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2021年7月の記事

2021年7月31日 (土)

パパのお弁当は世界一

★★★☆
製作:2017年 日本 上映時間:76分 監督:フカツマサカズ
 
 離婚し高校生の娘のために3年間お弁当を作り続けた父親と娘の実話を映画化したものらしい。最初は見栄えが悪くしょっぱい弁当だったが、最後は形も良く美味しい弁当に成長して行く経緯が面白い。

 仕事があるのに良く作ったものであるが、あんなに酷かった弁当を食べてくれた娘も優しいのだろうか。ただ弁当箱も洗わずテーブルに置きっ放し、夕食後も食器の片付けもせず、さっさと自分の部屋に引っ込んでしまう娘も如何なものだろうか。さらに彼氏の弁当まで作らせるとは、開いた口が塞がらなかった。娘がだらしないのか父親が甘過ぎるのかどちらかであろう。
 映画のほうは低予算で、上映時間も短いのでTVドラマ以下の感はあったが、そこそこ面白かったので許すことにしようか。

評:蔵研人

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2021年7月29日 (木)

AI崩壊

★★★
製作:2020年 日本 上映時間:131分 監督:入江悠

 2030年の世界を描いた日本発のSF映画である。そもそも妻をガンから救うために開発した医療用AIだったが、労働厚生省の認可が間に合わず、妻は死亡。それから数年後にやっと認可されたAIのぞみは、医療だけではなくあらゆる生活の中に浸透し、人々の暮らしを支える存在に進化していた。
 ところが開発者の桐生が総理大臣賞を受賞する当日に、突如のぞみが暴走を開始するのだった。なぜ暴走したのか、のぞみのプログラムを書き換えたのは何者なのか、そしてその目的は何なのだろうか。
 と言う状況の中で、まず開発者の桐生が疑られてしまう。さらに間の悪いことに、桐生の娘がのぞみが設置されているマシンルームに閉じ込められ、室内の温度が急激に冷却されてしまうのだ。

 医療に特化したほうが現実的で納得できるシナリオが出来たのではないだろうか。わずかあと10年足らずで、これだけ生活圏に浸透するシステムが完成するはずがない。それにかなり使い古されたテーマで、目新しさが全く感じられなかったのが残念である。
 また桐生が逃げまくる意味が理解出来ない。逃げれば逃げるほど怪しまれるだけだし、現実ならあれだけ巧みに逃げおおせるはずがないぜ。映像を含めて前半はまあまあの出来だったが、桐生が逃亡を開始してからはちょっとね・・・。真犯人もすぐ分かっちゃったしさ。

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2021年7月27日 (火)

閉鎖病棟 -それぞれの朝-

★★★★
製作:2019年 日本 上映時間:117分 監督:平山秀幸

 さまざまな過去を持つ患者達が入院している精神科病院でのお話である。患者全員が重い過去を引きずり、世間だけではなく家族からも疎まれ遠ざけられながらも、精一杯明るく生きて行こうとする患者たち。だがそんな平和な日常を一瞬にして破壊してしまった殺人事件。
 その犯行の原因を知っていたのは3人だが、それぞれがそれを公表できない事情があった。実に切ない、だがその切なさを乗り越えようとする前向きのエネルギーが、なんとラストの感動へと繋がって行くのだ。

 本作は山本周五郎賞に輝いた帚木蓬生の小説を映画化したもので、第43回日本アカデミー賞で優秀監督賞・優秀脚本賞(平山秀幸)、優秀主演男優賞(笑福亭鶴瓶)、優秀助演男優賞(綾野剛)、優秀助演女優賞(小松菜奈)の5部門で受賞している。ただ原作が1994年に出版された小説なので、時代背景にチグハグしたものが感じられる。また映画では笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈の三人に焦点を絞っているようだ。その三人を簡単に紹介すると次のようになる。

