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2021年8月の記事

2021年8月30日 (月)

俺物語!!

★★★★
製作:2015年 日本 上映時間:105分 監督:河合勇人

 派手なアクションと主人公の顔を観れば、すぐに原作はマンガだと気付くだろう。だが少女漫画としてはかなり異色な作風である。そのためか、女性だけではなく男性読者も魅了し、2013年「このマンガがすごい!」オンナ編第1位に輝き、同年の「講談社漫画賞少女部門」も受賞している。
 さらにテレビアニメも放送され、次々に話題を呼び、ついに本作の実写映画化まで駆け上がってしまった。主人公の剛田猛男を演じるのは、まさに彼しか適役はいないと言ってもよいほどぴったしカンカンの実力派俳優の鈴木亮平である。彼はこの役作りのために、わずか1か月で30キロ増量したというから、その役者魂には脱帽するしかないだろう。

 巨体を誇り情に厚い硬派な剛田猛男(鈴木亮平)は、男子には大モテだが女子には全くモテない高校1年生だ。そんな彼といつも一緒に歩いているのは、幼馴染で超イケメンの砂川誠(坂口健太郎)で、彼は猛男と正反対で女子に大モテなのだが女子には興味がない。
 そんなある日、猛男はチンピラのしつこいナンパから女子高生の大和凛子(永野芽郁)を救い出し一目惚れしてしまうのだった。そして奇跡的に凛子も猛男に一目惚れしてしまう。

 ところが二人が後日再会した際、猛男は凛子が好きなのは猛男と一緒にいる砂川なのだと勘違いをしてしまう。以後三人で或いはグループでさらに二人きりで逢っても、猛男はずっと勘違いをしたまま、凛子の気持ちに気付かない。まるで『めぞん一刻』のすれ違いを観ているようでイライラしてしまうだろう。また途中なんとなく、情に厚い猛男が寅さんと重なってしまった。だからこそ感動のラストシーンでは涙が止まらなかったのだろうか。

 従って単なる学園ラブストーリーではなく、しっかり友情や人生訓なども煉り込んであり、さすがに原作が一級マンガだと納得する。ただ本作は実写版なので、全てをマンガチックに描くこともなく、鈴木亮平も過剰メーキャップやド派手な演技をする必要もなくオリジナリティーを主張すればよかったのではとも感じた。
 まあいずれにせよ、本作での永野芽郁ちゃんの可愛いこと。その後NHK朝ドラでヒロインを演じるわけだが、この頃はこんなにも可愛かったとは思いもよらなかったね。

作:蔵研人

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2021年8月28日 (土)

愛唄 約束のナクヒト

★★★
製作:2018年 日本 上映時間:126分 監督:川村泰祐

 「キセキ あの日のソビト」に続きGreeeeNの楽曲「愛唄」を元に創られた作品。前作『キセキ あの日のソビト』と違うのは、GreeeeNが脚本の段階から参加し、彼ら自身の実体験も織り込んだオリジナルストーリーに仕上がっていることである。
 簡単に言えば、難病患者同士の切ない愛を描いた青春映画で、主演に横浜流星、清原果耶、飯島寛騎という若手を配し、成海瑠璃子、財前直見、富田靖子、中山美穂といった豪華キャストが脇を締めている。

 余命3か月を宣言されたトオル(横浜流星)は、失意のまま自殺しようとしているところを、旧友の元バンドマン・龍也(飯島寛騎)に救われる。そして龍也に、残された時間の中でやりたいことを全うするよう諭されたトオルは、はじめて恋をしようと決意する。そして病院で出会った詩人で難病患者の凪(清原果耶)という少女と出会うのだった。

 まあよくある難病ラブストーリーなのだが、二人とも死を目前にしているというのは珍しいパターンかもしれない。またこの作品はよく分からないことと、突っ込みどころが満載なのである。
 まずトオルの病気がガンだというのは分かるのだが、どの部位のガンなのかは全く説明がない。また凪の病名もよく分からない。まあそこいらはどうでもよいのだが、サブタイトルの「ナクヒト」が意味不明だし、凪が黒板に書いた方程式の意味も今一つよく分からないのだ。

