かごの中の瞳
★★★
製作:2016年 米国 上映時間:109分 監督:マーク・フォースター
幼い頃に交通事故に遭い両親を亡くしたうえに、自身は失明してしまったジーナだったが、最新の角膜手術により奇跡的に片目の視力を取り戻す。夫のジェームズには散々世話になり、裕福な生活を送ってきたのだが、彼が想像外の風貌だったことに落胆する。そして彼女はいつの間にか髪をブロンドに染めて着飾り、外界へ飛び立ってしまう。
どのようにしてジーナとジェームズが出遭ったのかが全く描かれていないので、二人の愛情のレベルがはっきりしない。ただストーリーが進んでゆく過程でなんとなく想像できてしまった。多分ジェームズはジーナの美貌に恋し、ジーナは親切で献身的なジェームズを愛したのだろう。
また結婚後も失明していたジーナにとっては、何事にも献身的なジェームズだけが頼りであり、どこへ行くにもジェームズの手助けが必要だった。ところが目が見えるようになると、もうジェームズの力を借りずとも何でも出来る。さらに彼女の美貌に男たちが近づいてくる。だから保守的で地味なジェームズがだんだん退屈に感じてしまう。
逆にジェームズから見ると、いままでかごの鳥のように自分の中だけに閉じ込めていたジーナが、突然飛び立ってゆくようになり不安と嫉妬に苛まれるようになる。従ってジーナの視力が回復したことに苛立ちを感じるのだった。つまりジェームズの幸せは、ジーナの不幸せによって成り立っているのであろう。
したがって本作はジェームズ目線で観るか、ジーナ目線で観るかによってラストの捉え方が全く逆になってしまうのだ。偶然なのかそれを巧みに表現したのが、皮肉にも『ALL I SEE IS YOU』という原題と、『かごの中の瞳』という邦題のねじれ現象なのかもしれない。
それはそうと本作は省略描写が多過ぎる。まあ観客の想像力と人生観に委ねた芸術作品だと評しても良いが、手抜き作品と考える観客も少なくないはず。どちらにせよ、後味が悪かったことだけは否めないだろう。
評:蔵研人
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