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2020年2月 3日 (月)

七つの会議

★★★☆
製作:2018年日本 上映時間:119分 監督:福澤克雄

 結論から言えば、日本のサラリーマンたちを皮肉たっぷりに揶揄している作品である。なるほど銀行員であることに嫌気がさして、退職後見事小説家を勝ち取った池井戸潤の気分がぶちまかれている作品じゃないの。
 まあ実力はともかくとして、サラリーマンを廃業し売れっ子小説家になれて良かったね、と言うより幸せだよね・・・。ただ同じような気分でいても、毎日イライラしながら我慢と惨めに染まり、サラリーマンを続けざるを得ない気の毒な人々も大勢存在しているということも理解してあげてね・・・。

 さて本作は序盤こそ主人公・八角自身の謎と彼に絡んだ者達が左遷されてしまうという謎を追ってゆくのだが、本命は企業の不正隠しの根幹に迫ってゆくことである。ただタイトルの『七つの会議』が意味するものは一体何なのだろうか。

 映画の中での会議らしい会議は3~4回程度しか行われず、タイトルが意味するところと食い違っているではないか。実は原作は映画と違って、8篇の短編小説の集合体で構成されている。そして最終編はエピローグであり、その他7つの短編にそれぞれ主要人物が一人ずつ合計7人登場する群像劇だと言うことが一つ。

 もう一つはやはり原作では、「定例会議」「環境会議」「計数会議」「連絡会議」「営業会議」「役員会議」「御前会議」の7つの会議が存在するということらしい。また映画の中では、面談や屋上での立ち話程度の会話も、一応会議としてとらえていて7つの会議が行われたとのことである。またもっと深読みすれば、『七つの大罪』と呼ばれている傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰の7つの欲求・感情を示唆している作品とも言えるかもしれない。

 いずれにせよ原作はともかく、映画のほうはなんとなくコメディめいた雰囲気が蔓延していて、テーマの持つシリアスさや重さが感じられなかった。これは主人公・八角を演じた野村萬斎の狂言的なセリフ回しと、営業課長とOLの素人探偵ゴッコの影響なのだろうか。これを面白いと考えるか、もっと真面目にやれと冷やかすかは好みの問題かもしれないね。


評:蔵研人

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