 それに真夜中にどうやって病院に侵入できるの?さらに病人を勝手に連れ出して死期を早めてしまうのは殺人未遂ではないのか。それに余命3か月と言ったって、3か月ピッタリに死ぬわけないし、凪よりトオルが長生きしてどうする。
 またそもそも龍也に再開したのも、詩集を落とした成海瑠璃子と遭遇したのも、その詩集の著者が難病患者の凪だということも、余りにも偶然が重なり過ぎてご都合主義丸出しではないか。

 決してつまらない映画ではないし、言いたいことも分かるのだが、余りにも単調で不自然で子供騙し的な展開におじさんは耐えられなかった。それとラストにビシッと締めなくてはならない唄も今一つだし、肝心の龍也の歌唱力があれではねえ…。そうこう言いつつもおじさんは、なんとか必死で126分間を乗り越えた。まあおじさんは、いろんな映画を観ているから辛抱強いのだ。それにしても、こりゃあやっぱり超・若者映画なのかな。(-_-;)

評:蔵研人

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2021年8月25日 (水)

劇場版 おいしい給食 Final Battle

★★★☆
製作:2020年 日本 上映時間:102分 監督:綾部真弥

 1980年代の中学校で、「給食絶対主義者」の男性教師と「給食マニア」の男子生徒の給食にまつわる闘いを描いた学園グルメコメディである。おおもとは、2019年にテレビ神奈川などで10回に亘って放映されたTVドラマだ。それを劇場版に圧縮したのが本作なのだが、主な登場人物はTVとほとんど変わらない。
 そして本作は一発映画のため、給食バトルシーンは2回だけだが、給食をグルメぽい蘊蓄で執拗に褒めそやし過ぎるところが、かなり鼻についてしまった。確かに1940年代頃の貧しい給食に比べれば格段に改善されているものの、たかが給食にあれ程心酔してしまうのは、かなり不自然な感がある。

 従ってくどい給食バトルシーンよりは、先生同士のほんのりラブストーリーや、校内放送での生徒会演説のほうに惹かれてしまった。また憎々しげだがまさしく現実的な教育委員や、愛すべき優しく可愛い校長先生の演技もなかなか良かったね。
 まあいずれにせよ、良い味を醸し出している映画ではあるが、やはりどう観てもTVドラマそのものであり、映画館で鑑賞する作品としては「重さ」が足りないと言えるだろう。

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2021年8月22日 (日)

2012

★★★
製作:2009年 米国 上映時間:158分 監督:ローランド・エメリッヒ

 西暦2012年、古代マヤ文明が予言した世界の終末が現実となり、世界中で大地震、大津波、大噴火といった天変地異が発生する。従来このようなパニック映画では、一般人側あるいは大統領などのトップに属する人間側のどちらかを主人公にし、その視点から描かれることが多かった。だが本作では、家族を守ろうと必死になる一般人、全世界的な対策を練るアメリカ大統領とその顧問の科学者、大金持ちなど様々な人々が登場し、いろいろな視点でドラマを奏でるのである。
 
 何と言ってもCGと模型などを巧みに組み合わせたリアルな都市破壊シーンには、誰もが度肝を抜かれることだろう。またこの破壊映像だけでも本作の存在価値が十分発揮されている。
 ただ終盤の箱船シーンには、いろいろ文句を言いたいことが山ほどある。そもそも人間の乗船を限定し、ノアの箱船よろしく動物を乗せていることに苦笑してしまったが、一番不愉快だったのが、あの黒人科学者の妙な正義感だ。

 あのギリギリの瀬戸際であれはないだろう。結果オーライだったものの、現実なら全員溺死だったはず。それにしてもいつもながら米国映画の特徴なのだが、「1人救うために全員が死ぬようなリスクを犯す正義感」と、離婚大国のくせにまるで「教科書のような家族愛」を恥ずかしげもなく押しつけてくるのは如何なものであろうか。

 さらにハッピーエンドさまさまも良いのだが、アメコミヒーロー映画じゃあるまいし、もう少し現実的な脚本に差し替えて欲しかったね。余りにもご都合主義的なラストに、それまでの高評価がぶっ飛んでしまった。


