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2020年8月の記事

2020年8月30日 (日)

星空

★★★★
製作:2011年 台湾 上映時間:99分 監督:トム・リン

 なんと原作が絵本だという。それでメルヘンチックな美しい映像と音楽で紡がれているんだね。とても優しくて心温まる映画である。またエンディングクレジットで、絵本の各シーンが流れてくると、それぞれの実写シーンも蘇ってくるではないか・・・。

 幼いころ祖父母と暮らしていた少女シンメイのお話である。
 優しくて大好きだった彫刻家の祖父が他界し、美術商の両親は離婚してしまう。とうとうシンメイには、居場所がなくなってしまった。そんなおり父親のDVから逃げ回って、引越し繰り返す少年ユージエが転校してくる。互いに事情を抱える二人は自然と心が通じ合い、美しい星空を見るために旅に出るのだった。

 タイトルが『星空』だけあって、自然の中で仰ぐ星空の美しいこと!。少年少女の淡い恋心も美しい。そして成長したシンメイはもっと美しい。さらにラストも観るものの想像力を膨らませ、余韻を残しながらの締めくくりも実に美しいよね。

評:蔵研人

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2020年8月28日 (金)

ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~

★★★★

製作:2017年 米国 上映時間:92分 監督:スコット・スピアー
 
 2006年に製作された邦画『タイヨウのうた』をハリウッドでリメイクした難病・ラブストーリーだ。そもそも私は、難病ラブストーリーは、お腹一杯で苦手である。だがXP(色素性乾皮症)という病に興味を持ち、本作を鑑賞することにした。

 なおXP(Xeroderma Pigmentosum)という病は、強い光線過敏が皮膚に生じ、進行性の重い神経障害が生じる稀な病気で、日本には約500人の患者がいると言われている。原因遺伝子は明らかになったが、根本的な治療法は未確立で、特に神経障害については発症機構が全く分かっていない。
 そしてXPの患者は、紫外線に当たって壊れたDNAを修復する能力が極めて低いため、陽の光にあたって皮膚がんになる確率が、健康人の約2000倍といわれているのだ。そのため幼い頃から生涯にわたり、季節を問わず、厳重な紫外線遮断が必要になる。

 本作のヒロイン・ケイティもXPを患っていて、少女時代からずっと昼間は外出できなかった。また彼女には幼いころから、唯一親友のモーガンが付き添ってくれたのだが、年頃になるとだんだん男性に興味を持つようになる。
 幼いころに母親を亡くしたケイティは、日中は写真家の父親と二人でずっと家にこもっていた。そして夜しか外出できない彼女のたった一つの楽しみは、毎晩駅前でギターを弾きながら歌うことだった。

 そんなある晩、ケイティはチャーリーという青年と出逢うのである。そしてこれが運命的な出逢いとなるのだった。このチャーリーを演じたのが、なんとあのシュワちゃんの息子パトリック・シュワルツェネッガーで、シュワちゃんより男前で、それとなく若き日のシュワちゃんを髣髴させる雰囲気を持った好青年であった。

 それにしても、この作品の登場人物全員が良い感じで、不思議なくらい悪者が登場しない。ラストはお約束で、ホロリとさせられるが、とにかくラジオから流れる歌が良かったね。

評:蔵研人

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2020年8月25日 (火)

信長協奏曲

★★★☆

製作:2016年 日本 上映時間:125分 監督:松山博昭

 原作は石井あゆみの描いたマンガで、第57回小学館漫画賞少年向け部門を受賞している。その後テレビアニメと実写テレビドラマを経て、実写映画化されたものである。

 ただ本作映画版はTV実写ドラマの続編として製作されているため、出来れば先にTVドラマを観ておいたほうが馴染み易いだろう。また原作がいまだ連載中のためか、アニメは10話で途中終了している。
 さらに映画のほうは完結したものの、原作とはキャラの個性や性格がだいぶ異なっている。原作が終了していないため何とも言えないのだが、もしかすると結末は原作とは違っているのかもしれない。

