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2021年1月24日 (日)

AX アックス

著者:伊坂幸太郎

 
 本作は『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く『殺し屋』シリーズの最新作。本作では妻と息子の三人暮らしをしている殺し屋「兜」が主人公である。彼は超一流の殺し屋なのだが、表向きは文房具メーカーのベテラン営業マンだ。また家では極端な恐妻家で妻には頭が上がらず、息子には優しく物分かりのよい父親を演じている。そして息子の克巳が生まれた頃から、殺し屋から足を洗いたいと考え続けていた。だが殺人仲介役の医師が、なかなかそれを許してくれないのである。

 タイトルの『AX』とは、その名の通り『斧』を意味し、兜と克巳の会話の中で登場する「蟷螂の斧」という慣用句を援用している。つまり力のないものが、自分の実力を超えた強い者に立ち向かうことを例えているのだ。またその具体的な意味は、最終章で明らかにされるだろう。
 本書は殺し屋が主人公なのだが、殺しのシーンというような非日常ではなく、日常生活をメインに描いているところが面白いのだ。ことに自分が殺し屋だとは知らない家族に対する気の配りようが、涙ぐましいほど細部にわたり描かれているところが実に魅力的なのである。

 本書の構成は『AX』『BEE』『Crayon』『EXIT』という独立した短編と、10年後の克巳視点で全てを総括した『FINE』でまとめられている。もちろん独立した4作の短編も面白いのだが、やはり一番長い最終章の『FINE』が謎の解明とともに、実に感動的な展開で読者の心を掴んで離さないだろう。

 また本作は本屋大賞にノミネートされたり、静岡書店大賞を受賞し、2020年上半期のベストセラーを達成、さらに冒頭で述べた『殺し屋』シリーズでは、累計265万部を突破しているという。とにかく思わず「面白く読ませてもらってありがとう」という気分になってしまう一冊であることは間違いないだろう。できれば未読の『殺し屋』シリーズも読んでみたいものである。

評:蔵研人

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