鈴木家の嘘
★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:133分 監督:野尻克己
ひきこもりの長男・鈴木浩一が、自室で首をつって自殺をしてしまうところから始まる。それをはじめに発見したのが母親の悠子だった。彼女は台所から包丁を取り出して、息子のあとを追うように手首を切って意識を失ってしまう。
悠子はずっと意識を失ったまま病院のベッドに伏している。その間に浩一の葬儀も終わり、49日の法要が行われていた。なんとそんな日に突然、眠り続けていた悠子が目覚めるのだった。
病院から連絡を受け、法要中だった夫の鈴木幸男、長女の富美、幸男の妹・君子、悠子の弟・博が駆けつけるが、悠子は記憶を失っていて浩一が自殺したことを覚えていないらしい。ここで浩一の死を告げると、また悠子が自殺すると恐れた家族たち。そこで急遽「浩一は博の仕事を手伝うためアルゼンチンで暮らしている」と全員が嘘をついてしまうのである。
本作はこの鈴木家の嘘が「一体どこまで続くのか」また「いつ誰がどのようにばらすのか」さらに「そのとき悠子はどのような行動をするのか」がキーポイントとなっている。また浩一が死を選んだ理由についても知りたくなるのだが…。
浩一の自死にショックを受けたのは悠子だけではなかった。もしかすると、妹の富美こそが兄の死を一番受け入れられなかったのかもしれない。その理由はセラピーで語られることになるが、そこには母親と長男の親子関係に対する嫉妬も絡んでいたようだ。また家庭のことを殆ど振り返らなかった父親・幸男も、浩一の自死の原因が掴めず葛藤の中を彷徨っている。
テーマとしてはかなり暗く重いのはずだが、岸部一徳のおとぼけのほか、全般的にコメディタッチの臭いがするため、余り深刻にならずに鑑賞することが出来た。上映時間133分の長尺であるが、それほど長く感じなかったのは、そこそこ面白かったからであろう。
終盤になると、実は本作のテーマは、自殺の動機などの謎解きではなく、残された家族三人のそれぞれの想いと共有の痛み、そして再生を描いているのだと気付き始める。ただソープランド関連の話は、かなり非現実的で意味不明だし、しつこく追及した割には「謎のままジ・エンド」というのも中途半端な感が否めなかった。
評:蔵研人
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