あなたの名前を呼べたなら
★★★★
製作:2018年 インド、フランス 上映時間:99分 監督:ロヘナ・ゲラ
厳格な身分制度や因習が残るインドを舞台にしたメイドと御曹司との純なラブストーリー。インド映画にしては上映時間が短いし、歌やダンスのシーンも少ないし、地味で心に沁み入るようなメンタルな作品であった。よく調べてみると監督のロヘナ・ゲラはインド人であるが、現在フランスに在住している女性監督だという。それでなんとなく納得するしかないだろう。
また監督自身は裕福な家庭に育ったようだが、幼い自分の面倒をよく見てくれた住込みのメイドとの想いが心の残滓となっていたようだ。また大人になるにつれ、人を愛するという命題に突き当たり、それを探求するために身分制度と恋愛をブレンドした映画を創りあげたというのである。まあこのような問題はインドだけではなく、日本をはじめとして世界中で経験しているのだが、インドではまだ古い価値観や風習などが根強く残っているということなのだろうか。
主人公のメイド・ラトナは古い慣習の残るインド農村に生まれ、19歳の時に親の都合で不治の病を持った男のもとに嫁がされる。その夫はすぐに亡くなってしまうのだが、食い扶持を減らすためにムンバイにメイドとして出稼ぎに出る。しかも村では再婚することが許されず、汚らわしい者として親族の結婚式にも参加させてくれないのである。
それでもラトナは決して悲観的ではなく、「妹を大学に行かせることと、自分自身がファッションデザイナーなる」という夢を持ち続けて頑張っている。心優しい中にも、芯の強さを併せ持っている女性なのである。
そんなラトナをに接しているうちに、だんだん彼女に惹かれてゆくのがラトナの雇い主のアシュヴィンで、ある日彼女を引き寄せてキスをしてしまう。ラトナは力強く拒まなかったものの、禁断の恋に戸惑いながらある決意を・・・。
アシュヴィンは米国で自由に生きてきたのだが、兄の急逝によりインドで建設業を営む父親に呼び戻され、高級マンションに住みながら、その仕事を手伝っていたのである。だがそのこと自体が、彼の本意ではないことをラトナには見破られていた。
アシュヴィンはいかにも世間知らずだが、心優しい良家の御曹司というイメージ通り。ラトナを演じた女優は清楚で芯の強さが漂う。なんとなく『幸福の黄色いハンカチ』を演じていたころの賠償千恵子とオーバーラップしてしまった。それにしても意味深なタイトルだが、それはラストシーンで分かるのでお楽しみに。この洒落たエンディングは、インドというよりフランス製なのであろうか・・・。
評:蔵研人
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