 前置きが長くなったが、あらすじを簡単にまとめると次のような展開になる。
 小栗旬が扮する歴史が苦手な高校生サブローが戦国時代にタイムスリップし、織田家を逃げ出した本物の信長と遭遇。二人はまるで双子のように瓜二つだったため、信長の希望で入れ替わることになる。

 あとは歴史通りのストーリーをコミカルに描いて行くのだが、明智光秀と羽柴秀吉の扱い方が歴史とは大きく異なってくる。またサブローのほかにも、未来からタイムスリップした男が数人登場する。それが誰なのかは映画を観てのお楽しみとしておこうか。
 本作は歴史ものとしてはやや物足りないし、突っ込見所も多かった。だが、のほほんとしたお人好しの信長をはじめとして、歴史観とは一風異なるキャラの性格づけが楽しい作品と言えるだろう。
 

評:蔵研人

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2020年8月23日 (日)

ハッピー・デス・デイ

★★★★

製作:2017年 米国 上映時間:96分 監督:クリストファー・ランドン

 笑う坊やのようなマスクを被った殺人鬼に、何度も繰り返し殺される誕生日。あの名作『恋はデジャヴ』を、ホラー版に改変したようなタイムループ映画である。

 毎晩飲んだくれて、いろいろな男とすぐ寝てしまう悪たれ女子大生のツリーが、二日酔いで目覚めると、見知らぬ男のベッドの中であった。彼カーターは、酔い潰れたツリーを親切に介抱してくれただけなのだが、彼女はお礼も言わずに不快感を抱いたまま帰宅する。
 そしてその夜、誕生パーティーに出かけるのだが、途中でベビーマスクに襲われて殺されてしまう。その瞬間に、目が覚めるのだが、そこはまたカーターの部屋のベッドの中だったのである。

 ツリーはなんだか奇妙な気分のまま、父からの電話を無視 カーターの友人とドア前で会う サングラスの男と環境保護活動家に遭遇 スプリンクラーの吹き出す水 車のクラクションの音 集会で一人の男が倒れる ティムになぜメールの返信をしないのかと問われる 家の前で女の子に挨拶される 一階で友人に朝帰りを咎められる 同室の女性に誕生ケーキを貰う

 このあとやはり殺人鬼に別の方法で殺されるのだが、ここまでは生還したあとに何度も繰り返されるのであった。彼女に不快感を持っている者は数知れないが、なぜ殺されなくてはならないのか、犯人は一体何者なのか、またどうしてデジャヴのようにループが続くのだろうか。
 興味津々の中、テンポよくストーリーが流れてゆく。そしてやっと犯人を探し当てて葬ったのだが、なんとあの忌まわしいループは終わっていなかった・・・。

 そしてラストのどんでん返しに繋がってゆくのである。主人公は性悪女で感情移入し難いし、ストーリー的にもかなり雑な部分があり、突っ込見所も多い。だが・・・と言うより、だからこそテンポよく、お気楽に楽しめたのかもしれない。またホラーと言っても、コミカルホラーなので、ホラーが苦手な人でも安心して観ることができるだろう。
 なお本作の続編『ハッピー・デス・デイ 2U』もDVD化されているようである。こちらはSF色が濃くなって、タイム・ループの謎も解明されるようなので、絶対にレンタルしてみたいね。

評:蔵研人

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2020年8月21日 (金)

アクトレス ~女たちの舞台~

★★★☆
製作:2014年 フランス・ドイツ・スイス 上映時間:124分 監督:オリヴィエ・アサイヤス

 原題は『SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA』で、「シルス・マリア」というスイスの美しい山岳地帯の地名のことである。本作はその美しいスイスの風景を背景に、大女優の光と影を描いた女性向けの映画である。