評:蔵研人

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2021年8月20日 (金)

ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏

★★★
製作:2018年 米国 上映時間:108分 監督:ジャスティン・ケリー

 本作は実話で、架空の美少年作家J・T・リロイに成り済ました女性サヴァンナと、そのマネジャーに扮した実際の女性作家ローラの二人が世間を騙し続けた話である。なるほどサングラスとカツラを被った偽のJ・T・リロイは、マイケル・ジャクソンを彷彿させる中性的な雰囲気を持つ魅力的なアバターではないか。

 初めのうちは書店でのインタビュー程度だったが、ついには映画化されてカンヌ映画祭にまで発展してゆく嘘芝居。マスコミの追求なども厳しくなり、とうとう嘘が公表されて大騒ぎ。という大体想定内のパターンで映画はラストシーンへ向かう。

 最初は小遣い稼ぎのためにJ・T・リロイを演じていたサヴァンナだったが、だんだんことが大きくなるたびに、嘘をつき続ける葛藤に苦しみ、一度はJ・T・リロイ役を断わってしまう。だが映画の主役兼監督を熱望しているエヴァと知り合い、その魅力の虜となってしまう。そしてもう一度彼女に逢うために再びJ・T・リロイになるのだが・・・。

 まあ覆面作家というのは日本でもよくあるが、アバターを使ってまで徹底して自分の存在を隠す作家が実在していたと言うことには度肝を抜かれたな。さすが何でもありの米国である。

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2021年8月18日 (水)

情愛

★★★☆
製作:2002年 韓国 上映時間:106分 監督:ユ・ハ

 「情愛」で検索すると、「情愛中毒」という映画ばかりがヒットする。これも韓国映画なのだが、全く別の作品である。「情愛」のほうはアマゾンとHulu関連でしかヒットしないのだ。もしかすると本作は、日本で上映されていないのかもしれないね。ただし「情愛」は邦題で、原題は「結婚は狂気の沙汰」で、こちらのほうで検索したほうがもう少しヒット数も多くなる。

 内容は原題の通りで、恋愛至上主義者で結婚否定論者の主人公ジョニョンと、結婚と恋愛は別で結婚相手は良い条件の男に限定しているヨニの、ちょっぴりエロいラブストーリーだ。ヨニ役を演じたオム・ジョンファは、K-POPの女王といわれる超人気歌手らしいが、よく大胆な濡れ場を演じたものである。さすがプロ魂といったところか。

 とは言ってもR15指定ではあるが、エロというよりも綺麗なベッドシーンという感があった。また本作の主眼はベッドシーンではなく、恋愛と結婚に対する疑問ということなのだろう。また二人とも本音は結婚したいのだが、結婚後の生活に耐えられないことも分かっているため、いま一つ踏み込めないのである。
 そしてラストシーン、扉の向こう側には一体何が待ち受けていたのだろうか。なかなか洗練された大人のラブストーリーで、観客に様々な疑問を投げかけてくる。ただジョニョンに憧れている女生徒との関係が、宙に浮いてしまって中途半端な感があったのだが…。

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2021年8月15日 (日)

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

★★★☆
製作:2016年 米国 上映時間:115分 監督:ジョン・リー・ハンコック

 あのマクドナルド・コーポレーションの創業者、レイ・クロックの伝記ドラマである。だがあのマクドナルド・ハンバーガーの真の創業者ではないというのだ。実は本当の創業者は、カリフォルニアの田舎町に画期的なバーガー店をオープンしたマクドナルド兄弟なのである。

 そもそもレイは、ミキサーを売り歩く一介のセールスマンで、口八丁手八丁だけが売りの中年男だった。ところがマクドナルド兄弟の店を見て感動し、店舗拡大が可能なフランチャイズ権を獲得したのである。
 さらに品質重視のマック兄弟の企業理念に反してどんどん店舗を拡大しマック兄弟と争うことになるが、最終的には彼等から約270万ドルで店名と商権の全てを買い取ることに成功する。そして何の躊躇もなく『マック創業者』を名乗るのだった。

