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2021年3月の記事

2021年3月30日 (火)

追憶の森

★★★★
製作:2015年 米国 上映時間:111分 監督:ガス・ヴァン・サント

 原題は『THE SEA OF TREES』で、富士山の青木ヶ原樹海を意味している。米国映画なのだが、舞台のほとんどがこの青木ヶ原樹海なのである。そして時たま描かれる主人公・アーサーの回想シーンだけが、米国での出来事という構成になっている。
 さてアーサーがはるばる日本の樹海を訪れたのは、ネット検索で『理想の死に場所』を探し、青木ヶ原樹海のことを知ったからである。そして樹海の奥深くに侵入し、睡眠剤を少しずつ飲み始めたとき、突然ふらつきながら彷徨い歩く日本人男性が現れ、ここから出られなくなったので助けて欲しいと懇願するのだった。

 彼はナカムラ・タクミ(渡辺謙)と名乗り、どうやら手首を切って自殺を図ったものの死にきれず彷徨い続けているようである。その後アーサーは自殺することを中断し、ナカムラを助けることに専念するのだが、なかなか樹海の出口が見つからない。
 さらに悪いことに、さきほど服用した睡眠剤が効き始め、ひどいめまいに襲われて崖から落ちてしまうのである。そしてそこに滝のような大雨が降り注ぎ、二人は半死半生の状態で夜を越すことになる。

 ナカムラは会社で左遷されたことが自殺の理由だと言うのだが、アーサーにはなぜその程度のことで自殺をするのか理解出来ない。ナカムラは文化の違いだと言い張るのだが、まだアーサーは納得できないようだ。
 前半は、たびたびアーサーの回想シーンが織り込まれるのだが、夫婦仲が悪いシーンばかりで、何がアーサーを自殺に追いやったのか不明のままである。後半になってそれが解明されたとき、あっと声を上げ、私自身も悲しみに暮れてしまった。そうだったのか、これなら死にたくもなるよな・・・。

 ここで結末を詳しく書くわけにはゆかないが、本作が描きたかったのは「真実の愛と霊魂の存在」だったのかもしれない。また樹海の怖さを大げさに描いている部分もあるが、なかなか奥行きのある味わい深い作品であったことは確かである。
 

評:蔵研人

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2021年3月28日 (日)

青鬼

★★☆
製作:2015年 日本 上映時間:70分 監督:前川英章

 6年前にテアトル系で映画館で予告編を観たときから気になっていた映画である。ただ余りにも評価が低すぎるのでパスしていた。ところがHULUにラインナップされていたので、無料で時間も短いしダメ元だと考えて視聴することにした。

 襲いかかる青鬼をかわし、謎を解いて閉ざされた洋館からの脱出を目指す人気ホラーゲームを実写映画化した作品である。舞台は古い洋館の中だけ、登場人物はほぼ6人という超・低予算映画。ただ青鬼のCGだけはそこそこの出来だが、ずんぐりむっくりで余り怖くない。
 逃げまくる杏奈ちゃんの超ミニスカートばかりが気になってしまう。でも残念ながら薄暗い建物の中なので、見えそで見えないんだね。

 ゲームを知らないせいか、謎解きの意味はさっぱり不明。ただ箱の中身については「エッ!」と驚いた。ただラストが夢落ちというのはいただけないよね。まあいずれにせよネットの悪評や、腹が立つほどのクソ映画とは思わないが、映画館で1800円で観ていたら怒ったかもしれないね。


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2021年3月26日 (金)

ルームロンダリング

★★★☆
製作:2017年 日本 上映時間:109分 監督:片桐健滋

 まだ幼い頃に母親が行方不明、祖母に引き取られるが18歳の時に祖母が他界。その祖母の葬式に、サングラスと派手な服装の男が乱入し、祖母の遺影に向かって大声で怒鳴り散らし、18歳の私の手を引っ張って葬儀場を出る。

 実はサングラスの男は私こと八雲御子の叔父で、悪徳不動産屋を営んでいる雷土悟郎であった。そして御子の面倒をみることになり、いつの間にか御子も20歳に成長していた。
 彼女の仕事は、悟郎が探してきた事故アパートに住み、自らの持つ心霊体質を活かして、そこに取り憑いている霊の話を聞き、成仏してもらうことであった。・・・といった荒唐無稽でコミカルタッチな作品である。

