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2020年3月14日 (土)

ライオン・キング

★★★☆

製作:2019年 米国 上映時間:119分 監督:ジョン・ファヴロー

 実写映画化という触れ込みだが、正確には『より実写に近いCGアニメ』と言えば良いだろう。それにしても良くできたCGである。動物たちが人語を喋ったり、歌ったり、ドラマを演じていなければ、まさに『アース』のようなネイチャー・ドキュメンタリーそのものではないか。
 もちろんこの映画の最大の見どころも、この実写のようなCGの完成度にある。そして実写に限りなく近づくことによって、前作のアニメ版をしのぐ威厳と説得力がもたらされていると言えよう。

 アフリカのサバンナには、偉大なる王であるライオンのムファサが君臨していた。妃のサラビとの間に生まれた長男シンバのお披露目に、さまざまな動物たちが誕生の儀式に集まってくる。そして動物たちが、ヒヒの祈祷師ラフィキがささげる将来の王シンバに深くこうべを垂れるところからはじまる。

 だが平和なサバンナにも、暗雲が立ち込める。王になれないことに不満を持つムファサの弟スカーが、シンバの誕生を苦々しく感じハイエナたちを使って王位略奪を企むのである。そしてある日陰謀が実行されるのだった。
 まあ大体この後の展開は誰にでも想像できるであろう。そう父を殺されて、王位を略奪され追放されたシンバが成長し、見事父の仇を討ってサバンナの王になるまでが描かれるのである。

 それにしても今更だが、本作は手塚治虫の『ジャングル大帝』にそっくりではないか。たぶん手塚自身が生きていたとしても、ディズニーファンだった彼は、ニヤリとするだけで文句は付けないような気がするのだが・・・。
 ディズニー側はあくまでもオリジナリティーを主張し、我々は『ジャングル大帝』も手塚治虫も知らないと言っているらしい。だが過去に米国でも『ジャングル大帝』が放映されているし、アストロボーイ(鉄腕アトム)の手塚を知らないアニメーターがいること自体が信じ難い。

 もちろんパクリとは言わないが、本作が『ジャングル大帝』を参考にしたことは想像に難くない。少なくとも手塚治虫に対する「オマージュ作品」として製作して欲しかったのだが、それはディズニー側のプライドが許さなかったのだろうか。
 ところで本作には人間が全く登場しない。実はそのストーリー構成こそが、ディズニー側がオリジナルだと言い張るための、『ジャングル大帝』との棲み分け手法だったのかもしれない・・・。

評:蔵研人

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