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2020年11月の記事

2020年11月29日 (日)

鬼神の血脈

著者:榊原史保美

 本作は耽美的な雰囲気に彩られた伝奇小説と言って良いだろう。赤江瀑、半村良、高橋克彦などの影響を受けている作品と言えば分かり易いかもしれない。また古くは夢野久作、横溝正史、江戸川乱歩の流れを汲んでいると言っても良いだろう。

 ストーリーは大まかに四人の百目鬼一族によって紡がれているのだが、百目鬼一族を支えているのは九州の山村に住む百目鬼忍という美女だけなのだ。あとの三人は文楽界の超新星・鬼若こと久竹澄生と、刑事の片平壮介及び雑誌編集者の成見有介である。

 話は文楽界の内幕に始まり、名門・松上家の跡取りである九四郎の殺人事件によって幕が切って落とされる。その後片平壮介の捜査によって、事件の成り行きと関係者の洗い出しがはじまり、少しづつ鬼若の素性なども明かされてゆく。また同時進行の形で、成見有介の百目鬼一族取材の旅が始まるのである。

 伝奇あり、闇の世界あり、男色ありのミステリーなのだが、その追求が浅いためか、恐怖感やオドロオドロしさは湧かないしエロさも皆無だ。また犯人もすぐにバレてしまうし、どんでん返しもなくラストもあっけなさ過ぎる。
 どうも起・承・転・結の起と承ばかりにスポットライトを当て過ぎて、転がなくいきなり結となってしまう、というバランスの悪さが目立ってしまったようだ。言葉を変えていえば、女性作家特有の資料調査は十分なのだが、ストーリー展開の面白さが今ひとつということになるのだろうか…。

評:蔵研人

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2020年11月27日 (金)

夕陽のあと

★★★☆

製作:2019年 日本 上映時間:133分 監督:越川道夫

 鹿児島県に所属する長島を舞台にしたヒューマンドラマである。長島町の町おこし映画ということで、地元の人々が大勢参加しているし、映像や会話はなんとなくドキュメンタリー風であった。ことに会話の部分が聞き取りにくかったのがちょっと辛かったね。

 1年前に佐藤茜(貫地谷しほり)という謎めいた女性が、突然都会からやってきて、長島町の港食堂で働いているのだが…。最近になって急に7歳になる豊和に近づきはじめる。
 実は豊和は都会で赤子の時に捨てられて、島でブリの養殖業を営む夫婦の里子に出されていたのである。もちろん豊和はそのことは知らず、島の子供として平和に暮らしていた。
 
 またどんなルートで豊和を探し当てたのかは不明なのだが、茜こそ豊和を探し求めて島に渡った実母なのであった。そして少しずつ豊和と接しているうちに、だんだん豊和を手元に置きたくなってしまうのである。
 それを知った里親の五月は怒り狂って、身勝手な茜に宣戦布告をすることになる。このあたりから本作は、急にドキュメンタリータッチからちょっぴりミステリアスなホームドラマ風味に変身してしまうのである。

 結局テーマは、生みの親か育ての親かということなのだが、法的には生みの親の権利のほうが強いらしい。だが結局のところ、どちらも親たちのエゴであり、子供自身の幸せについては無視されている雰囲気が漂う。…とは言いながらも、ラストは現実的な選択で締めくくられている。まあそれしかないよね。

評:蔵研人

 

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2020年11月25日 (水)

THE WINDS OF GOD -零のかなたへ-

★★★☆
著者:今井雅之

 そもそも本作は1988年に今井雅之が舞台用に書き上げた戯曲なのだが、これが好評につき1995年に小説化されたものである。その後映画化・テレビドラマ化されている。
 その内容は関西の売れない漫才師二人が事故に遭い、その反動で過去にタイムスリップしてしまう。目が覚めるとなんとそこは終戦間近の航空隊基地であり、二人は神風特攻隊の訓練中に墜落事故を引き起こしたことになっているではないか。しかも実在の特攻隊員の魂と入れ替わってしまったようなのだ…。

 ここまで書くと萩原浩の『僕たちの戦争』そっくりではないか。だが決してパクリではない。本作のほうが先に執筆されているからである。
 著者の今井雅之の本業は俳優なので、小説の文体はやや大雑把であるが、気迫だけは十分に感じられるだろう。そして映画『静かな生活』のストーカー役で、1996年日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。さらには本作をライフワークとして掲げながら、オフ・オフ・ブロードウェイで公演し成功を収めている。ただ残念ながら、大腸がんに侵されて2015年に54歳の若さで他界してしまった。