 劇作家ヴィルヘルムの代理で、列車に乗って映画賞授与式に向かう大女優のマリア。だが列車内で、ヴィルヘルムが突然死したことを知る。
 死んだヴィルヘルムには『マローナのヘビ』という戯曲があり、若き日のマリアはそれに出演し、女優としての確固たる地位を築いたのだった。それから20年が過ぎ、リメイクされるその戯曲の脇役としての出演を彼女は承諾してしまう。その後役柄に不満を持ち、降板を希望するのだが、契約上それは無理な話であった。

 諦めたマリアは秘書と二人で、シルス・マリアにあるヴィルヘルムの家で、暮らすことになる。そこでは「マローナのヘビ」と呼ばれる渓谷があり、まるで大蛇のように動く奇妙な雲を観ることができるのだ。

 主な登場人物は、主役のマリアと秘書バレンティン、そして新進女優ジョアンの三人の女性たちである。マリアは離婚調停中であり、かつ女優としての旬の輝きを失ったことに淋しさを隠しきれない。またバレンティンは、マリアの拘りや頑固さに辟易し、そろそろ秘書を辞めたいと悩み続ける。
 そして自由奔放なジョアンは、作家と不倫関係を結んだため、作家の妻が自殺未遂を謀り、パパラッチに追いかけられる羽目に・・・。だが翌日はケロッとして、そんなことにも一切気にかけず、地のままに振る舞い、マリアの助言さえ無視する横柄さが復活する。

 三者三様、老いと成熟の狭間、若さと美貌を武器にして、男性たちを翻弄していたはずだったのに、いつの間にか男性たちから見向きもされず、なんと今は若い女性たちに翻弄される身になってしまったのだ・・・。それでもラストシーンでのマリアの表情は負け犬のものではなく、やっとなにかを乗り越えた心の成熟を示唆するようであった。
 
評:蔵研人

 

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2020年8月19日 (水)

オーケストラ・クラス

★★★★
製作:2017年 フランス 上映時間:102分 監督:ラシド・アミ
 
 挫折した初老のバイオリニストのシモンは、音楽講師として小学6年生にバイオリンを教えることになる。気難しく子供が苦手な彼は、わんぱく盛りでバイオリンを全く知らない子供たちに辟易する。だが子供たちは、次第に音楽の魅力に気付き始め、シモンもまた子供たちとの交流にやりがいを感じ始めるのだった。

 最初は全くバイオリンを弾けなかった子供たち。それが最後にはコンサートで拍手喝さいを得るまでに成長する。と言ったよくあるストーリーであり、特に斬新さは感じられないのだが、ただ単に子供たちがバイオリン上手になるというだけの話ではない。
 子供たちが成長すると同時に、講師のシモン自身も迷いや葛藤を払いのけて成長していくのだ。大人が悪ければ子供も悪くなり、大人が良くなれば子供も良くなるものである。

 地味なフランス映画であるが、一つずつ淡々と静かに積み上げてゆく雰囲気に惹かれた。ただアーノルド以外の生徒の話も挿入したら、もっと完成度の高い作品になっていたはず。良作だが、あと一息だったね。
 

評:蔵研人

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2020年8月16日 (日)

タイム・トラップ

★★★☆
製作:2017年 米国 上映時間:87分 監督:マーク・デニス  ベン・フォスター
 
 数十年前に失踪した両親を捜すため、考古学のホッパー教授が、『若返りの泉』があるという秘密の洞窟の中に侵入する。だが彼もまた、そのまま消息を絶ってしまうのである。
 その教授を探すために、ゼミ生であるジャッキーとテイラーは、友人のカラと少年少女2人を伴って、洞窟を探索することになる。だが彼等もまた教授同様、ミイラ取りがミイラになってしまうのだった。
 
 その後カラが一人でなんとか崖をよじ登って、洞窟の外に這い出すことが出来る。ところが周囲の風景は、見たこともない異常風景で空気が汚れているし、SOS用のGPSビーコンも全く通じないのだった。この間約30分経過、それで彼女は仕方なく洞窟内に戻るのだが、洞窟内部では2秒しか経過していないという。