 雷土悟郎を演じたのはオダギリジョーで、いつも通りの役柄だが、超・ネクラヒロイン八雲御子を演じた池田エライザの存在感が凄かったね。お化けが沢山出てくるけど、全く怖くなく笑えるお化けばかりなので、余り気にしないで、お気楽に楽しもうではないの。 


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2021年3月24日 (水)

日日是好日

★★★★

製作:2018年 日本 上映時間:100分 監督:大森立嗣

 タイトルの日日是好日は映画では「にちにちこれこうじつ」と読んだが、本来は禅語の一つで「にちにちこれこうにち」が正しい読み方だという。
そして禅では、過ぎたことをいつまでも拘ったり、まだ来ぬ明日に期待したりしない。目前の現実が喜びであろうと、悲しみであろうと、ただ今この一瞬を精一杯に生きる。その一瞬一瞬の積み重ねが一日となれば、それは今までにない、素晴らしい一日になるはずである。という解釈らしい。

 前半はお茶のお稽古ばかりで、お茶を知らない人にはかなり退屈だと思う。ただ不思議なことに、知らぬ間にだんだん茶道の世界に引き込まれてゆき、その雰囲気やこころに魅入られてしまうだろう。
 ほとんどのめり込んだストーリーもなく淡々と年月が過ぎてゆく。その間に幾つかの悲哀に襲われるものの、ヒロインの心は茶道のこころに染まってゆくようだった。

 主役の黒木華の演技はさすがなのだが、茶道の先生を演じた樹木希林のしっとりとした演技も心に染み込んでくる。そして彼女は本作が上映される1ヶ月前に、全身がんに冒されて75歳の若さでなくなってしまった。
 いずれにせよ、こころが洗われる良い作品である。また悲しみや苦しみに遭遇した人は、是非本作を観て水の音や風の感触を感じながら、こころの洗濯をしてもらいたい。まさにそんな映画なのだ。


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2021年3月22日 (月)

婚約者の友人

★★★☆
製作:2016年 仏・独 上映時間:113分 監督:フランソワ・オゾン

 舞台は第一次世界対戦後のドイツ。ある日アンナは、美男の青年が戦死した婚約者の墓に花を添え、涙を流している姿を見てしまう。その青年アドリアンは敵国だったフランス人だったので、婚約者の父親は彼と話すことを拒む。だが何度か会っているうちに、だんだん誠実そうなアドリアンに心を開いてゆくのだった。
 そしてアンナと婚約者の両親達は、勝手に彼を息子の友人だと信じ込んでしまう。アドリアンからは、友人だとは一言も発していないのだが、皆が信じ込んでいるので友人のふりをしていたのだが、嘘をついているのがだんだん心苦しくなり、アンナにだけ真相を話すことになる・・・。

 この映画はモノクロシーンで始まる。多分モノクロ部分が過去の話で、現代に戻ったときにカラー化するのだろう思ったら、なかなかカラーに変わらない。それで今度は前編モノクロで構成されているのかと思い込んでいたら、なんと過去の話をするシーンで突如カラーに切り替わったのである。それでは、このままカラーが続くのかと思いきや、話が現代に戻った途端にまたモノクロに戻ってしまったのだ。

 ではもしかすると、すっきりしないが過去のシーンだけをカラーに染めたのかと考えたのだが、なんとそれもまた裏切られてしまった。現代シーンの中で、アンナとアドリアンが楽しそうに散歩しているシーンで突如カラー化してしまったのである。
 おいおい一体何なのだ!。昔の低予算エロ映画のパートカラーでもあるまいし・・・。それでストーリーよりも、モノクロとカラーの使い分けにばかり気になってしまった。もしかすると、この変化はその場の登場人物達の心象風景なのかもしれない。もちろん明るい気分のときがカラーで、暗い気分のときがモノクロなのだろう。

 アドリアンの正体は途中でなんとなく分かったのだが、さりげなく戦後の人種差別事情なども織り込まれており、前半はなかなか興味深い作品であった。ただアンナがフランスに行ってからの展開は、かなり無理があり今までの展開が空しくなるばかりである。
 そしてハッピーエンドでは無く、はっきりしない中途半端な結末。このあたりが、ヨーロッパ映画の芸術感なのかもしれないが、私的には余り好きになれない締めくくりであった。