 確かに真の創業者であるマック兄弟では、これほど大規模な事業展開は出来なかっただろう。従って現在全世界規模でのし上がってきたマクドナルドは、レイ・クロックが創業者だと崇めても間違いとは言えないかもしれない。だがいずれにせよ、ここらの議論は実に微妙で迷走的なので、決定的な議論は難しいようだ。

 また極めつきは、マクドナルドはハンバーガーを売って儲けているのではなく、世界各都市の一等地に店舗を出店し、フランチャイジーからその好立地に見合った賃借料を徴収し、それを主な収益源としている「不動産投資ビジネス」なのだという事実である。まさに味も素っ気もない資本主義の申し子なのだ。
 なんだかイヤミの漂うような作品である。だがレイ・クロックを演じたマイケル・キートンの絶妙な存在感と、なんとなく憎めない人間味によって毒味が中和されていたような気がしたのは私だけであろうか。
 

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2021年8月13日 (金)

バイオハザード: ザ・ファイナル

★★★
製作:2016年 米国 上映時間:106分 監督:ポール・W・S・アンダーソン

 バイオハザードシリーズの6作目かつ最終作である。初回作から既に14年経過し、主演のミラ・ジョヴォヴィッチも40代になってしまった。それにしても、あの激しいアクションによく耐えられたものである。だがここらが限界であろう。と言うことは、彼女の体力の衰えを察して本シリーズも幕を閉じたのかもしれない。主役のアリス役は彼女以外には誰も演じられないからね。

 本作では日本でモデルやタレントとして活躍中のローラも共演し、シリーズ最大規模の壮大なスケールとアクションシーンが満載である。ただ画面が暗くてよく見えない映像が多いのには辟易してしまった。今どきの撮影技術を駆使すれば、暗いながらも視覚に耐えられるような映像を作り出すことは出来るはずである。

 まあ最後の最後に、これまでの謎がいろいろ解けるところは評価できる。だが何と言っても脚本がつまらないし、SFとはいえ余りにもリアリティーがなさ過ぎるんだね。それにしても休むヒマのない疲れる映画であった。
 

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2021年8月11日 (水)

ファイナル・デッドブリッジ

★★★
製作:2011年 米国 上映時間:92分 監督:スティーヴン・クォーレ

 予知夢によって1度は死を回避するのだが、結局は死の運命から逃れられず、次々にあり得ない事故で死んで行く人々の恐怖を描く『ファイナル・デスティネーションシリーズ』の最新作である。基本的にはシリーズものは観ないことにしているのだが、本作はなんとなくダラダラと全シリーズを観てしまった。いつも同じ展開で先読みできてしまいたいして面白くもないのだが、皮肉にもその単調さに惹かれて観てしまうのだろうか・・・。

 本作も前4作と殆ど同じ展開なのだが、スケールだけは一番でかいと言えるだろう。ただオープニングが凝っていること自体は良いのだが、余りにも長過ぎてうんざり、またエンドロールで過去のシリーズの残酷シーン垂れ流しにも滅入ってしまった。本作が本シリーズの最終回だと宣言したかったのだろうか。まあそんなことはどうでも良く、シリーズ全体を通して余りにも工夫がなさ過ぎる。従って万一続編が創られたとしても、もう絶対に観ないことだけは間違いないだろう。

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2021年8月 9日 (月)

ザ・ウォーキング・デッド

★★★★

米国TVドラマ シーズン10まで全153話

 シーズン10まで約9年間にわたり放映されたとてつもなく長いTVドラマである。なるほど長続きしただけあって実に面白いし、そのスケールも下手な映画を遙かに凌いでいる。また主要人物が大勢登場して、群像劇のような構成にまとめられているのである。
 ただ大都市部は仕方ないとして、ど田舎でもウォーカーたちが無限にウジャウジャ登場しすぎる。シーズン6のウォーカー大移動の戦略は余りにも無謀で、リスクが大きい割には効果が薄い。
 それよりも崖下の中で閉じ込めたまま燃やしてしまうのが一番簡単で、リスクが無く効果大なのにどうして考えつかなかったのだろうか。無理矢理次の展開を創るための苦しいシナリオとしか言いようがないのだ。この死の行進が、このシーズン6の最大のマイナスポイントであろう。

