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2020年6月23日 (火)

トラフィッカー 運び屋の女

★★☆

製作:2018年 アイスランド 上映時間:91分 監督:ボクァ・シグソーソン

 珍しいアイスランドの映画で、コカイン密輸を企てる兄弟と運び屋の女の運命を綴るクライム・スリラー作品と言えよう。人間関係については余り深く描かれていないのだが、弁護士の兄、出所したばかりの弟、シングルマザーの運び屋の何れもが、金に窮していることだけは確かのようだ。
 
 コカインの運び方だが、数本の親指大カプセルに詰め込まれたコカインを、運び屋の女が無理矢理飲み込んで飛行機に乗る。そして空港を出たところで弟の車に便乗し、ホテルで用を足して大便と一緒に排出されたカプセルを弟が回収して兄に届けるという流れであった。

 ところがなかなか机上の計画通りに行かないのが現実である。無理に沢山のカプセル飲み込んだせいで、女が飛行機の中で苦しみ始めてしまうのだ。女は機内のトイレで吐いてしまうのだが、その吐瀉物の中に大事なカプセル3本混ざっている。慌てて拾い上げてポケットに入れて席に戻るのだが、到着した空港のトイレでポケットを探っても、カプセルは2本しかみつからない。どうやら1本は機内に落としてしまったらしい。

 女と同じ飛行機には、見張りとオトリ役を兼ねて弟も同乗していたのだが、用心深い兄に「空港を出るまでは絶対に女と接触するな」とくぎを刺されていた。ところが、到着した空港のトイレに入った女が、いつまで経っても出てこないため、兄の忠告を無視してトイレ中に入ってしまうのである。
 これらの行為は全て空港内の監視カメラに記録されており、その後に機内で発見された1本のカプセルとともに重要な証拠物件になってしまうのだった。

 ただ女がホテルのトイレですぐに排便していれば、弟がその中からカプセルを回収し、二人はそのまま別れて事件も未解決のまま終わったはずなのだが、なんと女は頑固な便秘に罹り、下剤を飲んでも3日間排便がない。それどころか増々体調を崩して病院に行きたがるのだが・・・。この状況に弟は中々解放されないし、兄のほうも焦り始める中、今度は敏腕の女麻薬捜査官が動き始めるのであった。

 良し悪しは別としていろいろと引き込まれる映画なのだが、自分が犯人になったようでストレスが溜まってくるし、吐瀉物や大便の不潔感が漂ってくるところが我慢ならない。さらにはもう少しで園子温監督の『冷たい熱帯魚』になりそうで、「それだけはやめてくれ!」と叫び出しそうになってしまった。
 そらにラストは予想外の展開で、かなり胸糞が悪くなるだろう。数人の悪い奴らが登場するものの、ちょっぴり心優しいところが見かけられた。ところが弁護士の兄だけは見かけと正反対の大悪人。これが現実なのかもしれないが、救われなさ過ぎるし実に後味の悪い映画だった。だからこそ、観客たちの評価も良くなかったのだろうか。

評:蔵研人

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