梶木秀丸(笑福亭鶴瓶) 過去に殺人罪で死刑執行されたのだが、執行後になんと存命という稀なケースのため、施設送りとなったが死刑の後遺症で車椅子生活を送っている。
塚本中弥(綾野剛) チュウさんと呼ばれ施設では人気者の好青年なのだが、突然発作が起こり「何かが聞こえてくる」とわめき散らす。
島崎由紀(小松菜奈) 病気というよりは、義父に犯されて妊娠し実母からも見放され、何度か自殺未遂を繰り返している悲しい少女。

 暗く切ない過去と現在を持つ人々。それにしても彼等に明るい未来はあるのだろうかを問う好作品である。ただやむを得ないのだが、台詞が少なくハッキリしないところが少々イライラしてしまうのだ。

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2021年7月25日 (日)

ザ・ゴーレム

★★☆
製作:2018年 イスラエル 上映時間:95分 監督:ドロン・パズ

 日本では珍しいイスラエル製のホラー映画である。背景は17世紀中期、疫病と異教徒の脅威にさらされたユダヤ系コミュニティ。村人達は戦うことを拒否していたが、気の強いハンナだけは、カバラの禁断の秘術を使って、泥人形に命を与えた『ゴーレム』を生み出す。

 とここまでは面白そうな展開なのだが、なにせ低予算過ぎてこのあとが全くの期待外れだった。通常ゴーレムは巨大な岩人形で、大魔神やパンプキンヘッドを想像していたのだが、なんと普通の幼い少年なのだ。ハンナが亡くした幼い息子と混在させているいうなのだが、余りにも迫力がなさ過ぎるんだね。そしてその少年が念力を使って戦うという仕組みなのだ。
 ホラーというほど怖くもないし、登場人物も少なく、戦闘シーンもこじんまりとして迫力がない。ラストも想像通りの平凡で全く工夫の無いエンディングと、なんだか騙されたような気分で一杯である。


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2021年7月23日 (金)

グランド・ブダペスト・ホテル

★★★☆
製作:2013年 英国・ドイツ 上映時間:100分 監督:ウェス・アンダーソン

 1932年、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる交流と冒険を、コミカルタッチで描いたミステリーである。ここで言うコミカルタッチとは、ドタバタ喜劇と言うことではなく、マンガチックでスピーディーな展開で描かれているのだと解釈して欲しい。
 従ってテンポは良いのだが、何の前触れも説明もなくストーリーや背景が変化してゆく。と言うことで、真面目に観ている人にとっては、何だかよく分からない作品のまま終劇となってしまうかもしれない。

 本作のミステリー部分とは、グランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュ:グスタヴ・Hが愛した大富豪の老女が急死したところから始まる。なんと老女の葬儀に集まった親類達の前で、遺言執行人の弁護士コヴァックスが、グランドブダペストホテルや、高価な絵画「少年と林檎」などをグスタヴに遺贈する旨の遺言を読み上げるのだった。この瞬間・・・驚喜するグスタヴと怒り狂う親族の顔と顔。
 だが親族達の怒りは収まらず、「老女はグスタヴに殺害された」のだと訴えてしまうのだ。すぐにグスタヴは、老女殺害の容疑で逮捕され、第19犯罪者拘留所に収容されてしまう。さらには証人達が次々に殺害され、グスタヴはまさに四面楚歌状況。さあ彼は一体どのようにして、このピンチを乗り越えていくのだろうか、ペペンペンペン!

 本作は第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリ、第87回アカデミー賞の4部門を受賞し、さらにゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)までも受賞している。そしてなんとキャストの豪華なこと、主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートン、エイドリアン・プロディー、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、ビル・マーレイなどが脇を固めているのである。


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2021年7月21日 (水)

恋は雨上がりのように

★★★★

製作:2018年 日本 上映時間:112分 監督:永井聡

 原作は眉月じゅんのベストセラーコミックだ。ファミレスの中年店長とバイトの女子高生の恋模様を描いている。ただし恋模様と言っても、女子高生の一方的な押しかけ恋愛で、店長のほうは立場上もあり困っているという状況なのだ。
 なんともおじさんには涎の出そうな羨ましい話である。だが実際に恋に落ちてしまったら、未成年との交際は社会的にはいろいろ問題になりやすい。もちろんお互いに愛し合って、双方合意の上で付き合うのなら法的には問題がないものの、世間の目はなかなか許してくれないだろう。