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2021年3月19日 (金)

三尺魂

★★★★
製作:2017年 日本 上映時間:93分 監督:加藤悦生

 奇妙なタイトルであるが、三尺とは打ち上げ花火の大きさであり、主人公が花火職人といったところである。ではこの作品は花火職人の映画なのかというと、全く的外れで自殺願望の4人が花火の爆発で死ぬたびに、自殺直前に戻ってしまうというタイムループのお話なのだ。SFというにはスケールが小さ過ぎるのでファンタジーと言うことにしておこうか。

 SNSの自殺サイトで知り合った4人が、何度もループを繰り返すうちに、タブーである本名を明かしたり、自殺の理由を打ち明けたりしてゆく。この4人の中には、一人だけ女子高生がおり、全員で彼女を説得するのだが、彼女の決意は固くなかなか説得に応じてくれない。

 低予算映画であるが、アイデア・脚本・演技力がしっかりしているため、最後まで面白く鑑賞させてもらった。製作費の少ない邦画のお手本的な作品であった。こんな映画をもっと創って欲しいものである。
 苦しいから、逃げたいから死にたい。それが冷静に考えたら違う事もあるかもしれない。やっぱり映画はハッピーエンドでなくてはね。それにしてもラストの幸福の連鎖とデジャブは実に見事だったね。


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2021年3月17日 (水)

羊と鋼の森

★★★★
製作:2017年 日本 上映時間:134分 監督:橋本光二郎

 原作は第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説である。ピアノの調律師をめざす青年・外村直樹(山崎賢人)が、様々な経験を積み挫折しながらも、調律師として少しずつ成長してゆく姿を描いてゆくお話。
 何と言っても、圧巻の映像美にうっとりしてしまうだろう。そして詩的なストーリーと、美しいピアノ演奏に魅了されてしまうはずである。

 また登場人物は少ないものの、先輩調律師役を演じた三浦友和、光石研、鈴木亮平がなかなか良い味を醸し出していた。ことに直樹の教育係を引き受けた鈴木亮平の、じっくりした演技には好感が持てた。
 それにしても、ピンとこないタイトルである。その意味はたぶん次のような解釈であろう。
●羊はピアノの弦をたたくハンマーの羊毛フェルト
●鋼はピアノの弦
●森はピアノの主な材料である木材
 地味な映画ではあるが、久しぶりに心が洗われる映画に出会った気がする。


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2021年3月14日 (日)

ダリダ あまい囁き

★★★
製作:2017年 フランス 上映時間:127分 監督:リサ・アズエロス

 1950年代~1980年代にかけて活躍したフランスの国民的歌手の半世紀を描いた映画である。晩年はうつ病に苦しみ、1987年5月2日に二度目の自殺を図り、翌日54歳の若さで死亡した。

 日本でいえば『美空ひばり物語』といったところであろうか。それでも女性監督によるフランス映画なのでおしゃれ感が漂う。きっと有閑マダムの集まる「渋谷文化村ル・シネマ」に相応しい作品だと想像しながらDVDを観ていた。ところが後で調べたら、なんと過去にル・シネマで上映されているというのだ。納得。である。
 
 さて心地よい歌が何曲も流れてくるのは嬉しいし楽しいのだが、知っている曲は僅か2~3曲。そこが日本人の悲しいところである。またストーリーがおおまかで、ダリダの事実関係を追いかけているだけなので、余り深みを感じず共感も得られなかった。ただただ彼女は男好きで、とっかえひっかえいつも周りに恋人がひっついていないと淋しくて死にそうだ、というイメージしか残らなかったのが非常に残念である。

 サブタイトルの「あまい囁き」とは、あのアラン・ドロンとのデュエット曲であり、彼との浮いた噂もあったのだが、なぜか映画の中では、ドロンと接するシーンは一度も無かった。ダリダを演じたのはイタリア女優のスベバ・アルビティで、ダリダに似せるため鼻や歯を整形したらしい。その努力は認めたいが、あれだけ濡れ場があっても、ほとんどヌードを披露しなかったのは、女優魂の欠如だろうか。