 それにしてもいつも全員が甘過ぎる、リックも含めて砦を守るべき者達が、ときどき大勢で外に出払ってしまう。そしていつまでも外でうろうろして戻ってこないのだ。素人でも考えつくのに、戦闘のプロに近い者達がいつも余りにも迂闊すぎるではないか。さらに戦闘中にあれだけウォーカーの血が、ベトベト体に付いているのにどうして感染しないのだろうか。

 またリックは真面目すぎて、甘過ぎたり辛過ぎたり、極端で柔軟な状況判断が出来ない。清濁併せ呑めないので、リーダーとしては不適格。まだダリルのほうがましなのだが、彼は人前で演説するなどのパフォーマンスを全く持たない。
 その他の者達も総じて甘過ぎて話にならない。良くここまで生き延びたと感心する。もっとも終盤までに殆どの者が死んでしまうので、やはりそんな運命だったのだろうか。それから、もういい加減100人以上は殺しているはずだが、殺しても殺しても次から次へとウジ虫のように湧いて出てくる救世主軍は一体何人いるの?

 それにしても主人公のニックをはじめメンバー全員が、家族や恋人が死んだときの悲しみや落ち込み方が尋常ではない。ほとんどが自己喪失となったり、狂人の一歩手前にまで落ち込んでしまうのだ。もちろん誰でも家族が亡くなれば悲しくてやりきれないのは理解出来るが、本作では余りにも極端に描きすぎている感がしてならない。それともそれが米国人の感性なのだろうか。

 さて非常事態下では子供といえども、大人と一緒に働くはずである。それなのにヘンリーに悪い遊びを教えたヒルトップの中高生達が、いつも遊び呆けているのは非現実的だ。あれでは現代の裕福な家庭の少年達とほとんど変わらないではないか。
 またウィスパラーズと言う集団が、ウォーカーのスキンマスクを被ることでウォーカーに襲われず、彼等を先導することが出来るのだが、そんなことが可能なら誰もウォーカーに対して苦労することがないじゃないの。とうとう、そもそものストーリーをぶち壊すアイデアに頼らざる得なくなったということは、もうこのドラマもお終いに近づいているということだろうか。
 
 それにしても、総督→救世主→ウィスパラーズと、いつまでも悪人集団が次から次へと登場して落ち着かないし、同じようなパターンに辟易してしまうよな。それになぜ今までこの3集団が鉢合わせしなかったのかも納得できない。またいつも1人救うために大勢の仲間が犠牲になる、というパターンはどうにかならないのだろうか。
 決して正義感ぶることが悪いわけではないが、世界が破綻している状況の中では、もっと現実的に物事を処理しなくては生き残れないはずである。だからリックたちの集団がここまで生きているのは奇跡としか言いようがない。そんな意味では、最大の悪党かと思い込んでいたニーガンの生き方が、一番現実的なのかもしれないと考え直すようになってしまった。
 なおシーズン10には、6話のエピソードが追加されているが全てが過去の外伝であり、第22話「ここにニーガンあり」以外は全く面白くない。そして16話から繋がるストーリーは、シーズン11を待たなくてはならないのだが、今までのように夜を徹しても観たいという気にはなれないかもしれないね。


評:蔵研人

 

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2021年8月 7日 (土)

ビッグ・アイズ

★★★★
製作:2014年 米国 上映時間:106分 監督:ティム・バートン

 1950年代~1960年代に、憂いの漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博した。だが本当は妻が描いた絵を、会話と宣伝力に長けた夫が、自分名義で販売して名声を手にしていたのであった。夫に脅かされ強要されて10年以上に亘って代理絵を描き続けた妻だったが、とうとう我慢しきれなくなり、ラジオで秘密を公開することになる。

 これは実話であり、ラストには実際人物の若かりし日の写真が写されるのだが、夫婦共々まるでそっくりさんが演じたように似ていたのが印象的だった。ただ妻が孤独にたえながら1日16時間も絵を描き続ける中、夫は次から次へとメディアに登場し、セレブたちと派手に遊び歩く。妻は友人とも逢えず、娘にさえ嘘をつき続ける毎日を10年以上も続けた、ということが私には理解も納得も出来ない。