 そんな問題を提起しながらも、決して恋愛だけを追い続けて描いているわけではない。若さが発揮するパワーのこと、親友との友情の大切さ、ひたむきにスポーツに打ち込む純真さ、などなど人生の大事な切れ端がいくつも鏤められているのだ。
 原作がマンガの割にはそれほどマンガ臭くないし、脚本もよく煉り込まれている。さすがネットでの高評価は嘘ではなかった。また主演の大泉洋のおふざけと嫌みのない演技には好感度が上がったし、ベテラン濱田マリの突っ込みと掛け合いも良い味を出していた。さらに演技的にはいまひとつだが、この映画の中では無口な小松菜奈の可憐さがとてもいじらしかった。

 そしてエンディングの「約束」で、二人の将来への繋がりをなんとなく漂わせる。なかなか爽やかなドラマで思わず涙を流してしまった。久し振りになかなか味わい深い邦画に遭遇することが出来て嬉しい気分である。
 

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2021年7月18日 (日)

億男

★★★
製作:2018年 日本 上映時間:116分 監督:大友啓史

 キャストは主人公一男を演じた佐藤健をはじめ、高橋一生、黒木華、沢尻エリカ、北村一輝、藤原竜也と錚々たる顔ぶれである。さらにパーツ・パーツもそれなりに面白いのだが、全体の展開がやや意味不明で何を言いたいのかも理解しづらい。
 
 「お金に困っている人がある日突然宝くじで3億円当たったら」というのがキャッチフレーズで、主人公の一男も宝くじで3億円を手にするのだが、冒頭のディスコで深酔いして札束をばらまいただけで、その後は過去の回想ばかりで金を使うシーンは何もないのだ。どうも私が描いていたストーリーとは全く異なる筋書きで、あれよあれよと戸惑っているうちに終劇となってしまった。

 一体この映画は何なのだろうか。そして一男のアホなこと。どこの世界に用もないのに、3億円の現金を銀行から引き出してくるか?そもそも数日前に銀行に連絡し、さらに銀行からあれこれ使用使途をしつこく聞かれ、警察官立ち会いの下でしかそんな大金は引き出せないご時世だ。
 そもそも何があってもすぐに借金を返せば良いのに、それもしないで一体何を考えているのだろうか。またモロッコでも疲れたぐらいで気を失ってしまうし、頼りないにもほどがある。別居している妻から離婚を迫られるのも当然だよね。

 そして終盤もいい加減。犯人が3億円を抱えたまま偶然に電車に乗ってくるはずがないじゃないの。良かったのはオーラスだけだね。お金じゃ買えないものもあるけど、やはり地道でも有効な金の使い方があるよという話なのかな。
 

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2021年7月16日 (金)

バクマン。

★★★☆
製作:2015年 日本 上映時間:119分 監督:大根仁

 素人の高校生二人が漫画家になり大活躍するまでを描いた映画である。本作は週刊少年ジャンプで連載されていた大人気コミックを実写映画化しました作品である。また染谷将太扮するライバル新妻エイジが、なんとなく『デスノート』に登場する探偵Lと似ていると思ったら、なんと原作者が『デスノート』と同じ「大場つぐみ&小畑健」ではないか。

 『週刊少年ジャンプ』に掲載されていたマンガが原作と言うことで、通常なら『週刊ポンプ』と言うような疑似名称を使うところである。だが本作では、そのまま『週刊少年ジャンプ』の名称と編集部の方針や、これまでに発表された主なマンガなどが紹介されているのだ。多分いろいろ集英社に理解および協力を仰いだのであろう。
 
 またマンガ家を目指している人には、マンガの描き方やマンガ家になるためのノウハウが詰め込まれているので、ありがたいのではないだろうか。さらには、マンガ家になったあとの苦労話も盛り沢山で、「安易にマンガ家など目指さないほうが良いよ」という警告も発せられている。