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2021年3月12日 (金)

ザ・ファブル

★★★★

製作:2019年 日本 上映時間:123分 監督:江口カン

 いゃー実に面白い!。岡田准一扮するところの超・凄腕の殺し屋ファブルのお話だ。ファブルこと佐藤を子供の頃から殺し屋に育て上げたのは、佐藤浩市扮するボスである。ボスは佐藤を殺し屋として育ててしまった責任からか、佐藤に1年間だけ普通の生活をすることを命じる。もしその間に人を殺せば、今度はボスが佐藤を殺すと言うのである。

 人を殺せない殺し屋ファブルというハンディを抱えた佐藤。だがどうしても助けなければならない人のために、彼はハンディを抱えたまま、命がけの救出劇に突入する。
 それにしても邦画とは思えないスピード感溢れるアクションと、テンポ良く「ぞくぞくわくわく」するストーリー展開は素晴らしかったな。また出演者も岡田准一、佐藤浩市のほか福士蒼汰、柳楽優弥、向井理とかなり充実しているではないか。

 ただ本作の原作が人気コミックだったとは知らなかったな・・・。それにしてもファブルの超人的な動きと戦闘能力を見ていたら、白土三平原作の忍者漫画『カムイ伝』を思い出してしまった。ファブルがカムイで、ボスが師匠の赤目、そして相棒のヨウコがサエサ、といったところか。ぜひ続編を創ってもらいたいものである。と思ったら、すでにシリーズ化が決定しているらしい。

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2021年3月10日 (水)

時空棋士

著者:新井政彦

 奨励会三段の棋士中島遼平が、時空を超えて幕末にタイムスリップしてしまう。彼は茶屋で仕事をしながらも、将棋の真剣師と対戦して連戦連勝を続け、とうとう伝説の棋士・天野宗歩の若かりし時代の天野留次郎と対局することになる。というなんとなく想像できそうなタイムスリップストーリーであるが、そのテーマが将棋だというところが斬新なのである。

 江戸の町並みや風俗に関しては、かなり丁寧に調査した跡がみられ、読みやすいし、きよとの淡い恋もなかなか楽しめる。ただ棋譜とその解説の部分が異常に長く、将棋を知らない読者は完全に置いてけぼり状態。将棋を良く知っている私も、最初のうちは棋譜とその解説部分を丁寧に読んでいたものの、だんだん面倒臭くなり棋譜部分はカットして読むようになってしまったくらいだ。
 
 この棋譜部分が特徴と言えばそれまでだが、本作は将棋本では無いのだから、棋譜部分はもっと簡略化したほうが良かったのでは無いだろうか。そのあたりの考え方は過去に大ヒットしたマンガの『ヒカルの碁』を参考にされたい。
 またすぐ天野宗歩を登場させるのではなく、もう少しストーリーに幅を持たせた方が良かったのではないだろうか。さらにラストにどんでん返しや、過去との繋がりを示唆するような何かを用意しなかったのも味気なかったね。

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2021年3月 8日 (月)

8番目の男

★★★☆
製作:2018年 韓国 上映時間:114分 監督:ホン・スンワン

 2008年に韓国で導入された国民参与裁判制度(陪審員制)をテーマにした法廷サスペンス。タイトルの『8番目男』の意味は、8人制の陪審員で、連絡が付かずギリギリ陪審員に滑り込んだ青年のことである。

 彼は発明家なのだが破産寸前にもめげず、執拗に特許申請をしている明るく人柄の良さそうな好青年である。ただかなりこだわりが強く納得できないものは、安易に認めることが出来ない性格なのだ。そして本裁判を担当する裁判長も、なんと彼と同様にいい加減なところで納得することができない潔癖女性であった。
 この二人の発する周波のようなものが、簡単に終決するはずだった裁判を難解な方向へとねじ曲げてゆく。そしてラストは想像もしなかった結末へと進展してゆくのだ。

 控え室で陪審員同士が持論を展開するシーンは、なんとなく邦画の『12人の優しい日本人』と似ているのだが、まさかパクリじゃないだろうね。まあ本作は撮影場所が1か所では無く、あちこち移動してゆくので、部分的なオマージュなのかもしれない。
 ただプロである検察側は、控え室で素人の陪審員たちが証拠資料を見ただけで、判決がひっくり返る程度の捜査しかしていないのだろうか、と疑問が出てしまうところが残念である。