 さて冒頭で、主人公が事故に遭遇し過去にタイムスリップしたと記述したのだが、タイムスリップというよりは、魂が過去の人物と入れ替わったのだから、SFしか物理学的な発想ではなく、輪廻転生など宗教観の漂う世界なのかもしれない。

評:蔵研人

 

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2020年11月21日 (土)

わたしは光をにぎっている

★★★★

製作:2019年 日本 上映時間:96分 監督:中川龍太郎

 両親を亡くし、野尻湖の畔にある民宿を祖母と切り盛りしていた宮川澪(松本穂香)は、祖母が入院し民宿を閉めることを余儀なくされる。そしてやむなく亡父の親友・三沢京介(光石研)を頼って上京する。

 京介は下町で古びた銭湯を営んでおり、澪は就職先が見つかるまで、その銭湯の二階に居候することになる。だが超・無口のためか、なかなか就職先が見つからず、バイトのスーパーにも馴染めずすぐに辞めてしまう。やむなく京介の銭湯を手伝うのだが、なんとこれが彼女の感性にピッタリの職場であった。

 ところがこの銭湯だけではなく、馴染みのラーメン屋、映画館、飲み屋などを含めた地域全体が再開発のため立ち退きを余儀なくされ、閉店することになっていることを酔った京介から知らされる。
 さらに追い打ちをかけるように、祖母の訃報を告げる電話が鳴り響く。どうも澪の周りには、不幸の連鎖がとぐろを巻いているようである。だが決して彼女は挫けない。銭湯についても、「ちゃんとした終い方」をしようと京介に提案する。

 古く薄汚れた銭湯や街並みと、超美麗な自然の風景が交互に差し替えられ、古いものと美しいもののコントラストが激しい映像である。古い町や銭湯、民宿、そして祖母などの古いもの消えてゆき、新しい町や文化を若い人々が運営してゆくということを示唆しているのであろうか。
 淡々としたストーリー展開と、普通の人々が織りな変化のない日常。そして会話が少なく説明も省略しているのだが、なんとなくじわじわと心に沁みてくる。こんな映画こそ、貧困な現代の邦画に求められている映画なのかもしれない。

 タイトルの意味は、明治大正期に活躍した詩人・山村暮鳥の『自分は光をにぎつてゐる』をもとに付けられおり、澪が祖母に貰った詩集でもある。そして劇中では、澪がはじめて生きがいを感じた銭湯の仕事を光に例えているような気がするのであるが、考え過ぎであろうか…。


評:蔵研人

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2020年11月19日 (木)

リライト

★★★☆
著者:法条遥 
 
 リライト(Rewrite )とは、基本的には「書き直す」または「書き換える」といった意味の英語である。IT用語としては、既存システムの枠組みは維持しつつ使用言語(プログラミング言語)を改めることを指す。
 また編集用語では、著者以外の人が文章に手を入れて書き直すことを言う。もちろん高名な小説家に対しては、失礼になるため手直しはできない。どちらかと言えば、文筆家以外の人が書いた実用書などの文章を読み易くするために、無名のライターがおおもとを変えずに文章を手直しする作業を言う。

 ただ本作のタイトルである『リライト』の意味は、なかなか一筋縄では説明できない。まず目次を見れば分かるのだが、2002年と1992年を何度も繰り返している。そしてその都度「私」の視点が異なっているのだ。
 つまり同じ出来事なのに、それぞれ別人が主人公として描かれているということなのである。最初はそれに気付かないため奇妙に感じるのだが、その種明かしは終盤の同窓会二次会の中で明かされることになる。この繰り返しパターンを『リライト』と考えることも出来るのだが、単純に作家の高峰文子が書いた私小説『時を翔ける少女』の改竄のことを指しているのかもしれない。

 過去は絶対変わらない・・・はずだったのだが。西暦1992年夏。中学二年生の桜井美雪は、旧校舎に突然現れた転校生の園田保彦と出会う。ラベンダーの香りとともに現れた彼は、西暦2311年からやってきた未来人だった。
 なんとなく筒井康隆の『時をかける少女』に似ている。いや似ているというより、『時をかける少女』をより難解にアップデートしたオマージュ作品なのだろうか。いやいやもしかすると『時をかける少女』のリライトかも(笑)。

