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2020年7月 6日 (月)

明智光秀と斎藤利三

著者:山元泰生

 明智光秀については、本能寺で主君・信長を討ち、三日天下に終わった超・謀反人としか認識していなかった。ところがNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』を視聴し、文部両道である光秀の働きぶりや誠実な性格に触れるうち、だんだん彼に興味を持ち始めてしまった。それで手にしたのが本書である。
 
 著者の山元泰生氏は、早稲田大学第一文学部に学び、出版社で編集者として経験を積んだあとライターに転じ、広く新聞・雑誌で、国際問題、社会事件、歴史人物などの取材・執筆を重ねている。
 本書はその経験及び人脈を駆使し、美濃及び京畿の全域を取材、資料・文献の収集に努めて本書を書き上げている。そしてそれを小説風にまとめ上げているので、実に読み易いのである。
 
 これにより、これまで長年議論されてきた「本能寺の変」の真相が遂に明らかになった。それは単なる「怨恨」でもなければ「野望」でもなかった。比叡山の焼き討ち以来、相次いだ信長の非道・横暴と残虐行為に、「この天下を灰にしてはならない」と考え決意したのであった。それも光秀一人の判断ではなく、重臣・斎藤利三をはじめとする明智軍団の総意であったようだ。
 また巻末には、明智光秀の娘お玉(細川ガラシャ)と、斎藤利三の娘お福(春日局)についてのよもやま話が綴られているのもなかなか参考になった。

評:蔵研人

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