 つまり洞窟内部は時間がゆっくりと流れていて、外の世界では数百年の時が流れ、地球滅亡寸前の未来に変化していたのである。そして彼等がその事実に戸惑っていると、宇宙服のようなものを身にまとったプレデターのような者が洞窟内に降りてくる。びっくりして洞窟の奥に逃げると、今度は原始人が襲って来るのだった。

 とまあこのあたりの展開は、もうハチャメチャで何が何だか分からない。結局、浦島太郎になってしまった彼等であるが、ラストは何の説明もなく意味不明のまま、なんとか全員無事でハッピーエンドを迎えることが出来る。だが果たして、本当にめでたしめでたし、なのかは誰にも分からないのだ・・・。実に奇妙な作品であるが、上映時間が短かったせいか、途中飽きもせずなんとか最後まで観ることが出来たのは幸せであった。


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2020年8月14日 (金)

アンダー・ザ・ウォーター

★★★☆
製作:2017年 スウェーデン、デンマーク・フィンランド 上映時間:88分 監督:マックス・ケストナー

 珍しい北欧発のタイムトラベル系SF映画である。未来社会は薄暗いし全般的に地味で難解な映画なので、ハリウッド系のSF映画を期待すると失望するかもしれない。だが海に浮かぶタイムマシンや、未来に残る者と過去に跳ぶ者に分身するという発想は、いまだかつてなかったので新鮮に感じた。

 2095年。海面上昇で大陸は海に飲み込まれている。動植物は塩病にかかり絶滅していた。真水はぜいたく品である。今や時空移動が可能な時代。ただし実行できるのは量子網分離官(QEDA)だけである。彼らは2人に分裂でき現在と移動先とで繋がり合うのだ。

 という前置きでこの物語は始まる。主人公のファン・ルン大尉は、国防省の科学防衛の責任者である。時空移動を廃止するのが彼の任務だったが、秘密裏に量子網分離官(QEDA)となりふたりに分裂し、その一方が2017年へ時空移動を行った。その目的は海水を淡水化する研究データを持ち帰り世界を救うことであった。

 2017年で海水を淡水化する研究をしていたのは、モナという女性だった。ところが、なんと彼女は「ファン・ルンの妻の曾祖母」であった。そして彼女は飛行機事故に巻き込まれ、研究データも消えてしまうことになっていた。それでその前に、研究データの在り処を見つけて、それを未来に送るためにファン・ルンの分身がやって来たのだ。

 分身はそれなりに成果を上げるのだが、約束の時間を過ぎても未来に戻ってこないし、連絡も取れなくなってしまう。それに焦れたファン・ルンは、上司の反対を無視して、自らが2017年に時空移動をするのである。そこで彼が知ったことは・・・。

 なかなか見応えのある瑞々しい作品なのだが、一つだけはっきりしない部分がある。2017年に住む女性研究者モナのことである。本ブログでは、あえて彼女を「ファン・ルンの妻の曾祖母」と記したのだが、ネット評論の大半はなぜか「ファン・ルンの祖母」と説明しているのである。78年前だから、主人公とモナが同年代とし、約80歳の年の差があると考えれば、曾祖母と考えたほうがノーマルであろう。

 また映画の中では主人公がモナを見て、「お前のひいひいばあさん」とつぶやいているのだが、これも辻褄が逢わない。そしてお前のの、「お前」とは「妻よりも自分自身」を指しているように取れるので、モナのことを「ファン・ルンの祖母」と勘違いした人が多いのだろうか。
 ただそれだとモナとその娘が亡くなった瞬間にパラドックスが生じて、ファン・ルン自身も消失してしまうはずである。ところがファン・ルン自身はそのまま生き残り、自分の娘が描いたタトゥーだけが消えたのである。

 ということは、モナは「ファン・ルンの妻の曾祖母」でなければおかしいということになる。またラストシーンで、主人公が帰る場所がないと嘆いている。つまり帰りを待つ妻も娘も存在しないからである。
 さらにもしモナが自分自身の祖先なら、性的関係を結ぶはずもない。もしかすると「お前のひいひいばあさん」という字幕は、翻訳ミスだったのかもしれないね・・・。