 いずれにせよ一度読んだだけでは、その意図がよく理解出来ない作品であろう。事実私自身も完全に読み解けないまま、本書の評を記しているという情けなさ・・・。だがよく理解できないながらも、本書がそこそこ味わい深く、楽しめる作品であることは否定できないのだ。

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2020年11月16日 (月)

エンド・オブ・ステイツ

★★★☆

製作:2019年 米国 上映時間:121分 監督:リック・ローマン・ウォー

 米国大統領シークレットサービスのマイク・バニングは、長年の激務がたたって偏頭痛や不眠症に苦しんでいたのだが、なかなか現場の仕事から離れることが出来ずに悩んでいた。そんなある日、大統領の釣りに同行することになったのだが、いきなりドローン軍団の攻撃をうけてしまう。そして警護の者は全員死亡してしまうのだが、奇跡的に大統領とマイクだけが生き残る。と言っても、大統領は意識不明のままである。

 一方マイクのほうは、やっと意識が回復したものの、ベッドの中で手錠に繋がれている状態なのだ。なんと犯行に使われた車から、マイクのDNAが検出されたため、FBIはマイクを大統領暗殺未遂の容疑で逮捕したのである。
 マイクは懸命に無実を主張するのだが、反証出来ぬまま拘束が続く…。誰かにハメられたのだが、なかなか真犯人が思い浮かばない。

 この辺りまではミステリアスで、ハラハラドキドキの連続が続いて行く。ただそのあとすぐに真犯人と黒幕が判明してしまったところがあっけない。そしてミステリーは終了してド派手なアクション映画にチェンジしてしまうのである。
 それはそれで面白くない訳ではないのだが、手垢のついたストーリーとアクションシーンに頼り過ぎた感があった。やはりどちらかと言えば、もう少しミステリアスな展開を続けて、ラストにはどんでん返しも織り込んで欲しかったね。

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2020年11月14日 (土)

廃墟の残響:戦後漫画の原像

★★★☆
著者:桜井哲夫

 戦争と廃墟をテーマとしながら、その中で生き延びてきたマンガ家たちを描き、戦後の漫画文化について語っている。その中で語られているマンガ家は、水木しげる、手塚治虫、白土三平などの大御所をはじめとして、トキワ荘グループ、劇画工房グループ、そしてガロやCOMで発掘されたマンガ家たちであり、なぜか横山光輝や桑田次郎は登場しない。

 また紙芝居・赤本・貸本からメジャー出版社による月刊誌そして週刊誌への推移を語りながら、廃墟をバックボーンにした『AKIRA』や『新世紀エヴァンゲリオン』に至るまでを精力的に解説している。
 戦争と廃墟をテーマとした漫画史として読めば、ある意味ためになるかもしれないが、一般的な漫画論としては中途半端で物足りない。また文章が硬くて読み辛いのも減点対象になるだろう。

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2020年11月12日 (木)

蜜蜂と遠雷

★★★★
製作:2019年 日本 上映時間:118分 監督:石川慶

 直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の音楽小説を実写映画化した作品である。時間的には若手ピアニストの登竜門である国際ピアノコンクールの予選と本選だけに特化して描かれている。ただ主な登場人物の過去を振り返る形で、彼等の葛藤や意気込みなどを鏤めながら進行してゆく。

 その主な登場人物とは、母親の死から立ち直れず、長年ピアノから遠さがっていた栄伝亜夜(松岡茉優)、子持ちで年齢制限ギリギリの高島明石(松坂桃李)、優勝候補のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)、謎の天才少年風間塵(鈴鹿央士)の4人である。それぞれの思いを秘めてステージにあがるのだが、果たして優勝の栄冠を勝ち取るのは誰なのだろうか。

 もちろん優勝の行方も気になるのだが、本当の見どころは彼ら4人の迫力に満ちた演奏シーンにある。裏側では世界的なピアニストたちが、思い切り迫力満点の音を鳴らしているのだが、俳優たちのピアノ演技もなかなか侮れないのだ。
 ドビッシーの「月の光」、ベートーヴェンの「月光」、バルトークの「ピアノ協奏曲第3番」、そしてこの映画のために書き下ろされたという藤倉大の「春と修羅」など。まさに観終わった後々まで心に鳴り響くような名演奏だった。そしてうっとりする様な美しい映像がそこに花を添えていたことも忘れない。

