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2021年10月の記事

2021年10月30日 (土)

残穢 -住んではいけない部屋-

★★★

製作:2015年 日本 上映時間:107分 監督:中村義洋

 ミステリーホラーという新感覚のジャンルで、原作は山本周五郎賞を受賞した小野不由美の同名小説である。キャストは竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、佐々木蔵之介、遠藤賢一と多彩なのだが、ぶっちゃけミステリー作家(竹内結子)の探偵ごっこという感触であった。

 ある日編集部経由で、読者の女子大生(橋本愛)からミステリー作家宛てに、「住んでいる部屋で、奇妙な音がする」という奇妙な手紙が届く。その手紙に興味を持った作家は読者と手紙や電話でやり取りしてゆくうち、いつの間にか夢中になり、二人で異変現場の近隣に住む人々の話を聞きに行くことになる。その後いろいろな人の話を聞くうち、驚くべき真実が浮上してくるのであった。

 調査で聞いた過去の話の中にはかなり「怖い話」が登場する。そしてそのおぞましい映像がチラチラ鏤められてゆく。だがすぐに恐ろしい映像は長くは続かない。すぐに映像は現実に回帰して、その背景や原因などを分析・調査している映像に切り替わる。このあたりの手法が単純なホラー映画と異なっていて斬新なのであろうか。ただ本作の映像だけでは、過去の複雑な話がよく理解できなかった。そのあたりは原作の小説を読んでみないことには何とも言えない。

 本作を観たのは昼間で、家内も一緒に観ていたので余り恐怖感は湧かなかったが、夜中に一人で観ていたらどうだったろうか…。そうあの黒煙が渦巻く怪物の焼け爛れた手と唸り声は、昼間観てもかなり気味が悪かったことは確かだからね。
 それにしてもあのラストはいまひとつ納得できない。ホラー映画の常套手段なのだが、本作は単純なホラー映画ではないのだから、もう少し説得力のあるラストで締めくくって欲しかった。

評:蔵研人

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2021年10月26日 (火)

拝啓、十年後の君へ。

著者:天沢夏月

 10年後に掘り起こすと約束し、小学生のころに埋めたタイムカプセルが今開かれる。幼い頃のひらがなばかりの文字と正直で純真な文面が懐かしい。だがそこには懐かしさだけではなく、現実の悩みとリンクする心の叫びが染みついていた。
 本書はタイムトラベル小説ではないが、タイムカプセルが「止まっていた心の時間を動かした」と考えれば、ある種のタイムトラベルなのかもしれない。

 さてタイムカプセルに詰まっていた少年少女の熱い思いを、10年後の彼らはどう受け止めるのだろうか。それが6人の悩める高校生たちの運命を変えてゆくパワーを生み出すことになるのだろうか。そしてその主役の6人については、それぞれにパートが独立していて、彼らが抱える特殊事情や心理状況が鮮明に描かれているところが嬉しいね。

 ひきこもりの少年少女、自分の意志をはっきりと伝えられない少女、自分の進むべき道を見つけられない少年などが主役である。そして青春時代の葛藤が巧みに綴られてゆく。だからこそ、若い読者たちはかなり共感できるのだろう。さらにはオープニングの「浅井千尋の章」と、ラストの「矢神耀の章」が、実に見事に繋がってゆくではないか。
 また暗い主人公が多いのだが、全般的に優しい世界観に包まれており、最後は皆前向きでハッピーに包まれるので安心して読めるだろう。天沢夏月作品は何冊か読んでいるが、本作の出来が一番かもしれない。
 

評:蔵研人

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2021年10月25日 (月)

ロブスター

★★★
製作:2015年 ギリシャ他5 上映時間:118分 監督:ヨルゴス・ランティモス
 
 第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品であるが、ジャンル不明でよく分からない奇妙な映画であった。近未来の話のようだが、ホテルのような収容施設に集められた人々が、45日以内にパートナーを見つけなければ動物にされて森に放たれてしまうというのだ。どんな動物にされるのかは自分自身で選択するのだが、主人公のデヴィッド(コリン・ファレル)が、長生きし海で生活できる「ロブスター」を選んだところからこのタイトルが付けられたようである。またパートナーを得た者は、シングルルームからダブルルームに移され、そこで数日過ごした後さらにヨットで数日間過ごせば収容施設から出ることが出来るというのだ。