 本作はマンガ家サクセスストーリーに加えて、マンガバトルやちょっとしたラブロマンスも組み込まれていて、なかなか楽しめる作品に仕上がっているではないか。また主な出演者は、主人公の高校生二人に佐藤健と神木隆之介、その他リリーフランキー、山田孝之、染谷将太、小松菜奈などが脇を固めている。

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2021年7月14日 (水)

ジョイ

★★★☆
製作:2015年 米国 上映時間:124分 監督:デヴィッド・O・ラッセル

 アイデア商品の発明で、アメリカンドリームをなし得たシングルマザーの実話を映画化した作品である。仕事をしながらも、二人の子供に病気の祖母と、毎日TVを観ているだけの母の世話をしているジョイ。さらに何度も浮気をしては出戻ってくる父親と、やはり離婚したのに居座っている夫に地下室の部屋を占拠されても怒らない。

 そんなある日、ジョイは割れたグラスを掃除したおりに、モップを絞って手に傷を負ってしまう。そのとき脳裏に閃きが起こり、彼女は触らずに絞れるモップのアイデアを思いつく。なかなか良いアイデア商品なのだが、どうやれば売れるのかが一番の難問だった。また製品を大量に創るには、大金を用意しなければならない。

 さてこの二つの課題を乗り越えて、見事大成功した女性のサクセスストーリーであり、よくある話かもしれない。だが最後の最後までハラハラドキドキの展開を巧くまとめた脚本は見事である。
 また何と言っても、誰もが主人公のジョイを演じたジェニファー・ローレンスの演技に魅入られてしまうだろう。もちろん彼女はその年のゴールデングローブ賞で最優秀主演女優賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされている。

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2021年7月12日 (月)

漂流教室

著者:楳図かずお

 大地震の発生により、突如小学校ごと、砂漠化して文明が荒廃した未来へ跳ばされた少年少女たちのサバイバルマンガである。
 砂漠化して水も植物も存在しない世界。そしてミイラ、巨大な虫、怪物化した新人類などが登場して、少年達に襲いかかる。さらには大雨と洪水、地割れなどの天災や疫病との遭遇と、苦難の連続で休む暇がない。

 だが何と言っても一番怖いのは、パニック状態に陥った人間であろう。まず大人と子供達との争いにはじまり、女番長の反乱、仲間同士の確執などなど、次から次へと全く手が付けられない。
 それにしても主人公であり、皆をまとめるリーダーになるのが、普段勉強の出来ない学校嫌いの少年・高松翔と言う設定が面白い。また身障者の女の子を通して、未来と現在の通信を行うという発想もユニークである。そして予想を裏切られたラストの大逆転は、実に切なくて感動的ではないか。

 本作は1972年から1974年に『週刊少年サンデー』で連載されたマンガであり、青少年向けであり、かつすでに50年近く経過しているため、やや陳腐化している感もあった。だがタイムスリップした少年達のサバイバル生活と、彼等は現代に戻れるのだろうか、という興味と疑問に惹かれて、きっと誰もが夢中で頁をめくってしまうはずである。

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2021年7月10日 (土)

引っ越し大名!

★★★★
製作:2019年 日本 上映時間:120分 監督:犬童一心

 原作者が同じと言うこともあり、何となく『超高速!参勤交代』と似ている感があったので敬遠していた。だが意外にネットの評価が高いので、騙されたと思って覗いてみた。
 見事結論はネットの評価通りで、なかなか面白かった。コミカルな創りと「移動」ということでは『超高速!参勤交代』と似ているのだが、移動の部分は少なく、国替えの準備の部分に焦点が当てられ、国替えのいろいろなノウハウや作法などが披露されて勉強になったからだ。

