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2020年8月21日 (金)

アクトレス ~女たちの舞台~

★★★☆
製作:2014年 フランス・ドイツ・スイス 上映時間:124分 監督:オリヴィエ・アサイヤス

 原題は『SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA』で、「シルス・マリア」というスイスの美しい山岳地帯の地名のことである。本作はその美しいスイスの風景を背景に、大女優の光と影を描いた女性向けの映画である。

 劇作家ヴィルヘルムの代理で、列車に乗って映画賞授与式に向かう大女優のマリア。だが列車内で、ヴィルヘルムが突然死したことを知る。
 死んだヴィルヘルムには『マローナのヘビ』という戯曲があり、若き日のマリアはそれに出演し、女優としての確固たる地位を築いたのだった。それから20年が過ぎ、リメイクされるその戯曲の脇役としての出演を彼女は承諾してしまう。その後役柄に不満を持ち、降板を希望するのだが、契約上それは無理な話であった。

 諦めたマリアは秘書と二人で、シルス・マリアにあるヴィルヘルムの家で、暮らすことになる。そこでは「マローナのヘビ」と呼ばれる渓谷があり、まるで大蛇のように動く奇妙な雲を観ることができるのだ。

 主な登場人物は、主役のマリアと秘書バレンティン、そして新進女優ジョアンの三人の女性たちである。マリアは離婚調停中であり、かつ女優としての旬の輝きを失ったことに淋しさを隠しきれない。またバレンティンは、マリアの拘りや頑固さに辟易し、そろそろ秘書を辞めたいと悩み続ける。
 そして自由奔放なジョアンは、作家と不倫関係を結んだため、作家の妻が自殺未遂を謀り、パパラッチに追いかけられる羽目に・・・。だが翌日はケロッとして、そんなことにも一切気にかけず、地のままに振る舞い、マリアの助言さえ無視する横柄さが復活する。

 三者三様、老いと成熟の狭間、若さと美貌を武器にして、男性たちを翻弄していたはずだったのに、いつの間にか男性たちから見向きもされず、なんと今は若い女性たちに翻弄される身になってしまったのだ・・・。それでもラストシーンでのマリアの表情は負け犬のものではなく、やっとなにかを乗り越えた心の成熟を示唆するようであった。
 
評:蔵研人

 

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