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2021年4月の記事

2021年4月30日 (金)

英国総督 最後の家

★★★☆
製作:2017年 英国 上映時間:106分 監督:グリンダ・チャーダ

 1947年のインドでは、英国からの独立が決まった。最後の総督としてやってきたマウントバッテン卿は主権譲渡の準備を進めるのだが、まだ宗教上の難問が残っていた。最終的にはインドをパキスタンとインドに分割して、宗教問題を解決するしか道はなかったのだが、英国官邸ではそのことは既に織り込み済みであり、知らないで悩んでいたのは、新任総督・マウントバッテンだけであった。

 貧しいインドの中で、総督の屋敷は贅沢三昧。およそ500人もの使用人がいて、大広間と迎賓室が各3部屋、食堂は10部屋、映写室完備という大邸宅だった。このあたりの映像は、まさにゴージャスで、いかにも英国人達が贅を尽くしていたのかを批判するような映像であった。

 パキスタンがインドから分離したことは歴史の授業で教えられていたが、これほど激しい宗教問題と政治的判断による分離だったとは知らなかった。それにしても歴史上の有名人物が次々と登場し、まさに英国版の大河ドラマと言った趣ではないか。
 ただそれだけでは堅い話に終始するため、あえてその中にさりげなく二人の若者のラブストーリーも織り込まれているので、飽きずに最後まで観ることが出来るだろう。いずれにせよ、歴史の勉強にもなるし、スケールも大きいので、まさに映画館で観る映画だと言えよう。


評:蔵研人

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2021年4月27日 (火)

響-HIBIKI-

★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:105分 監督:月川翔

 「マンガ大賞2017」で大賞を受賞したコミック『響~小説家になる方法~』を実写化した映画である。
 突如天才女子高生の鮎喰響が出版社に原稿を送る。そしてその内容の圧倒的な素晴らしさに、編集者だけではなく文壇関係者達も驚愕し、なんと芥川賞と直木賞のダブル受賞を果たしてしまうのである。

 この天才少女・響を演じたのが、欅坂46の平手友梨奈で映画初主演だというのだから、こちらもある意味天才的な演技力ではないか。それとも、あのムスッとした雰囲気が彼女の素なのだろうか。
 それにしても響は文学的な天才というだけではなく、喧嘩も圧倒的に強いし、屋上から飛び降りても死なないし、踏切の中で立ちん坊しても直前で電車が止まってくれるし、まるでスーパーマンか魔女のようではないか。そして家庭の臭いが全くしないのだ。
 一体これらをどう解釈すれば良いのだろうか。マンガだからと割り切ってしまえばそれまでだが、何か意味がなくては納得できない人も多いだろう。そのあたりをもう少し整備すれば、もっと評価が上がったかもしれない。

 さて最後に芥川賞と直木賞のダブル受賞だが、基本的に時期をずらして取得することは出来ない。つまり芥川賞・直木賞ともに一度受賞した作家は、今後芥川賞・直木賞の候補者から外されてしまうからである。ただし同時期にダブル受賞することは可能であり、過去にも双方にダブルノミネートされた作家が3人いるという。ただし誰もダブル受賞には至らなかった。

 そもそも芥川賞は新人かつ純文学のジャンルから選ばれ、直木賞はベテランかつ大衆文学のジャンルから生まれる事になっている。また出版社の経営的判断からも、一冊の本だけではなく多くの本が受賞した方が良いに決まっている。だから芥川賞2名、直木賞2名で、かつ話題性を持った著者の作品と言ったパターンが一番望まれているはずだ。従ってダブル受賞は理論的には可能でも、現実的にはまずあり得ないだろう。

評:蔵研人

 

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2021年4月22日 (木)

体操しようよ

★★★

製作:2018年 日本 上映時間:109分 監督:菊地健雄

 舘ひろしの『終わった人』同様、サラリーマンの定年後の人生を描いている。『終わった人』は普通のサラリーマンの定年後とは思えないかなり派手な展開だったが、こちらはラジオ体操という現実的で地味なサークルでの出来事が中心となっている。ただ体操に参加しているメンバーが、思ったより若いのが非現実的かな。実際は70~80代の人々が中心ではなかろうか・・・。

 まあそれはそれとして、コーヒーを飲みながら、毒にも薬にもならないこうした映画をたまに観るのも良いかもしれないね。ただ一つだけ気になったのは、主人公・草刈正雄の「定年飲み会」での若者達の失礼な態度かな。主人公が挨拶しているときも、始終無視して勝手に騒いでいたシーンである。多分現実にはこんなことは少ないと思うが、敢えてこの映画で描写する必要があったのだろうか。この描写により、私はかなり気分を悪くし、評点も少し下げてしまったことも事実である。