 オープニングでいきなり、雨の中を車から降りた女がロバを拳銃で射殺するシーンが映される。そしてそのあと何の説明もなく、デヴィッドが前述した収容施設に収容され、その中で友人を創ったり、訳の分からない人間狩り競技を強いられたり、ダンスパーティーやプールで楽しんだりする映像が流される。
 全く説明はないものの、まずなんとなく想像できるのは、人間を動物に変身させる技術が実用化された近未来の話だということ。そしてその世界では、独身であることが許されず、離婚などで独身になった男女は収容施設に連行され、そこで一定期間内にカップルにならなければ、動物に変えられて人間社会から追放されてしまうという展開なのだ。

 だが背景はそれだけではなかった。実は森の中に裏社会があり、そこで暮らす森人たちは独身でいることが許されるのだが、逆にパートナーを創ってはいけないというルールが存在していたのである。収容施設から森の中に逃げ込んだデヴィッドは、この森人たちとともに暮らすようになるのだが、そこで禁断の恋に落ちてしまうのだった。
 とにかくナンセンスで不条理な映画だが、実は結婚と愛について皮肉を交えながら、その本質を無機質に抉り出そうと試みた作品なのだろう。それから本作では愛のベースを「パートナー同士が持つ共通点」だと定義している。それで「鼻血を出すこと」「歌が好きなこと」「ビスケットが好きなこと」「心が冷徹なこと」「近視であること」などなど、どんなつまらないことでもとにかく共通点があれば良しなのだ。

 そしてその愛の条件がラストシーンへと繋がってゆく。主人公がトイレの鏡に向かって愛の証を実行できるのか、怖くなって逃げてしまうのか。それをじっと待つ彼女のいじらしさと切なさ…。かなり過激でエキセントリックな映画であり、好き嫌いがはっきりと分かれてしまうことも否めない。ただ私的には年に一度や二度はこうした風変わりな映画に染まるのも悪くないと考えている。

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2021年10月23日 (土)

生きてるだけで、愛。

★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:109分 監督:関根光才

 芥川賞作家・本谷有希子の同名小説を趣里の主演で映画化した作品である。なかなか難解で理解に困る作品だが、趣里の神がかった演技と仲里依紗の個性的存在感によって、最後までグイグイと引き込まれてしまった。ストーリーが面白い訳ではなく、とにかく精神障害のある寧子が気になってしょうがないのだ。だからこそ寧子を演じた趣里の演技力に全てがかかっていたのである。

 寧子は過眠症で引きこもり気味、そのうえ酒を飲むと全てぶち壊してしまう。もちろん働きたくとも働ける場所もない彼女は、ゴシップ雑誌の編集者・津奈木の部屋に潜り込み同棲生活を送っている。働かない、掃除はしない、食事も作らない。いつも夕飯は津奈木が仕事帰りにコンビニ弁当を二つ買ってくるだけ。さらに感情をコントロールできず、正反対の表現をしてしまう。だからどうすることもできずに、世話になりっぱなしの津奈木に八つ当たりするばかり…。

 よくこんな女に憑りつかれて3年間も一緒に暮らしていたものである。それほど津奈木はお人好しなのだが、結局最後にはそのふんわりと柔らかだった風船も大爆発してしまう。まあ人間なんて一皮もしくは二皮もむけば、誰でも同じように悩み苦しんでいるのだ。それを引きこもりだのPTSDだのと、病気の中に逃げてしまうのは甘えている証拠なのかもしれない。
 いずれにせよ、せっかく…と思った瞬間に、全てをぶち壊し投げ捨てて、全裸で街中を疾走する寧子の気持ちは分かるようで分からない。と言うよりあの二人はこれからどうやって生きてゆくのか、若者たちはみんなギリギリの瀬戸際で生きている。また全てのエネルギーを、負の方向だけに吐き出せるのも若さの特権なのだろうか。
 
 
評:蔵研人

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2021年10月21日 (木)

シャイニングガール

著:ローレン・ビュークス
訳:木村浩美

 時間を超越できる古い家。そこをねぐらにして、様々な時代で猟奇的な殺人を続ける精神異常の殺人鬼。そんな触れ込みのタイムトラベル・サイコサスペンスである。

 アイデアとしてはなかなか斬新なのだが、10頁以内の短いスペースで、前後して時間が入れ替わり、次々に若い女性たちが無残に殺されてゆく。またその殺害の様子が酷過ぎる。ナイフで腹を裂かれて腸を引っ張り出されて、死体をグルグル巻きにするといった具合なのだ。そして殺害の動機もはっきりしない。まさにサイコ野郎そのものなのだ。

 そして足が悪いのにも関わらず、この殺人鬼の強いこと強いこと、拳銃で撃っても1~2発では死なないし、もの凄い腕力と異常な精神力に支えられている。これではまるでジェイソンやターミネーターではないか。