評:蔵研人

 

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2020年8月12日 (水)

ハプニング

★★★

製作:2008年 米国 上映時間:91分 監督:M・ナイト・シャマラン

 ジャンルとしては、サスペンス、ホラー、スリラー、パニックを足して平均化したような映画である。監督がM・ナイト・シャマランということで、期待感を持ってレンタルして観たのだが、いまひとつ出汁の効かないスープのような作品で、のめり込むことが出来なかった。

 ある日突然セントラルパーク周辺で異常現象が勃発。なぜか人の動きが急に止まったかと思うと、大勢の人々が原因不明の自殺をし始めるのである。はじめ政府はテロリストの攻撃と判断し、近隣の人々に避難要請を発動する。
 そこで主人公の高校教師エリオットは妻のアルマを伴って、親友ジュリアンとその娘ジェスの4人で列車に乗って逃避するのだった。ところが列車は目的地まで行かずに、途中の田舎駅で停車したまま動かなくなってしまうのである。

 ここまでは、これから先一体どうなるのかという不安と、なぜこのような現象が起こったのか、という疑問で興味津々となるのだが、この後が全くストーリーになっていないのだ。急に創作意欲がなくなってしまったのか、アイデアが枯れてしまったのか、その失速ぶりが凄まじい。
 
 また親友ジュリアンとその娘ジェスも含めて、殆どの登場人物の役割が無意味だし、妻アルマが抱える葛藤についての説明も全くない。そして不可解な自然現象についても、植物から人間への攻撃ということだけを匂わせるだけで、結局は「神の啓示」ということで括り、無理矢理終わらせてしてしまった。それにしてもなんと中途半端で、味の悪いエンディングであろうか・・・。

評:蔵研人

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2020年8月10日 (月)

幕末高校生

★★☆
製作:2013年 日本 上映時間:108分 監督:李闘士男

 高校生の男女三人と女教師の4人が、幕末の時代にタイムスリップするSFコメディーである。なお幕末と言っても、彼等がタイムスリップしたのは、ちょうど勝海舟と西郷隆盛が話し合いをする前の数日前で、戦争か江戸開城かの選択を迫られている歴史的瞬間であった。
 こう記すと、いかにも格調高いストーリーのようだが、実は勝海舟はギリギリまで何もしない怠け者だった。そして西郷隆盛と話し合えるのかダメなのか、ギリギリまでイライラさせる展開を、おバカタッチで大真面目に描いている。
 
 主な出演者は勝海舟に玉木宏、西郷隆盛に佐藤浩市、女教師に石原さとみ、その他千葉雄大、川口春奈、柄本明、伊武雅刀、石橋蓮司などそうそうたる俳優陣を配している。また江戸のCGや武家屋敷のセットなどもしっかり揃えてあり、それなりの製作費を消費した跡が見受けられる。

 ところがなぜか全然面白くないのである。まずおバカを前面に出し過ぎたためか、人物像が薄すぎて全員がバタバタしているだけなので退屈感が拭えない。またおバカなら、おバカに徹すればよいのだが、真面目とおバカが調和せず中途半端で空回りしているのだ。
 そしてせっかく未来からタイムスリップしてきたのに、車も一切使わないし、歴史にも触れないので、全くタイムスリップの意味がないし、どんでん返しらしきものもほとんどなかった。結局は脚本の大失敗なのだが、実にもったいない創り方をしたものである。


評:蔵研人

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2020年8月 7日 (金)

新プレデター 最強ハンター襲来

★☆
製作:2015年 カナダ 上映時間:84分 監督:アダム・マッシー

 余りにも低すぎるネットの評価にたじろいだが、怖いもの見たさで敢えて挑戦してみた。原題は『MAN VS. 』のだが、なんと邦題はかなり図々しいし破天荒である。ただ登場する怪物が宇宙からの侵略者であり、人間狩りをして皮を剥いでいるところは、まさにプレデターに違いない・・・(苦笑)

