« 2022年1月 | トップページ | 2022年3月 »

2022年2月の記事

2022年2月26日 (土)

ザ・ロスト・ワールド 失われた世界

★★★★
 
製作:2001年 英国TV自ラマ 上映時間:146分(2回分) 監督:アーウィン・アレ
 
 日本では未公開だったため、ネットを調べても余り表示されない。また「ロストワールド」と入力して検索しても、スピルバーグの『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』ばかり表示される始末だ。
 本作こそあのコナン・ドイルの不朽の名作を原作としている作品なのだが、英国でTVドラマとして二回放映されただけということで、日本では余り馴染みがないのであろうか…。だがこれが意外と言っては失礼だが、なかなか面白かったのである。
 
 英国古生物学会の異端児であるチャレンジャー教授が、奇妙なスケッチブックを発見。それはアマゾン川流域で亡くなった米国人の遺品で、現代には生存しないはずの様々な動物たちが描かれていた。
 それを見たチャレンジャー教授は、アマゾンの奥地には絶滅した恐竜たちが今もまだ生存していると確信する。そして資金提供者などを集めて冒険の旅に出発するのである。
 
 この後の話は本作を観てのお楽しみだが、TVドラマとは思えないほどのスケールの大きさと、映像の素晴らしさを実現させているではないか。それもそのはずCGを担当したのが、全世界で大ヒットしたあの傑作ドキュメンタリー『ウォーキングwithダイナソー』のスタッフたちだからである。
 ことにクライマックスのアロサウルスとの戦いは凄まじい。久し振りにドキドキワクワク感を味わえた。また時代背景が1910年代と言うこともあり、映画の創り方自体も昔のシネマの匂いが漂っており、なんとなく郷愁を呼び覚まされた感があった。
 
 さてコナン・ドイルの『失われて世界』と言えば、過去に二度映画化されている。その中でも私が子供の頃、つまり1960年に製作された作品を、当時の下北沢オデオン座で観た時には、子供心にも大感動したものである。そんなことを思い浮かべながら本作を観たので、なおさら気分が高揚してしまったのだろうか。
 
 
作:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月22日 (火)

イップマン外伝 マスターZ

★★★★
製作:2018年 香港・中国 上映時間:108分 監督:ユエン・ウーピン
 
 『イップ・マン 継承』でイップ・マン相手に激闘を繰り広げたチョン・ティンチを主人公にした、『イップ・マン』シリーズの番外編である。
 主演のマックスチャンは、イップ・マンのドニー・イェンより10歳近く若い。従って神秘的な輝きは劣るものの、スピード感に溢れた過激な演武には思わず熱くなってしまうだろう。
 
 本作は主な内容は、麻薬犯罪組織とチョン・ティンチとの戦い、そしていつもながら英国人に支配され、役立たずの警察の無能振りに終始している。またお約束の格闘シーンは、「詠春拳vsムエタイ」が堪能できるトニー・ジャー戦、マフィア長楽の女ボスとの戦い、さらに巨漢でプロレス技を繰り出すマフィアのボスとの戦いである。
 
 とにかくギラギラネオンとド派手な看板のオンパレードは、いかにも「香港」だー!という感があったね。それにしてもイップ・マンの時代の香港にはこんな悪徳警察ばかりだったのだろうか。そのあたりがちょっと脚色し過ぎで鼻についたかも…。
 
評:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月19日 (土)

イップ・マン 継承

★★★★
製作:2016年 香港・中国 上映時間:105分 監督:ウィルソン・イップ
 
 ドニー・イェン主演のイップマンシリーズ第3弾である。舞台は1950年代末の香港、悪徳地上げ屋との戦いと家族との絆を絡めて描かれている。
 見所は病身の妻をかばいながら、狭いエレベーター内でのタイ人空手家との戦い、またあのマイク・タイソンとの3分間の息をのむ凄まじい戦い、さらに正統な詠春拳をめぐるチョン・ティンチとの最終決着へと続いて行く。
 
 どの戦いも緊張感とスピード感が目まぐるしく交差し、目を見張るほどの技の攻防が続く。ことにチョンとの詠春拳同士の戦いは凄まじい。長棒・青龍刀と武器を次々と変えて戦う姿は、凄まじいというより神々しいと言っても良いだろう。ただこの頃ドニー・イェンも50代に突入し、全二作に比べるとややスピードに陰りを感じたのは私だけであろうか。
 