 まあそれはそれで許すとしても、余りにも内容が薄いため読みにくく、何度も投げ出しそうになった。少なくとも500頁近くある長編なのだから、もう少し登場人物の心理状態などを詳細に描いて欲しかったね。とにかく残酷描写とアクションの連続ばかりなので、小説より映画向きなのかもしれない。

 とは言っても、ラストを除いてハラハラドキドキ感も余り湧かなかったし、肝心のタイムトラベルがらみの面白さも皆無だったのは非常に期待外れだったね。かなり無駄に時間を消費してしまったような気がする。あー疲れた。

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2021年10月19日 (火)

青くて痛くて脆い

★★★
製作:2020年 日本 上映時間:118分 監督:狩山俊輔

 原作は「君の膵臓をたべたい」の住野よるの青春サスペンス小説である。舞台は某大学で主人公はコミュニケーションが苦手で誰とも接触しない田端楓(吉沢亮)と、理想を目指すあまり空気の読めない発言を連発し周囲から浮いている秋好寿乃(杉咲花)のひとりぼっち同士の大学生二人である。
 なんと二人は「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げるが、誰にも相手にされなかった。暫く二人でボランティア活動などでお茶を濁していたのだが、大学院生の脇坂(柄本佑)が介入してから急に部員が増え、いつの間にかモアイの趣旨も変化してしまう。それを面白くないと感じる田端は、次第にモアイを憎しみの対象にしてゆく。

 はじまりは空気の読めない秋好寿乃の行動が風変わりで、無口な田端楓との取り合わせが面白い。ただ舞台が大学の中ばかりで安っぽいし、彼等二人の行動が読めな過ぎて退屈感がふつふつと湧いてくる。また中盤も素人探偵ごっこに明け暮れるばかりで、どうしてもスクリーンにのめり込めない。
 だがやっと終盤になって、屈折した田端の精神が破綻して暴走し始めると面白くなるのだが、すでに時は遅しでそのあとすぐにエンディングでは物足りないよね。なんだか自分のことばかり考えているくせに、はっきりものを言わない男のヒステリー物語のようだと感じたのは私だけであろうか。


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2021年10月17日 (日)

天使が歌う街

★★★
製作:2013年 米国 上映時間:89分 監督:ティム・マッキャンリーズ

 本作は日本の劇場では未公開の作品であるが、米国人が好きそうな父と息子の愛情を描いたハートフルな映画である。そしてもう一つのテーマはクリスマス。クリスマスやバレンタインを商業主義に染め抜いたのは日本であるが、近年では米国でもその傾向にあると言う。そんな中でも日本と異なるのは、日本の正月以上に親族や身近な人々が顔を合わせてパーティーを楽しむことかもしれない。

 幼い頃のクリスマスに、自分の責任で大好きだった兄を亡くしてしまったマイケル。それが彼のクリスマス嫌いの原因だったが、自分の息子のデビットまでも同じような事故を誘発してクリスマス嫌いになってしまう。
 そんなある日、マイケルは祖父の遺品から幼いころのクリスマスパーティーの8ミリフィルムを見つける。なんとそれには嫌な思い出だけではなく、楽しかった想い出も沢山詰まっているではないか。

 まあ大感動とはゆかなかったが、そこそこ楽しめる映画と言えよう。また音楽が楽しいしイルミネーションも美しいので、どうせならクリスマスの時に観たいものである。ヒューマンドラマという触れ込みだが、サンタさんらしき人も登場するのでファンタジーなのかもしれないね。
 

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2021年10月15日 (金)

君に出会えた4%の奇跡

著者:広瀬未衣

 恋人と婚約した灯里が、京都の実家で高校時代に書いた若草色の日記を見つけた。だがそこに書いてあるべきある人の名前が空欄になっている。また物置で探した手作りの小さな提灯には、薄っすらと「コウ」と書かれた跡があった。

 物語の大部分は、そのコウなる謎の人物が現れる満月の4日間の出来事に終始する。その4日間の青みがかった月をブルームーンと呼び、過去へ行けるという奇跡が起こるという。
 まさに少女漫画をそのまま小説にしたような恋愛ファンタジー小説である。ただ理想の男性像のようなコウ君は、なんだか無機質の幽霊みたいで物足りないし、ストーリーにも全く幅が感じられない。また最終章の種明かしにも、余り工夫がなかったのが残念である。

 京都の古い街並みや観光地の情景描写が、なかなか幻想的で美しく綴られているので、女子学生たちには楽しめるかもしれない。だが人間描写やストーリーの奥行きが薄いため、大人たちが読んでも、まず感情移入することはあり得ないだろう。