 それにしても寂しい主人公。ラジオ体操に誘ってくれた元上司は死んでしまうし、一人娘は結婚してかなり遠方へ引っ越してしまう。さらに最後に結ばれると思った彼女には振られてしまうし、余りにも悲し過ぎはしないだろうか。それも現実だと言われれば返す言葉がないが、『終わった人』ほどではないとしても、せめてもう少し遊び心が欲しかったよね。
 

評:蔵研人

 

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2021年4月20日 (火)

カノン

★★★★

製作:2016年 日本 上映時間:123分 監督:雑賀俊朗

 金沢の老舗旅館の大女将の葬儀ではじまる。そしてここで、久し振りに孫娘3人が顔を合わすのだった。東京で子供2人を育てながら専業主婦を営む長女・宮沢紫(ミムラ)、黒部市で小学校教師をしている次女・岸本藍(比嘉愛未)、金沢の老舗料亭を継いで、女将として働く三女・岸本茜(佐々木希)の3人である。

 なぜか孫娘達が喪主のようであり、その父母の姿が見つからない・・・。その訳は物語が進んでゆくたびに明らかにされるのだが、この時点では不思議な気がしたが、多分訳ありなのだろうと勝手に思い込んでいた。
 もちろん想像通り、訳ありのオンパレードであった。それは祖母が孫娘達に残した手紙によって明らかにされる。まず父は不倫の果てに入水自殺、それを苦にした母は、アルコール性認知症で施設暮らしをしていたのである。

 大女将の祖母も、自分の責任で息子夫婦が破綻してしまったことに悩みながら亡くなってしまった。また身勝手な父も、絵描きになれない自分を恥じたのか、或いは太宰治を真似て自殺したのだろうか。そして残された3人の孫娘達も、それぞれが悩みを抱えながら生活していた。そう人は誰でも悩みながら生きているのである。この悩みを超越して生きてゆくことが、神から与えられた使命なのかもしれない。

 さて母親がなぜアル中になったのかは説明済だが、その後娘達を姑に預けながら、いろいろな施設を渡り歩き、アル中と戦う姿がフラッシュバックされながら描かれてゆく。そしてここらの経緯は、母役・鈴木保奈美の絶妙の演技で支えられているのだ。さらに祖母の辰子を演じていたのが、あの多岐川裕美だと分かって、改めて時の過ぎゆく速さを思い知らされた。

 そしてこの映画のタイトルになった「カノン」という曲を3台のグランドピアノで弾く圧巻のラストシーン。これにはきっと、誰もが感動するに違いない。そうこの映画は、このシーンのために創られた映画なのだから・・・。

評:蔵研人

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2021年4月17日 (土)

散歩する侵略者

★★★

製作:2017年 日本 上映時間:129分 監督:黒沢清

 宇宙人が人間に取り憑いて、人間の調査を行い最終的に地球を侵略するという壮大なSF作品なのだが、余りにもチンケ過ぎる仕上がりであった。ただキャストだけは、松田龍平、長澤まさみ、長谷川博己、前田敦子、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史と超豪華メンバーを揃えている。「だからこれはB級映画じゃ無いよ!」と言わんばかりなのだ。

 だがストーリー構成に全く工夫が無く、人間の調査と言っても、数人の「概念」を人差し指で奪っただけだし、そもそも侵略者が3人しか登場しないのも、これから地球を攻撃するには安っぽ過ぎるじゃないか。そして最大の見せ場である宇宙人の攻撃も火の玉フラッシュ!という程度なのだ。もう恥ずかしくてとても観ていられなかった。
 SF映画は莫大な製作費を湯水のように使うか、ストーリー展開と理論体系をしっかり構築することが必須である。本作は間違いなく、どちらも実現出来なかった最悪の例であろう。


評:蔵研人

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2021年4月15日 (木)

海賊じいちゃんの贈りもの

★★★☆

製作:2014年 英国 上映時間:95分 監督:アンディ・ハミルトン

 おじいちゃんの誕生日を祝福しようと、マクラウド一家5人がロンドンからスコットランドの実家宅に集結する。だが父親のダグが浮気したことが原因で、夫婦仲は冷え込んで離婚が秒読みの状態であった。
 また実家に住む兄嫁の精神状態が不安定で、こちらの夫婦関係もギクシャクしており、和やかな一家団らんとは言い難いものだった。そんな中で、ドタバタしながら誕生会の準備に慌ただしい家族たちから離れたいと思ったじいちゃんは、小さい孫3人を車に乗せて海辺へと向かう。

