カノン
★★★★
製作:2016年 日本 上映時間:123分 監督:雑賀俊朗
金沢の老舗旅館の大女将の葬儀ではじまる。そしてここで、久し振りに孫娘3人が顔を合わすのだった。東京で子供2人を育てながら専業主婦を営む長女・宮沢紫(ミムラ)、黒部市で小学校教師をしている次女・岸本藍(比嘉愛未)、金沢の老舗料亭を継いで、女将として働く三女・岸本茜(佐々木希)の3人である。
なぜか孫娘達が喪主のようであり、その父母の姿が見つからない・・・。その訳は物語が進んでゆくたびに明らかにされるのだが、この時点では不思議な気がしたが、多分訳ありなのだろうと勝手に思い込んでいた。
もちろん想像通り、訳ありのオンパレードであった。それは祖母が孫娘達に残した手紙によって明らかにされる。まず父は不倫の果てに入水自殺、それを苦にした母は、アルコール性認知症で施設暮らしをしていたのである。
大女将の祖母も、自分の責任で息子夫婦が破綻してしまったことに悩みながら亡くなってしまった。また身勝手な父も、絵描きになれない自分を恥じたのか、或いは太宰治を真似て自殺したのだろうか。そして残された3人の孫娘達も、それぞれが悩みを抱えながら生活していた。そう人は誰でも悩みながら生きているのである。この悩みを超越して生きてゆくことが、神から与えられた使命なのかもしれない。
さて母親がなぜアル中になったのかは説明済だが、その後娘達を姑に預けながら、いろいろな施設を渡り歩き、アル中と戦う姿がフラッシュバックされながら描かれてゆく。そしてここらの経緯は、母役・鈴木保奈美の絶妙の演技で支えられているのだ。さらに祖母の辰子を演じていたのが、あの多岐川裕美だと分かって、改めて時の過ぎゆく速さを思い知らされた。
そしてこの映画のタイトルになった「カノン」という曲を3台のグランドピアノで弾く圧巻のラストシーン。これにはきっと、誰もが感動するに違いない。そうこの映画は、このシーンのために創られた映画なのだから・・・。
評:蔵研人
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