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2020年11月10日 (火)

真実

★★★

製作:2019年 日・仏合作 上映時間:108分 監督:是枝裕和

 是枝裕和監督がフランスで創った映画であり、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュの共演で描かれた家族ドラマである。
 大女優の自叙伝出版を祝うために娘の家族がアメリカからやってくる。そして今まで隠されていた母と娘の間の、愛憎渦巻く真実が明らかになるまでの時間を描いているのだが、おじさんたちにはやや分かり難いかもしれない。

 まさに大女優カトリーヌ・ドヌーブ本人を描いたような作品なのだが、残念ながら『昼顔』とか『シェルブールの雨傘』のイメージが総崩れになってしまった。彼女も76歳になってしまったので、その美貌の衰えは仕方ないのだが、だいぶ太り過ぎたのと手足のシミが激しかったのには失望した。
 一つ違いの吉永小百合と比べれば、その劣化度合の酷さが一目瞭然である。やはり大女優を名乗るのなら、もう少し美肌と美型を維持する努力をして欲しかったな。

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2020年11月 8日 (日)

フラッシュバック

著者:テリー・ヘリントン  訳者:進藤あつ子

 現代女性が過去にタイムトラベルをして、そこで逢った男性と恋に落ちるというお話である。ストーリー構成としてはよくある展開でハーレクイン・ライブラリーなどには似たような小説が目白押しだ。
 私が読んだものでは『時の扉とシンデレラ』、『恋はタイムマシンに乗って』、『時のかなたの恋人』、『ハイランドの霧に抱かれて』、『時の旅人クレア』などなど書き出したらきりがない。また逆バージョンで、現代男性のほうがタイムトラベルして過去の女性と恋に落ちる話としても『ある日どこかで』、『ふりだしに戻る』、『七年後の恋人』などがある。

 と言うことでストーリー構成には、目新しさが認められない。ただ本作が他の作品と異なるのは、ヒロインがタイムトラベルするたびに体力を消耗し、もしかすると命を落としてしまうことになるかもしれない、ということなのである。この設定によって、読めば読むほどドキドキ・イライラが募り、早く先を読みたいという欲望に駆られて、あっという間に読破してしまうのだ。

 ヒロインのセアラは、目の前で事故死した老人マーカスの遺品を調べるうちに、セピア色に染まった過去の写真の中に、若き日のマーカスと自分自身を見つけるのである。もしかすると、セアラとマーカスは過去の世界で恋人同士だったのかもしれない・・・。
 そしてセアラは、屋根裏部屋で古い写真機を見つけ、そのシャッターを押すたびに過去にタイムトラベルをするのだが、双子の妹カレンに呼ばれると、また現代に戻ってしまうのである。だがまたマーカスに逢いたくなり、古い写真機のシャッターを押すのだった。
 その都度セアラはかなり体力を消耗し、昏睡と入院を繰り返すのである。つまりセアラが命を懸けなければ、マーカスに逢うことが出来ないのだ。果たして時空を超えて出逢った二人の、切ない恋は成就するのだろうか・・・。

 それにしても命をかけたセアラの激しい恋心は、一体どこから湧き出てくるのだろうか。何となく幽霊に魅入られた『怪談・牡丹燈篭』の世界を想像してしまった。この辺りの女心は「恋を忘れたおじさん」にはちょっと理解できない。だがきっと恋する若者たちの気持ちは、小説に近いのかもしれない。まあそれはそれとして、切ない中にも心温まるラストシーンは実に見事であった。

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2020年11月 6日 (金)

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

★★★☆
製作:2019年 米国 上映時間:125分 監督:ジョナサン・レヴィン

 タイトルのロングショット(LONG SHOT)を直訳すると、 写真・映画などの遠写し、ゴルフの遠距離打、または大胆な企てや、勝ち目のない大穴ということになる。つまり本作では、サブタイトルの『僕と彼女のありえない恋』が、それを言い当てている。

