ライド・ライク・ア・ガール
★★★★☆
製作:2019年 オーストラリア 上映時間:98分 監督:レイチェル・グリフィス
オーストラリア競馬界で最高峰のレースであるメルボルンカップ。その偉大なレースを2015年に女性騎手として初めて制した「ミシェル・ペイン」の半生を描いた実話ドラマである。
彼女は牧場を営む調教師の家で10人兄妹の末娘として生まれている。またそのうち8人が騎手になるという驚きの競馬一家であった。ただ残念ながら、母親は彼女の生後間もなく亡くなっている。しかしながら残された家族たちは、皆それぞれの役割を果たし助け合いながら逞しく育ってきた。
そんな環境の中で育ったミシェルは、やがて姉・兄同様に騎手を目指すようになってくる。だが姉が落馬で命を失ったため、父は彼女が騎手になることに反対する。しかし負けん気が強く頑固な彼女は、父に逆らって無理矢理騎手への道を歩み始めてしまう。やがてデビューを迎えミシェルだったが、落馬を引き起こして騎手生命にも関わる大けがを負うことになる。
本作は「ミシェル・ペイン」の伝記と言うだけではなく、TVの競馬中継を観ているだけでは伝わらない競馬のド迫力をヒシヒシと伝えてくれた。それにしても騎手とはこれほど危険な職業だったのか。あのスピードを誇る巨大な馬体群の下敷きになったらひとたまりもないだろう。
彼女は3200戦の中で、実に17回の落馬で16か所の骨折を経験しているという。日本の競馬界でも、落馬により死亡または引退した騎手は50人以上を数えている。競馬がいかに危険な教義であるかの証であろうか。
さてダウン症で厩務員の兄・スティーヴィーの優しい瞳には心惹かれるものがあったが、なんと演じたのは本人そのものだったと知って驚いてしまったのは決して私だけではないだろう。ミシェルはこのダウン症の兄と一番仲が良かったという。
また本作は実話のため、クライマックスのメルボルンカップでは、すでにミッシェルが優勝することは分かっている。分かっているのだが、その瞬間は感動の涙に包まれてしまうのである。
テンポのよいストーリー展開、まさにドンピシャのキャスト陣、スケールの大きさとド迫力、美しい映像に心地よい音楽、そして心に染み渡る感動。久々に実に映画らしい映画に遭遇できたことに感謝したい。
評:蔵研人
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