 それにしても、このイップ・マンシリーズは何作観ても飽きないし、その武術の攻防にも圧倒されてしまう。実在の人物の話だし、香港映画特有のおふざけシーンを一切排除した真摯なドラマ仕立てだからかもしれない。
 なおこのあと2019年に『イップ・マン 完結』が製作されているのだが、なんと2018年に本作でイップ・マンと戦ったチョン・ティンチを主役にした『イップ・マン外伝 マスターZ』が上映されているのだ。是非そちらも観てみたいものである。
 
評:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月14日 (月)

アルキメデスの大戦

★★★★
 
製作:2019年 日本 上映時間:130分 監督:山崎貴
 
 原作は三田紀房のコミックで、日米戦争突入直前の海軍内部の内輪もめ話である。役に立たない巨大戦艦大和に憑りつかれた造船中将平山忠道に対し、これからは航空機が中心になるので航空母艦を建設すべきとする山本五十六。そして余りにも安すぎる平山の見積もりに疑問を感じた山本は、天才数学者・櫂直を軍に招き入れる。その狙いは、彼の卓越した数学能力をもって、戦艦大和建造にかかる費用を試算し直して、計画の裏に潜む軍部の陰謀を暴くことであった。
 
 ところが軍部の規制により、設計図も見積書も何もない状態で、たった二週間後に答えを出さなくてはならない。さらに途中で平山陣営の嫌がらせが入り、急に期限が短縮されてしまうのだ。
 さてこの超難問に櫂直はどのように対処し、どのような答を導き出すのだろうか。それが本作最大の見どころである。と言っても歴史的には戦艦大和は建造されている、だが主人公が負けるはずがない。従ってこの辻褄の合わない答えを、どのようにひっくり返すのだろうか、という結末も見所なのである。
 
 ところでCGの出来は今一つの感があったが、戦艦大和に憧れていた山崎貴監督が描いた戦艦大和の巨大な雄姿と、あっと息をのむ沈没シーンは実に見事で見応えがあった。それにしても、巨額の税金を使って無理矢理建造した戦艦大和が、ほとんど無抵抗のまま3,000余名の人名とともに海の藻屑と化してしまった歴史は皮肉としか言いようがない。
 
 本作の主演は天才数学者・櫂直を演じた菅田将暉であり、脇を舘ひろし(山本五十六)、柄本佑(田中正二郎)、浜辺美波(尾崎鏡子)、笑福亭鶴瓶(大里清)、小日向文世(宇野積蔵)、國村隼(永野修身)、橋爪功(嶋田繁太郎)、小林克也(大角岑生)、田中泯(平山忠道)などが固めている。ちなみにこの中で実在した人物は、山本五十六、宇野積蔵、永野修身、嶋田繁太郎、大角岑生だけであり、どこまでが史実なのかは不明である。
 ただ本来もう少し光っても良い山本五十六役の舘ひろしの影が薄く、やけに平山忠道を演じた田中泯の存在感が大きく感じた。これはまさに個性と演技力の差なのであろうか…。
 
 
作:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月11日 (金)

15年後のラブソング

★★★
製作:2018年 米国・英国 上映時間:97分 監督:ジェシー・ペレッツ
 
 伝説的ロック・シンガーのタッカー・クロウを崇拝する恋人ダンカンとの長い同棲生活に疑問を感じているアーニー。オタクのダンカンは、いつも強引な自説を押し付けてくるし、子供嫌いで子は創らない主義者だ。
 そんなある日、アーニーに一通のメールが届くのだが、なんとその発信者はタッカー・クロウその人であった。またその頃ダンカンは後輩の女性と浮気してしまう。そんなことが重なって、イギリスの港町サンドクリフとアメリカ・ニュージャージー州の田舎町で、彼らの奇妙な三角関係が始まるのである。
 
 ラブコメという触れ込みであるが、コメディー味はだいぶ抑えられていて、ダンカンがその多くを引き受けていたような気がする。従って彼が主人公では役不足だなと感じていたら、やはりイーサン・ホーク演ずるところのタッカー・クロウが主役だった。もちろんヒロインはアーニーを演じたローズ・バーンである。
 
 ラブストーリーとしては薄味で、過激なラブシーンもなく特に大きな盛り上がりもなく、気の抜けたサイダーのような感があったね。また邦題が暗示している無駄な15年は、それほど強烈に描かれていないが、もしかするとこの監督自身の本音なのかな。
 