 米国国務長官で次期大統領候補の美女シャーロット(シャーリーズ・セロン)が選んだ恋人は、なんと失業中でむさ苦しい風貌のジャーナリストであるフレッド(セス・ローゲン)だった。それは誰が見ても不釣り合いな美女と野獣と言えよう。とにかくシャーリーズ・セロンの美しさと演技力の光る作品と言えるだろう。

 本作はラブコメ仕立てなのだが、へなちょこ大統領やいやらしい資本家に牛耳られる米国の政治に対する皮肉をたっぷり練り込んである。そしてラストはアメリカ風のハッピーエンドでスッキリするのだが、なにせ下ネタが多過ぎるのだ。下ネタはこの監督の好みなのだろうか、ただそのために作品自体の底が浅く感じてられてしまうところが無念である。


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2020年11月 4日 (水)

1950年のバックトス

★★★☆
著者:北村薫

 時と人のシリーズ『スキップ』、『ターン』、『リセット』で有名な北村薫の短編集ということで、タイムトラベル系の話を期待して購入してしまった。ところが残念ながら、23篇ある短編の中身はホラー、ファンタジー、ミステリ、恋愛小説から純文学まで多彩な作品で埋められているもののSFとか時間テーマものは一つもなかったのである。

 また表題の『1950年のバックトス』に付されているキャッチコピーに「大切に抱えていた想いが、時空を超えて解き放たれるとき…」と記されていたのだが、単に過去の思い出を現況に重ね合わせた話であった。それでも23篇の中では、タイトルになっただけあって本作が一番面白かった。

 なお収録作品を参考までに記すと次のようになる。
 百物語/万華鏡/雁の便り/包丁/真夜中のダッフルコート/昔町/恐怖映画/洒落小町/凱旋/眼/秋/手を冷やす/かるかや/雪が降って来ました/百合子姫・怪奇毒吐き女/ふっくらと/大きなチョコレート/石段・大きな木の下で/アモンチラードの指輪/小正月/1950年のバックトス/林檎の香/ほたてステーキと鰻

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2020年11月 2日 (月)

自転車泥棒

★★★★

製作:1948年 イタリア 上映時間:88分 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ

 第2次大戦の敗戦国イタリアが、どれほど貧しかったかを簡潔に描いた名作である。職安前はもの凄い人だかりだ。とにかく職がないのである。そんな中で運よく役所の仕事にありつけたアントニオ。

 ところがその仕事は自転車に乗って、壁に映画のポスターを張り付けて回る作業で、自転車がないと職に就けない。少し前に自転車を質草に出してしまったアントニオは、妻と一緒に家中のシーツを剥がして質屋に向かう。その質屋にも大勢の人が集まって大行列だ。やっと新しい質草を提出して、なんとか自転車を請け出すアントニオと妻の顔には久々に笑顔が戻る。

 これでやっと人並みの生活が送れる。…とほくそ笑んだのも、ほんの束の間であった。アントニオが夢中でポスターを張っていると、ふとした隙にあっという間に自転車が盗まれてしまうのだ。すぐに気が付き追いかけるのだが、自転車のスピードには追い付かず、見失ってしまうのだった。
 すぐ警察に届けるのだが、本気で相手にしてもらえず、挙句の果ては「警察は忙しいので自分で探せ」と言われる始末。そしてアントニオと息子ブルーノによる自転車泥棒探しが始まるのである。

 妻と6歳の息子と乳飲み子を抱えるアントニオ。しかし家族を支えたくとも職がない。やっと職を見つけた思ったら、今度は自転車を盗まれてしまう。自転車自体の価値というより、自転車がないことで「また失職してしまう恐怖」に怯えるアントニオと家族たち。果たして自転車を取り返せるのだろうか…。

 ネタバレになるのでこれ以上語れないのだが、悪いことに不運は連鎖してしまい、どうにもならない悲惨な結末が待っていた。だがなんと息子のお陰で、最悪の状況だけは避けることが出来たアントニオ。
 絶望の中でやっと一筋の灯りを見た気もしたのだが、アントニオとブルーノの涙にむせびながらの悲しいエンディングを迎えるのだ。
 それにしても頼りないアントニオだが、妻も息子もしっかり者なので、なんとか立ち直れるかもしれない…。そう言い聞かせながら、この悲しい結末に耐えるしかなかった。

 モノクロで低予算であるが、現代の映画にも決して引けを取らない。こんな名作が戦後まもなく創られたのだから、さすが嘗ての映画王国イタリアである。


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