 さて「法は人を罰しないためにある」「疑わしきは被告人の利益に」という刑事訴訟法の原則を遵守する姿勢はご立派で感動的なのだが、それなら今頃になってこねくり回す大昔の「徴用工」や「慰安婦」に対する賠償判決は一体何なのだろうか。
 

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2021年3月 6日 (土)

アイ・オリジンズ

★★★☆

製作:2015年 米国 上映時間:105分 監督:マイク・ケイヒル

 大学院で瞳の研究をしているイアンが主人公。彼はある日仮装パーティーで、仮面の奥の瞳に惹かれて謎の女性・ソフィと、なんとトイレで同衾してしまうのである。その後も彼女のことが忘れられず、研究は助手のカレンに任せきりで、瞳だけを頼りに彼女を捜し回るのだった。
 そして奇跡的に地下鉄の中で彼女を見つけて愛し合い、結婚することになるのだが・・・。ある悲劇が二人を襲い、彼女は帰らぬ人となってしまう。

 数年後イアンは、インドにソフィと同じ瞳をした少女が存在していることを発見し、単身インドに向かうのであった。科学的には指紋同様、同じ瞳の人間は存在しないはずなのだが、なぜ同じ瞳の少女が見つかったのだろうか。
 本作は神や魂の存在を科学的に証明しようという物語のようだ。「光を知らないミミズにとって光を知る事は、人間にとって神の世界の存在を知る事と同義である」という解釈。そしてデジャブのような現象が再現される、という輪廻転生の観念。本作はこれらのテーマを示唆する様なSF映画であり、なかなか興味深い感覚を味わうことができた。

 それにしても、保護者不在の少女を、ホテルの部屋に連れ込むのは如何なものか。先生に電話連絡したのだから、せめて先生が来るまで待てなかったのだろうか。そしてエレベーター前で少女が泣きじゃくる問題のシーンだが、これをソフィの記憶と考えるのか、もっと主人公と一緒に食事を楽しみたかったから泣いたのか、どちらにでも解釈できる配慮が実に心憎い。ただ欲を言えばもう一歩深みにはまった描写も欲しかったよね。


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2021年3月 4日 (木)

ミストレス・アメリカ

★★★
製作:2015年 米国 上映時間:84分 監督:ノア・バームバック

 退屈な毎日にうんざりしていた女子大生トレイシーがニューヨークで逢ったのは、母親が再婚する相手の娘ブルックだった。トレイシーは、10歳以上年上のブルックの奔放な生き様に憧れて、それを小説の題材として使うことにする。そして二人は意気投合し、トレイシーは子供の皮を少しずつ脱皮して成長してゆくのだが・・・。
 
 一応コメディーということなのだが、笑える場面は殆どないばかりか、ストーリーがあるのか無いのか不明なままどんどん進行して、やっとさてこれからどうなる、と思った途端にジ・エンドとは一体何を見せたかったのか分からない。ネットでの評点が高いので若者たちの共感を得たのかもしれないが、おじさんにはいまひとつの作品だった。


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2021年3月 1日 (月)

架空OL日記

★★★☆
製作:2020年 日本 上映時間:100分 監督:住田崇

 お笑い芸人バカリズムが女子行員に成りすまして、2006年から3年に亘って掲載したブログが原作である。ということで、最初からずっと女装したバカリズムが、真面目な顔して女子行員を演じていた理由が解明された。
 そしてラストの落ちで、結局これは『バカリズムの妄想・架空によるお話』なのだと言いたいのかもしれない。ただこんなややこしいことをしなくとも、はじめからバカリズムが女子行員役を演じなかった方がすっきりしたのではないだろうか。私には最初から最後までバカリズムの女装がうざくて堪らなかったもの・・・。

 それにしても男のバカリズムが、よくもあれだけOLたちの日常を丁寧かつ克明に調べたものである。たぶん身近に銀行勤めOLの知り合いがいたのであろう。なお本作は2017年にTV放映されているらしいが、TVドラマとしては絶好のネタであるが、わざわざ1800円支払って映画館まで足を運ぶほどの作品ではないような気がする。

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