母との約束、250通の手紙
★★★☆
製作:2017年 仏・ベルギー 上映時間:131分 監督:エリック・バルビエ
本作はフランスの作家ロマン・ガリの自伝小説を映画化したものであり、第43回セザール賞で主演女優賞など4部門にノミネートされたヒューマン系ドラマである。
ロマンはユダヤ系ロシア移民で、ポーランドで幼少期を過ごした。14歳の時、母のニーナと共にフランスニースに移り住み、フランス国籍を取得している。
そして第二次世界大戦後はフランス外務省に勤務し、ブルガリア、スイス、アメリカ各国の大使館参事官や、ロサンゼルス駐在領事を務めた。また小説家としても活躍し、2度ゴンクール賞を受賞している。さらには映画女優のジーン・セバーグと結婚し、『ペルーの鳥』の監督など映画界でも活躍したのだが、1980年12月2日に拳銃自殺し66歳で生涯を閉じてしまった。
本作では母子家庭に育ったロマンが、幼い頃から母のニーナから毎日のように「将来小説家になって、勲章をもらい、外交官になるのよ!」と叱咤激励され続けてきた半生を描いている。その途方もない息子への期待を実現させるためには、どんなことも辞さないニーナの狂気と愛。そしてそれに応えようと、必死になって母の教えを実践する一人息子ロマン。そこには強烈な一卵性親子の引き返せない共存関係が、ドロドロととぐろを巻いていた。
戦地に送られてきた母からの250通の手紙。ロマンはこの手紙に励まされ、戦地の中でも夢中に小説を書き続けた。そしてとうとうニーナの望む通り本が出版されることになる。だがなぜかニーナからの手紙には、賞賛の言葉が全く綴られていなかった。不思議に感じたロマンは母のもとに戻るのだが、そこで彼は母の偉大なる愛の証を知ることになるのだ。
欧州の映画の中には、本作のように「大真面目で冗談を演じる」ような作品を見かけることがある。私自身は大げさな表現や皮肉がらみの作品は嫌いではないのだが、本作はやや中だるみ感が拭えなかったのが残念である。不要なシーンも多かったので、せめて2時間以内にまとめて欲しかったね。
まあそれはそれとして、呪いのような息子愛に憑りつかれたニーナの狂気。それを演じたシャルロット・ゲンズブールの怪演こそ、本作最大の見どころであることは誰にも否定できないだろう。彼女もいつの間にか50歳、だんだんこういった役柄に染まって行くんだね。
評:蔵研人
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