 当時は米国も男尊女卑の世の中だったのだろうか。いやそんなことはないはず。この妻が世間知らずで弱かったのかもしれない。
 しかしながら中盤は、そのあたりの描写が延々と続くので、観ているほうはイライラが治まらない。ラストでやっと裁判になるのだが、最初からああすれば何の問題もなかったのにね・・・。それから終盤はなんだか「エホバの証人」の宣伝をしているような気がしたのは私だけであろうか。
 
 
評:蔵研人

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2021年8月 4日 (水)

無垢なる証人

★★★★☆
製作:2019年 韓国 上映時間:129分 監督:イ・ハン

 実力はあるのだが、良心を捨てきれないため出世街道から外れ、質素な生活に甘んじている弁護士のスノ。だが父親が友人の保証人になったため借金を抱えることになり、より給料の良いイケイケの大手弁護士事務所に移籍することになる。
 ただこの事務所は、弱者救済を軽視して企業の利益だけを追求する事務所で、スノも現実の波にのまれて信念と情熱を見失いつつあった。そんな彼の変化を察知した恋人からは「人が変わってしまった」と、愛想を尽かされてしまう始末。そんなある日、彼はある殺人事件の国選弁護人に指名される。

 被害者はウンテクという老人で、容疑者は長年ウンテクの家政婦を務めていたミランという女性だった。ミランはウンテクの顔にビニールを被せて窒息死させた疑いがかけられている。ミランは弁護人のスノとの面会時に、「ウンテクは2年前に妻を亡くしたためか常に自殺願望があった」と話す。さらに自殺しようとしてビニール袋を被ったウンテクを止めようとしたが、死のうとしている者の怪力にはかなわず、とうとうウンテクはそのまま死んでしまったのだと聞かされる。

 だがこのミランの言い分を覆したのが、向かいの家に住む自閉症の少女ジウだった。彼女はミランがウンテクにビニールを被せて殺したと証言したのである。しかしながら余り人前に出たことのないジウが、証人として出廷できるのだろうか。さらに自閉症の少女の証言能力が認められるのだろうか。本作ではこのあたりが最優先テーマになっているようだ。
 「夢は弁護士になること。でも自閉症の自分には無理なのは分かっている。だからせめて証人になって世の中の役に立ちたい」ジウのこの言葉が胸に刺さって感動の嵐を呼ぶ。

 結果は観てのお楽しみだが、終盤には感動の涙を流さずにはいられないだろう。本作では韓国映画特有のおふざけもないし、自閉症の少女ジウを演じたキム・ヒャンギのピュアな演技が光り輝いていた。いずれにせよ久し振りに良い映画に巡り会ったことに感謝したい。また余談であるが、弁護士スノを演じたチョン・ウソンが、まるで兄弟の如く福山雅治に似てるので驚いてしまった。


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2021年8月 2日 (月)

ファイナル・デッドコースター

★★★
製作:2006年 米国 上映時間:93分 監督:ジェームズ・ウォン

 「ファイナル・デスティネーション」「デッドコースター」に続き、死の運命から逃れようとする若者たちを描くサバイバル・ホラーの3作目である。遊園地でジェトコースターに乗る寸前に、オイル漏れが原因で墜落する予知夢を見てしまったウェンディ。それで大騒ぎして発車寸前のジェットコースターから降りることに。またこの騒ぎでウェンディだけではなく、搭乗していた10人が降車することになる。

 その後ジェトコースターは発車し、ウェンディの予知夢通り墜落してしまう。さてせっかく難を逃れた10人だったが、なんと座席順に次々に奇怪で恐ろしい事故に巻き込まれて命を落としてしまうのだった。

 まあある程度怖くて面白いのだが、ただ事故の内容が異なるものの、全てのパターンが第1作から変わらないのだ。本作をシリーズ通して初めて観る人はともかく、前2作を鑑賞している者にとってはかなりかったるい。それはともかくとして、ジェットコースターには絶対乗りたくなくなってしまったぜ。

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