 登場人物は5人+アルファだが、孤島に一人置き去りにされている主人公の独り芝居が90%なのだ。また全編が森の中のロケであり、怪物のCG以外は殆ど金のかかっていないC級SFホラー映画である。さらに最大の売りである怪物が登場するのは、ラスト15分前であり、その登場時間も僅か3分間程度なのだ。
 それにしても、余りにも弱過ぎる怪物。なるべくCGシーンを少なくして、なんとしても製作費を抑えようというスケベ心が見え見えであった。

 結局のところ、終盤までのほとんどが時間稼ぎで構成されており、まっとうに創れば30分で十分の映画ではないだろうか。とどのつまりは、ネットの酷評が正しかったことを確認しただけで、無駄な時間を費やしてしまった。

評:蔵研人

 

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2020年8月 4日 (火)

5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~

★★★★
製作:2017年 ドイツ 上映時間:111分 監督:マルク・ローテムント

 ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に産まれたサリヤの夢は、一流のホテルマンになることである。だがある日突然目の前のものがぼやけて見えるようになり、検査の結果『先天性網膜剥離』と診断されてしまう。そのまま放置すると失明すると宣告され、すぐに手術に応じるのだが、術後の視力はそれまでに比べて5%しか維持されなかった。

 それでも彼はホテルマンになる夢を捨てきれず、視覚障害があることを隠してミュンヘンの5つ星ホテルの研修生になる。ただ現実は彼の考えているほど甘くはなく、数々の失敗を重ねながらも、親友になった同期生と助け合いながらなんとかクリアしてゆくのだった。
 暫くは順調な日々が続くのだが、借金を残して逃げた父親の後始末、恋人との頻繁なデートなどの疲れから、決定的な失敗を犯してクビになってしまう。また視覚障害を隠して、恋人の息子を危険な目に合わせたため、恋人からも見放されるのだった。なにもかも、全ては彼が他人の意見を聞かずに、嘘をつき続けて無理を重ねた罰だったのかもしれない。

 本作は実話をもとにして創られた映画だと言う。それにしてもホテルマンは、フロントで客と折衝することだけが仕事だと思っていたのだが、とんでもない誤りだった。実務研修では料理、ベッドメーキング、ウエイターなど、一応いろいろな仕事を身につけさせるんだね。
 それにしても殆ど目が見えない状況での、肉のスライスやグラス運びなどなど、恐ろしくてとても観ていられなかった。映画だからかなり脚色されていたと思うのだが、実際にはどの程度の研修をやりこなせたのか気になるところである。

 久し振りに観たドイツ映画であるが、主役がインド系の顔つきなのでドイツ映画という感覚がまるでなかった。だが正直で真面目で前向きな主人公に加えて、全ての登場人物が彼に好意的で優しくて良い人たちばかりの、ハートフルで温かみのある映画であった。

評:蔵研人

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2020年8月 2日 (日)

EMMA/エマ 人工警察官

★★★★

製作:2016年 フランス 上映時間:116分 監督:アルフレッド・ロット

 簡単に言えば、フランス製の女性版『ロボコップ』である。ただ本作のロボット警官・エマは、容姿端麗で、身体能力の高さだけではなく、圧倒的な知識量と的確な分析力を兼ね備えている。
 従ってアクションシーンよりも、犯罪の分析やデーターの解析などで驚かせるシーンが中心となる。そこが単純なアクションものとは一線を課していて、なかなかユニークな仕上がりだと感じた。ただ逆にアクションシーンに期待すると、期待外れになるので、予め理解しておこう。

 本作では、犯人逮捕までのストーリーが二話収められており、映画と言うよりはテレビドラマのような創り方になっている。また女性ロボットであっても、色気は全くゼロでエロいシーンも一切登場しない。まさにTV仕様である。と思って調べたら、本作はフランスのテレビ局で連続ドラマ化を目指したパイロット版だったらしい。ただ残念ながらGOサインが出ずに、本作だけで打ち切りになったようである。実にもったいない気がするのだが・・・。

評:蔵研人

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