生きてるだけで、愛。
★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:109分 監督:関根光才
芥川賞作家・本谷有希子の同名小説を趣里の主演で映画化した作品である。なかなか難解で理解に困る作品だが、趣里の神がかった演技と仲里依紗の個性的存在感によって、最後までグイグイと引き込まれてしまった。ストーリーが面白い訳ではなく、とにかく精神障害のある寧子が気になってしょうがないのだ。だからこそ寧子を演じた趣里の演技力に全てがかかっていたのである。
寧子は過眠症で引きこもり気味、そのうえ酒を飲むと全てぶち壊してしまう。もちろん働きたくとも働ける場所もない彼女は、ゴシップ雑誌の編集者・津奈木の部屋に潜り込み同棲生活を送っている。働かない、掃除はしない、食事も作らない。いつも夕飯は津奈木が仕事帰りにコンビニ弁当を二つ買ってくるだけ。さらに感情をコントロールできず、正反対の表現をしてしまう。だからどうすることもできずに、世話になりっぱなしの津奈木に八つ当たりするばかり…。
よくこんな女に憑りつかれて3年間も一緒に暮らしていたものである。それほど津奈木はお人好しなのだが、結局最後にはそのふんわりと柔らかだった風船も大爆発してしまう。まあ人間なんて一皮もしくは二皮もむけば、誰でも同じように悩み苦しんでいるのだ。それを引きこもりだのPTSDだのと、病気の中に逃げてしまうのは甘えている証拠なのかもしれない。
いずれにせよ、せっかく…と思った瞬間に、全てをぶち壊し投げ捨てて、全裸で街中を疾走する寧子の気持ちは分かるようで分からない。と言うよりあの二人はこれからどうやって生きてゆくのか、若者たちはみんなギリギリの瀬戸際で生きている。また全てのエネルギーを、負の方向だけに吐き出せるのも若さの特権なのだろうか。
評:蔵研人
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