 そしてコミカル中にシリアスが同居していること。また頼りなかった主人公が、いろいろな困難を乗り越えながら、少しずつ能力を発揮して成長して行くところがRPGのようでなかなか見応えがあった。
 また主役の星野源とヒロインの高畑充希の、息のピッタシ合った掛け合い振りがなかなか楽しい。そして高橋一生のダイナミックな殺陣も見応えが合った。そして脇を固めた、及川光博、西村まさ彦、ピエール瀧、濱田岳といった芸達者達も本作を盛り上げてくれた。

 なお本作で国替えを命じられた松平直矩は実在の人物であり、何度も国替えを命ぜられたことは史実なのだが、松平直矩以外の人物は架空の人物だという。その松平直矩は、父親・直基の代に、越前勝山藩3万石→越前大野藩5万石→山形藩15万石→姫路藩15万石と、なんと4回も国替えを命令されている。さらに家督を引き継いだ後も、越後村上藩→姫路藩→豊後日田藩→出羽山形藩→陸奥白河藩、と数年おきに国替えをさせられたというのだ。それにしても、一体どういう理由でこれほど国替えが多かったのだろうか・・・。

 
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2021年7月 8日 (木)

マイPSパートナー 

★★★
製作:2012年 韓国 上映時間:114分 監督:ピョン・ソンヒョン

 R18指定でセクシーでかわいい女優の半裸ポスター。そして「恋愛やセックスにおける男女の本音がつづられる韓国発のラブコメディー」という謳い文句。さらにネットでの評価も上々、とくれば誰でもこの映画を観たくなるだろう。
 ところが残念ながら、R18指定するほどエッチでもないし、ヒロインもヌードにはならない。だからエッチを期待している人は、パスしたほうが良いかもしれないね。

 本作は彼氏と間違えてテレホンセックスをしてしまった男女のラブストーリーである。ただそのきっかけ以外はありきたりの展開で眠気を誘われてしまった。そして終盤はあの米国映画『卒業』のパクリかな・・・と思わせて、またまたどこかで見たようなラストシーンで締めくくっている。

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2021年7月 6日 (火)

不思議の扉 時をかける恋

★★★★
編者:大森望

 翻訳家・書評家でとくにSFに造詣の深い大森望氏が選んだ「タイムトラベルロマンス」の短編小説6編が収録されている。その中身を並べると次のようになる。

「美亜へ贈る真珠」著者:梶尾真治
 タイムトラベルロマンスの達人である"カジシン"さんの処女作にしてかつ名作と言って良い作品。航時機という名のタイムマシン、その装置の中と外では時間の流れが異なっている。航時機に乘り込んだ男性を、外から見守るしかない女性のいじらしさと切なさを描いたポエムのような小品だ。

「エアハート嬢の到着」著者:恩田陸
 長編小説『ライオンハート』の中の一節である。時代を超えて何度も出会う恋人同士の話で、ロバート・ネイサンの名作『ジェニーの肖像』の本家取りである。

「Calling You」著者:乙一
 一時間時間のずれた「こころの電話」で知り合う男女の悲しく切ないラブストーリー。『きみにしか聞こえない』といういうタイトルで映画化されている。

「眠り姫」著者:貴子潤一郎
 授業中に居眠りばかりしていた少女が、どんどん睡眠時間が長くなり目覚めるのに数年間もかかるようになるという話。手塚治虫の短編『ガラスの脳』も同じような話だが、本作のほうが後に書かれているので、手塚作品を参考にしたのかもしれない。
 
「浦島さん」著者:太宰治
 太宰の小説なのでSFというよりは、昔話を皮肉とイヤミでくるんだ作品なのだろうか。竜宮との時間差、そして乙姫へのあこがれということで、実験的に本書に掲載したのかもしれない。

「机の中のラブレター」著者:ジャク・フィニイ
 『ゲイルズバーグの春を愛す』の中に納められていた『愛の手紙』福島正実訳を、大森望の新訳にしてタイトルを変更したものである。古い机の引き出しを介して文通をする話で、韓国映画『イルマーレ』が影響を受けているようだ。さていつもながらだが、ジャク・フィニイの作品は、古き良き時代の風景描写が巧みだよね。