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2021年10月13日 (水)

奇跡の絆

★★★☆
製作:2017年 米国 上映時間:119分 監督:マイケル・カーニー

 本作は主人公であるロン・ホールの実話を元にしたノンフィクション「Same Kind of Different as Me」を原作とし、脚本もロン・ホール自身が手掛けている。裕福な画商が、妻に強要されてホームレスへの給仕ボランティアに参加、そこで凶悪なホームレスの黒人デンバーと出会ったことから始まる奇跡を描いている。なかなか泣かせる質の良い映画なのだが、残念ながら日本では劇場公開されなかったのだが、このたびAmazonやHuluで配信されることになった。

 ロンがホームレスへの給仕ボランティアに参加したのは自らの意志ではなく、浮気がバレその代償として妻が参加していたこのボランティアを手伝うハメになったのである。はじめは嫌々手伝っていた彼も、次第に妻と心が通じ合うようになり、ボランティア行為にも意義を感じるようになる。そんな中で、妻の夢の中に登場したという「凶悪な黒人デンバー」とも心が通じ合うようになるのだった。

 本作では差別と貧困に喘ぐ黒人と裕福な白人との友情を描きながらも、その両者を比較しながら裕福な白人たちの「裕福なゆえの行為や偏見」などを皮肉っているようである。ただ省略されていてよく分からなかったのは、ロンの妻であるデビーがどうしてホームレスへの給仕ボランティアに興味を持ったのかということだ。まあこれは観客たちの想像に委ねるしかないのだろう。またロンの子供たち二人が頻繁に登場していた割には、ラストには全く顔を出さなくなったのも尻切れトンボ状態だった。
 

評:蔵研人

 

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2021年10月10日 (日)

犯罪都市

★★★☆
製作:2017年 韓国 上映時間:121分 監督:カン・ユンソン

 本作は2004年に実際に起こった事件が下敷きになっているという。韓国ヤクザの縄張り争いが頻繁に起こっている韓国のとある街。そしてそこで凶悪犯罪を相手にする「強力班」の副班長を務めるマ・ソクト刑事の活躍ぶりを描いたアクション映画である。
 なんとなく関西でのヤクザ抗争を髣髴させられるが、拳銃の使用は一切なくスケール感は余りない。それもそのはず、プロレスラーのようなマ・ソクト刑事のアクションシーンを際立たせるためには、拳銃の使用はご法度なのであろう。

 それにしてもマ・ソクト刑事を演じたマ・ドンソクは、身長こそそれほど大きくはないが、その筋肉の塊のようなボデーはなかなか見事である。実は彼は韓国系のアメリカ人で、過去に総合格闘家のケビン・ランデルマンやマーク・コールマンのトレーナーを務めていたこともあったのだという。なるほどそれであの筋肉の鍛え振りに納得した。

 腕っぷしは強いが親分肌であるマ・ソクト刑事は部下たちに信頼されている。また乱暴な取り調べをするものの、人情派であり街のヤクザ者たちにも一目置かれる存在であった。だから街のヤクザ同士の抗争があっても、彼が仲裁に入ればなんとか解決し街の治安を保っていたのである。
 ところがある日、中国から渡ってきた狂悪な三人組のお陰で、街の治安バランスが大きく歪んでしまうのであった。とにかく三人組は残忍・非道で、平気で相手の腕や足を手斧で叩き切ってしまうのだ。だがなかなか正体と居所がつかめない。

 こんな流れでストーリーは繋がってゆくのだが、とにかく凶悪三人組が強過ぎる。街のヤクザたちが大勢で取り囲んでも、三人で簡単にやっつけてしまうのだ。とにかくこいつらをやっつけられるのは、マ・ソクト刑事だけしかいないのか。とにかく発想が単調だが分かりやすい。マ・ソクト刑事のアクションシーンのための映画なのだから…。

評:蔵研人

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2021年10月 7日 (木)

時間を止めてみたんだが

著者:藤崎翔

 著者の藤崎翔はお笑い芸人だったが、6年間活動した後にお笑いコンビを解消。その後バイトをしながら小説を執筆し、様々な文学賞に応募を続ける。そして4年後の2014年にはじめて書いた長編ミステリー『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞して小説家デビューを果たす。 という苦労人タイプの小説家である。

 本作は勉強嫌いでおっちょこちょいな笹森陽太と、学力抜群の相沢がコンビを組んで犯人探しをする学園ミステリーである。そしてストーリーは笹森の「俺」という一人称視点の軽いコミカルタッチで、まるで高校生の日記の如く飾り気なしにテンポ良く進んでゆく。なんとなくお笑いコントネタを小説にした感があるのだ。

