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2022年1月18日 (火)

黄金のアデーレ 名画の帰還

★★★★
製作:2015年 米国・英国 上映時間:109分 監督:サイモン・カーティス
 
 久々に品の良い映画らしい映画を観た気分である。自宅でオンデマンドでの鑑賞だったが、この映画は都心の大きな映画館でゆったりと観たかったね。ヘレン・ミレンが出演する映画は、ほとんど外れがないことを再確認した気分でもある。
 本作を一言でいえば、過去にナチスによって強奪された世界的に有名な名画を取り戻すため、オーストリア政府を相手に返還訴訟を起こしたマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)の実話を描いたドラマである。
 
 そのマリアは、1916年にオーストリア・ウィーンの裕福な家に生まれる。そして21歳でフリッツ・アルトマンと結婚。だが翌年1938年にナチスがオーストリアを占拠。一家はユダヤ人という理由で自宅監禁され、肖像画を含む価値ある家財道具はナチスに奪われてしまう。危険を察したフリッツとマリアは、ナチスの見張り番を騙し、命懸けでアメリカに亡命する。ただやむを得ないとしても、年老いた父母を置いて、自分たちだけ逃げ延びたことに負い目を感じていた。
 
 本作はマリアが亡くなった姉の遺品の中から一通の手紙を見つけるところから始まる。その手紙は戦時中ナチスに奪われた絵画について書かれていた。それは現在オーストリア国立美術館に展示されている国宝級の絵画「黄金のアデーレ」で、法律上の所有権はマリアにあるのだという。だがオーストリア政府は今さらマニアに返還する気は全くない。
 
 オーストリア政府の態度に業を煮やしたマリアは、政府相手に返還訴訟を起こすことになる。ただ彼女を助けるのは親類で新米弁護士のランディ・シェーベンクだけであった。そしてたった二人とオーストリア政府との戦いが始まるのである。
 本作はかなり複雑な構成になっているため、じっくり鑑賞していないとよく分からなくなるかもしれない。さらに二人のやり取りと裁判の経過が続く中で、急に戦時中のシーンがパラレルに映し出されてゆくので、決してよそ見をしないように。
 
 さてでは本作が訴えたかったことは一体何だったのだろうか。ナチスの恐怖や残忍性かもしれない。だがナチスに限らず戦争には必ず強奪がつきまとう。さらに強奪された高級品などが、まるではじめからそこにあったかのように、いつの間にか他人に所有されている。そんな奇妙で恐ろしい現実が存在する、ということではないだろうか。
 
評:蔵研人

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