでのルースの過去に蓋がされていることや、なんとなく終盤の展開に後味の悪さを感じたところがモヤモヤしたままである。
作:蔵研人
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