 さて主人公の笹森は、勉強も出来ないしスポーツもダメで、気が弱くていつも便利屋としてこき使われているのだが、ある日自分に特殊能力が秘められていることに気付く。その特殊能力とは、なんと「ひょっとこのような変顔をし、息を止めている時だけ時間を止めることが出来る」という信じられない超能力だった。

 ただこんな動作は長続きしないため、時間を止めると言ってもせいぜい30秒くらいだ。だから時間を止めて、誰にもバレないうちに出来ることは殆どなかった。せいぜい女の子の後ろに回って時間を止めて、ちょこっとだけオッパイをもみもみする程度だけだろう。そう考えた笹森はさっそく意中の女子2人に対してもみもみ作戦を開始するのだが・・・。いずれにせよ、時間停止能力がつまらないことばかりに使われていて、もう一捻りが足りないところが非常に残念であった。

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2021年10月 5日 (火)

星屑の町

★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:102分 監督:杉山泰一

 ドサ回り専門のおじさん歌謡グループ「山田修とハローナイツ」の悲哀を描いた人気舞台「星屑の町」シリーズを映画化した作品。山田修とハローナイツは、結成から10年以上経過したグループだが、特にヒット曲もなく田舎の温泉場や体育館などで細々と活動していた。
 そんなある日、地方巡業で訪れた田舎町はリーダー山田修の生まれ故郷であり、そこには彼の弟・英二が待っていたのである。その英二の息子の幼馴染で母親がスナックを経営している愛は、歌手になることを夢に見ていた。そしてスナックの客として訪れたハローナイツの一員に、冗談半分で勧められたことからハローナイツに入団できると思い込んでしまうのだった。
 
 タイトルの『星屑の町』は三橋美智也の持ち歌であるが、本作とは直接関連はないようだ。それはそれとして懐かしいロマン歌謡が満載なので、オールド歌謡曲ファンには実に楽しく嬉しい映画である。また本作に『のど自慢』、『怪しい彼女』、『歌謡曲だよ人生は』などと同じような臭いを感じたのは私だけであろうか。
 それにしても、最近の歌はリズム中心のつぶやき型が多いので、何を聞いても同じように感じられ、年配のおじさんおばさん達には全く馴染まない。その点昭和歌謡曲はリズムとメロディーがしっくりとブレンドされているので分かりやすいのだ。だから今どきでも「純烈」なるグループが売れているのだろう。

 本作ではのんが久々に生き生きとした演技で、役柄にピタリとはまりこんでいたのが印象的であった。さて「のん」と言っても首をかしげる人が多いかもしれないが朝ドラ『あまちゃん』の能年玲奈だと言えばすぐに分かるはずである。そして本作でも、彼女抜きでは成立しなかったほどの存在感を発揮していたし、また超プロ級には及ばないものの歌もそこそこ上手かったよね。
 ラストは「やっぱりね」という感想だが、彼女が光ったのはおじさんたちが引き立て役になってくれたこともあったのだが…。その流れはなんとなく氷川きよしと似ているよね。あと前座歌手のキティ岩城を演じた戸田恵子の歌唱力はまさに本物だった。もう一皮むけば超プロ歌手級のような気がしたのは私だけであろうか。
 
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2021年10月 2日 (土)

恋とニュースのつくり方

★★★☆
製作:2010年 米国 上映時間:107分 監督:ロジャー・ミッシェル

 リストラで失業したプロデューサー・ベッキーが織りなす恋と仕事のサクセスストーリーである。と言っても恋は二の次で、ほとんどが超低視聴率番組を立て直すために、獅子奮闘する彼女の仕事ぶりを描いた物語と言うことになる。また言葉を変えて言えば、「低俗なバラエティはやりたくない、という元有名ニュースキャスターと、視聴率を稼ぎながらも良い番組を創りたいと考えるベッキーとのやり取りをコメディタッチで描いた作品」ということになるだろう。

 主人公ベッキー役には、お喋りと明るさが身上のレイチェル・マクアダムスがピタリとはまり役。さらに老頑固キャスターを演じたハリソン・フォードと、元ミスコン女王キャスターを演じたダイアン・キートンがしっかりと脇を固めているのも見どころであった。
 
 テンポよく起承転結を守ったしっかりとした脚本。そしてお約束のハッピーエンドと、ホロリとさせるラストシーン。いかにも「アメリカンコメディーの王道」という風味を漂わせたアメリカ映画であった。こうした映画を観ると癒されてほっとするのは私だけではないはずである。


評:蔵研人

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