 ここまではよくある話なのだが、この先起こる海辺での出来事には、誰もがあっと驚き「勝手にそんなことして良いの?」と疑問符を投げかけるはずである。そしてもちろん警察沙汰となり、長女の孫が取り調べを受けることになる。これ以上細かく話すとネタバレになるため、あらすじはこのあたりでお終いにしたい。
 ・・・と言っても、ラストはすっきり感漂うハッピーエンドなのでご心配なく。ただ始終ドタバタに明け暮れていたのにはうんざりしたが、スコットランドの美しい風景には心を惹かれてしまった。

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2021年4月12日 (月)

奇跡がくれた数式

★★★★

製作:2015年 英国 上映時間:108分 監督:マシュー・ブラウン

 アインシュタインと並ぶ天才と呼ばれたインド人シュリニヴァーサ・ラマヌジャンとイギリス人数学者G・H・ハーディの友情と、二人が数学界に残した軌跡を描いてゆくヒューマンドラマである。

 数学は大嫌いだし公式は全く理解不能なのだが、この作品は実に面白かった。舞台は1914年の英国であり、ラマヌジャンがインド人で差別を受けたり、宗教上の理由から思うように食事を摂れなかったこと、などが原因で波乱の人生を呼び込んでしまったことが残念である。

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2021年4月10日 (土)

ドーン・オブ・ザ・デッド

★★★

製作:2004年 米国 上映時間:98分 監督:ザック・スナイダー

 ゾンビ映画の元祖・ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を現代風にリメイクした作品として紹介されている。確かにショッピングモールに閉じこもってゾンビと戦うという設定は元祖へのオマジージュかもしれないが、だが何かが違う様な気がするのだ。例えるのは少々抵抗があるのだが、あの『エイリアン』がロメロの『ゾンビ』だとすれば、本作は恐怖感は薄れたものの全体的にパワーアップし、アクションシーンを充実させた『エイリアン2』である。

 それでゾンビが怖かったのは序盤だけで、あとは理解不能な人間達のほうが気味悪かったよね。まああれだけのパニックの中を逃げのびてきたのだから、多少おかしな奴がいても仕方ないのだが・・・。
 それにしてもあのゾンビの群れは凄まじかったね。あの大型トラックが動かなくなってしまったもの。多分CGを駆使しているのだと思うが、それにしても凄い迫力だったな。

 だから少なくとも★★★☆以上の評点を付けるつもりだったのだけど、あのエンディングロールを見た瞬間に評価がた落ち!。監督としては凝りまくったエンディングに仕上げたつもりなのかもしれないが、「くどすぎるいやしつこすぎる」、「そしてやたらうるさすぎる」。せっかく終わったと思ったのに、もう観たくない映像の投げ売りが止まらない。もう沢山だお腹一杯なのだ!!。

評:蔵研人

 

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2021年4月 7日 (水)

セブン・シスターズ

★★★★

製作:2016年 英国・米国 上映時間:123分 監督:トミー・ウィルコラ

 近未来のSFサスペンスある。世界は人口の増加と飢饉によって深刻な食糧難となり、厳格な一人っ子政策を行っていた。もし二人以上の子が生まれた場合は、食糧危機が治まるまで児童分配局の管理する冷凍睡眠法によってカプセルの中で保存されることになる。

 そんな状況下で、なんとセットマン家に七つ子姉妹が生まれる。だが政府高官である祖父によって、7人が1人になるように仕込まれ、当局の監視の目を逃れてきた。そして姉妹たちは各曜日の名前を付けられ、それぞれ週に1日ずつ外出し、30年間もの間、共通の人格を演じ続けていたのであった。ところがある日、マンデーが帰宅しなかったことから、姉妹の日常が大きく狂い始める。

 7人で1人を演じるとは、なんと新しい発想であろう。またキャストはその真逆で、性格の異なる7人を1人が演じているのだから凄まじい。そしてラストのどんでん返しもしっかりと用意されていた。
 ほとんど文句の付けようのないSF作品と言えるが、ただいかに1卵生七つ子といえど、眼球認識ではひっかかってしまうのではないだろうか。また児童分配局のしつこい割には意外に脆いところがちぐはぐであった。


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2021年4月 5日 (月)

心の旅

★★★★
製作:1991年 米国 上映時間:106分 監督:マイク・ニコルズ
 
 ハリソン・フォードがまだ40代の頃の作品で、まだシャキッとしているね。そしてかなりの部分が彼の存在感と演技力に支えられている作品とも言えるだろう。
 ニューヨーク屈指のエリート弁護士であるヘンリーは、大病院の失態の責任を救い、訴えていた患者を後に裁判所を出る。だが家庭では毎日仕事に奔走し過ぎて、妻や娘と余り接点を持てない状況が続いている。
 そんなある夜、彼はタバコを切らしたためにコンビニに行き、そこで偶然居合わせた強盗に肩と頭を撃たれてしまうのだった。通常なら命を失ってもおかしくなかったのだが、不幸中の幸いでなんとか命を繋ぐ。だが体は動かせず、口はきけず、記憶まで失ってしまうのである。

