グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~
★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:106分 監督:成島出
どこかで聞いたことのあるタイトルだと思っていたら、なんと太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」の続きを描いた恋愛狂騒劇であった。なんとなく奇妙でコミカルなストーリーで、序盤は少し引き気味であったが、次第に面白くなって後半は目を離せなくなる。
背景が昭和初期なので、懐かしい映像が沢山映し出されるのは嬉しかったのだが、いまひとつスケールがなく時代考証も中途半端だったのが残念である。本作の主演は大泉洋と小池栄子だが、2015年に仲村トオルと小池栄子の主演で舞台上演があったらしい。
どうりで小池栄子の演技が光っていたんだね。ストーリーにはそれほど起伏がないのだが、彼女の頑張りのお陰で本作は光を失わなかったのかもしれない。それにしても小池の演技力・存在感は大したものである。完全に大泉が喰われていたものね。
話の中身は、文芸雑誌「小説浪漫」の編集長・田島周二(大泉洋)は、ケチで優柔不断にもかかわらずなぜか女性にモテる性質で、気付けば十数人の愛人を抱えていた。
だが疎開中の妻と娘のために身を清め、愛人たちと別れる決心を固める。そこで思いついた珍案が、闇屋で見つけた美人の永井キヌ子(小池栄子)に妻のふりをしてもらい、一緒に愛人たちの家を訪ねて「グッドバイ」することであった。
はじめは全ての愛人たちと別れるつもりだった田島だったが、今度は早くも愛人清算に心が折れ始めるのである。だが動き出した歯車は止まらず、終いには妻を含むすべての女に愛想をつかされてしまい、悲しみにくれて自暴自棄になってしまう。そして突然暴漢に襲われてしまい自分自身に対しても「グッドバイ」することになってしまう。
太宰の原作は未読だが、もしかすると彼のことだから、絶筆でなければここでおしまいだったような気がするのだが…。本作ではさらに2年後の世界を描いている。そして結局は人生は金よりも愛なのだと主張しているのだ。もしひねくれ者の太宰なら愛よりも金なのだと言い張るだろう。
評:蔵研人
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