評:蔵研人

 


下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月 5日 (土)

少女がくれた木曜日

著者:新井輝
 
 気が付くと、青山正吾は無限に続く巨大なチェス盤のような床の上に、独りきりで立ちつくしていた。ここがどこかは全く分からないし、直近の記憶もほとんど残ってないのだ。
 もしかするとこれは夢かもしれない…うんきっと夢に違いない。正吾が押し寄せる不安を拭い去ろうとしたとき、そこに突然トーカという名の少女が現れる。「正吾クン、これは夢じゃないよ」、なんと彼女は宙に浮いているではないか。
 
 正吾が迷い込んだのは「生と死の間の世界」だったのである。そして天使のようなトーカが語ったのは、実に摩訶不思議な事実であった。つまり正吾はある事故に巻き込まれて死んでしまったというのだ。ただ死んだ一日をあと三回繰り返すことが出来るらしい。
 なんだかよく理解できないまま、正吾は元の世界に舞い戻り、事故を回避しようとするのだが、なかなか運命に逆らうことができない。一体どんな事故なのか、どうすれば回避できるのか、それは読んでのお楽しみとしておこう。
 
 何度も同じ1日を繰り返すタイムループものと言えば、映画では『恋はデジャヴ』、小説では北村薫の『リセット』が有名だ。また蘇るたびに殺されてしまうというミステリーなら、西澤保彦の『七回死んだ男』がある。おそらく本作は、それらの作品群等をブレンドして創られた「学園ミステリー」と言っても過言ではあるまい。
 中盤からはドキドキ展開が多く、あっという間に読み切ってしまった。そしてハッピーエンドも嬉しかったのだが、正吾の謎解き部分はかなり無理があったね。またプロの作家としては、ストーリー構成が単調だし文章もいまいちかな…。
 
 
評:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

2022年2月 2日 (水)

ライド・ライク・ア・ガール

★★★★☆
 
製作:2019年 オーストラリア 上映時間:98分 監督:レイチェル・グリフィス
 
 オーストラリア競馬界で最高峰のレースであるメルボルンカップ。その偉大なレースを2015年に女性騎手として初めて制した「ミシェル・ペイン」の半生を描いた実話ドラマである。
 
 彼女は牧場を営む調教師の家で10人兄妹の末娘として生まれている。またそのうち8人が騎手になるという驚きの競馬一家であった。ただ残念ながら、母親は彼女の生後間もなく亡くなっている。しかしながら残された家族たちは、皆それぞれの役割を果たし助け合いながら逞しく育ってきた。
 そんな環境の中で育ったミシェルは、やがて姉・兄同様に騎手を目指すようになってくる。だが姉が落馬で命を失ったため、父は彼女が騎手になることに反対する。しかし負けん気が強く頑固な彼女は、父に逆らって無理矢理騎手への道を歩み始めてしまう。やがてデビューを迎えミシェルだったが、落馬を引き起こして騎手生命にも関わる大けがを負うことになる。
 
 本作は「ミシェル・ペイン」の伝記と言うだけではなく、TVの競馬中継を観ているだけでは伝わらない競馬のド迫力をヒシヒシと伝えてくれた。それにしても騎手とはこれほど危険な職業だったのか。あのスピードを誇る巨大な馬体群の下敷きになったらひとたまりもないだろう。
 彼女は3200戦の中で、実に17回の落馬で16か所の骨折を経験しているという。日本の競馬界でも、落馬により死亡または引退した騎手は50人以上を数えている。競馬がいかに危険な教義であるかの証であろうか。
 
 さてダウン症で厩務員の兄・スティーヴィーの優しい瞳には心惹かれるものがあったが、なんと演じたのは本人そのものだったと知って驚いてしまったのは決して私だけではないだろう。ミシェルはこのダウン症の兄と一番仲が良かったという。
 また本作は実話のため、クライマックスのメルボルンカップでは、すでにミッシェルが優勝することは分かっている。分かっているのだが、その瞬間は感動の涙に包まれてしまうのである。
 テンポのよいストーリー展開、まさにドンピシャのキャスト陣、スケールの大きさとド迫力、美しい映像に心地よい音楽、そして心に染み渡る感動。久々に実に映画らしい映画に遭遇できたことに感謝したい。
 
評:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

| | | コメント (0)

« 2022年1月 | トップページ | 2022年3月 »