 そしてヘンリーのリハビリ生活が始まる。リハビリセンターで、黒人の看護師の努力もあり、なんとか喋ることが可能となり、体も動かせる様になる。だがどうしても記憶だけは戻らないまま退院することになり、妻のことも娘のことも思い出せないままの生活が始まるのである。
 記憶も回復せず、読み書きも不十分なヘンリーだったが、ボスのお情けで弁護士事務所に復帰することになる。もちろん同僚の名前も思い出せず、まっとうな仕事も出来ないままだが、以前と違って正義感のようなものが湧いてくるのだった。

 本作は死の淵から立ち上がったヘンリーの再生の軌跡であり、家族愛の再生の物語でもある。もちろんハリソン・フォードと妻役のアネット・ベニングの演技が光っていたが、犬の演技もなかなかだよね。そして序盤では現代米国の現実を描き、終盤で理想の米国家庭を描き直しているという、いかにも米国映画という構成だったね。いろいろ突っ込みたい部分もあるかもしれないが、ここは素直に感動しようではないか。
 

評:蔵研人

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2021年4月 3日 (土)

クロノス・ジョウンターの伝説

★★★
製作:2019年 日本 上映時間:87分 監督:蜂須賀健太郎
 
 タイムトラベル小説の御大である梶尾真治の作品が原作となっている。
 住島重工の開発部門に勤務している吹原和彦は、毎日通勤時に通りかかる花屋で働いている蕗来美子に淡い恋心を抱いていた。ところが来美子の働く花屋の前で、タンクローリーが衝突して大惨事を引き起こす。そして悲しいかな、彼女もその事故に巻き込まれて死亡してしまうのだった。

 その頃、吹原が勤務する開発部門では、時間軸圧縮理論を採用して物質や生物を過去に送ることが可能なタイムマシン「クロノス・ジョウンター」の実験を行っていた。この実験はほぼ成功したものの、過去に送ったはずの物体などが現在に戻るのに、数分間のタイムロスが発生してしまうところが問題であった。

 そのタイムロスが起こる理由や法則は全く不明であったが、吹原は来美子を救うため過去に跳ぶ。だが実験で解明されていなかったタイムロスによって、一定の時間しか過去には存在できず、その反動でずっと先の未来に跳ばされてしまうのだった…。

 ネットの評価はそこそこ高いのだが、原作を読んでいる私には今一つ感情移入ができなかった。その最大の原因は、あまりにも低製作費であることだろう。そのため肝心のクロノス・ジョウンターがちゃちいこと、吹原が跳んだそれぞれの未来の時代考証がほとんど描かれていないこと、友人の風貌が全く変わっていないこと等であろう。
 さらにラストのハッピーエンドは、原作と乖離しているだけでなく、かなり科学的に無理があった。ともかく、SF映画はガンガン金を使い、いかに嘘を本物らしく見せるかが勝負なのである。またそれなりに納得できそうな理論体系を構築しておかないと、バカバカしくなってしまうものである。このあたりが邦画にSFものが少ない原因なのであろうか。

評:蔵研人

 

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2021年4月 1日 (木)

かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-

★★★★

製作:2018年 日本 上映時間:120分 監督:吉田康弘

 このローカル線シリーズははずれがなく、いつも感動的な作品ばかりであり、三作目の本作も期待を裏切らない作品だった。ただ父親役のごっついヒゲ男だけは、ミスキャストの様な気がする。少年の回想の中で何度も現われる重要な役回りなのだが、どうも私には感情移入できなかった。またヒロイン晶を演じた有村架純も、ミスキャストとは言わないものの、彼女の天性の明るさが邪魔して、なにか今ひとつ乗り切れないのだ。これらをフォローして余り会ったのが國村隼の渋い演技と、子役の男子の切ない演技であろう。

 また簡単に鉄道会社の入社面接に受かってしまったこと。さらに電車の免許までもが、苦も無くあっさりと取得できたこと。なぜ晶が少年の母親役にあれほど拘るのか、などなど辻褄の合わない展開が随所に目立つところが残念だった。だが何と言っても、ローカル線沿線のしっとりとした美しい景色と、良い音楽に恵まれ、総合的にはそれなりの映画らしい映画に仕上がっていたのが救いであろう。

評:蔵研人

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