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2021年7月 4日 (日)

男はつらいよ お帰り寅さん

★★★★
製作:2019年 日本 上映時間:116分 監督:山田洋次

 『男はつらいよ』シリーズ50作目の人間ドラマである。吉岡秀隆が演ずる満男が主人公なのだが、満男やさくらの回想シーンに渥美清演ずるところの寅さんが何度も登場する。この現代と懐かしい過去の映像を、実にタイムリーに無理なくマッチングさせた脚本には、山田監督の匠の技を感じてしまうことだろう。また古い映像を新しく焼き直した最新技術にも着目したい。

 さてストーリーのほうは、作家になった満男が初恋の相手イズミ(後藤久美子)と数十年ぶりに再会し、淡い恋心に染まりながら彼女との3日間を過ごすというお話である。寅さん似でお人好しの満男は、初恋相手のために3日の無償労働とガソリン代を提供し、さらにイズミの父親に2万円をむしり取られてしまう。でもラストにはその代償が得られるからいいか・・・。
 まあどちらかと言えば、ストーリーのほうはどうでも良く、若かりし日の寅屋の面々と、すっかり老け込んだ現在とのギャップと懐かしさを楽しむOB会映画と言ったほうが良いだろう。
 
 またラストには歴代のマドンナ達が次々と過去映像で登場するのだが、現在の老けた姿でも登場したのはリリー役の浅丘ルリ子と夏木マリの二人だけであった。それでもマドンナ以外のキャストでは、吉岡秀隆と倍賞千恵子をはじめ前田吟、佐藤蛾次郎、後藤久美子などが過去と現在の双方に出演している。いずれにせよ、過去の映像を観ながら昭和時代を懐かしく思い返し、感傷的になって思わず熱い涙をこぼしてしまう人も多いだろう。

 ある意味で本作は「満男はつらいよ」編であり、続編が創られても良いかもしれない雰囲気だ。なかなか良い出来の作品だったが、オープニングの桑田佳祐だけが意味不明で、場違いな感があったね。

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2021年7月 2日 (金)

ルート225

原作:藤野 千夜 漫画:志村 貴子

 『ルート225』は、藤野千夜が芥川賞受賞後に書き下ろした長編小説であるが、その後多部未華子主演で映画化され、さらに志村貴子が描く漫画にもなっている。私は何れも読んだり観たりしているのだが、何と言ってもかなり昔のことで、ほとんどあらすじを忘れてしまった。
 覚えていたのは弟を探しに行った姉が、やっと公園で弟を見つけるのだが、なかなか家に帰ることが出来ない。…と言うような出だしの部分と、映画での多部ちゃんがまさにぴったしカンカンだったということだけであった。このたびたまたま本棚の隅っこでこの漫画版を見つけ、漫画ならすぐに読めるだろうと考え再読することにしたのだ。

 まずタイトル 『ルート225』の意味は、単純に数学の√225=15で、ヒロインの年齢ということになる。また同時に弟が見つかった公園に面した国道、つまりパラレルワールドの入口を指すのだろうか…。
 さて15歳と言えばまさに反抗期である。今まで仲の良かった友達になんとなくちぐはぐ感を覚えたり、ことに両親に対してはかなり煩わしい存在に思えてくる年令であろう。だからと言ってまだ生活力がないため、渋々親の言うことにも従っている。

 そんなヒロインの心理状況がパラレルワールドを産み出してしまったのだろうか。だがやはり異世界には馴染めず、弟と二人で必死に元の世界に戻ろうとする。またあんなに鬱陶しかった両親にも逢いたくなる。そしてそんなもう一つの自分の心にも気付いて行く。パラレルワールド自体については、なぜこの世界に迷い込んだのかとか、なぜ自分たちと両親だけが存在しないのかとか、いろいろ突っ込見所が多い。だが本作をSFではなく純文学として捉えれば、その辺りをあまり突っ込んでも意味がないだろう。ただラストがいまひとつ解り辛いので、もう一度小説を読んで確認してみたいと思う。

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