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2020年2月の記事

2020年2月27日 (木)

カイジ2 人生奪回ゲーム

★★★

製作:2011年日本 上映時間:133分 監督:佐藤東弥
 
 第一作はいくつかのゲームと地下での生活など、そこそこ変化があった。ところが本続編に関してはは、大型パチンコゲームだけに特化し過ぎて、退屈感とくどさに塗られてしまったようだ。
 それにしてもカイジのお人好し的な甘さは、「アリエネー!」と叫びたくなるほどイライラするのだが、原作のマンガでも同様なのだろうか。いずれにせよ、いかにもマンガチックな展開が鼻につく。まあ「それが売りなのだ!」と言い返されれば、それまでなのだが・・・。

 まあ決してつまらない映画ではなく、そこそこ面白いので時間つぶしに観るには問題ないだろう。それにしても藤原竜也君は、香取慎吾や大野智同様、マンガチックな作品が素晴らしく似合う俳優だよね。

評:蔵研人

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2020年2月23日 (日)

時の扉とシンデレラ

★★★☆
著者:ヴィクトリア・アレクサンダー

 なんともくすぐったい様なロマンチックなタイトルではないか。それもそのはず、本書はハーレクイン文庫エロティック・コンテンツであり、著者はこれまでに20作以上のヒストリカル・ロマンスを世に送りだしている売れっ子女性作家なのである。
 さてハーレクインには、次のお約束があることはご存じだろうか。
1.どんな作品も必ずハッピーエンドで結ぶ
2.ヒロインは基本的に前向きで、美しさと強さを兼ね備えた女性であること
3.ヒーローは当然ハンサムで、財力・権力・知力のいずれも申し分のない男性であること
 つまり王道のラブストーリーだからこそ、女性読者たちは安心してその世界に没頭し、疑似恋愛を楽しめるのであろう。だが男性たちには非現実でばかばかしい小説に映るかもしれない。ただタイムトラベルファンにとっては、ハーレクインにはそこそこ没頭できるタイムトラベルロマンスが多いので馬鹿にすることは出来ないのだ。もちろん本書も大いに楽しめるはずである。

 本作は1995年の米国で暮らし、恋に縁遠かった26歳のヒロイン・マギーが英国旅行中に、1818年の英国にタイムスリップしてしまうお話である。そしてそこで出会ったハンサムな伯爵と恋に落ちるという、よくありそうなお話なのだ。
 このお話でタイムマシンの役割を果たしたのは、霧のロンドンに現れたアンティークで魔訶不思議な雰囲気の馬車である。だがこの馬車がタイムスリップしたのは、1995年からピッタリ177年前ではなく、そこから1か月間前のロンドンだった。と言うことは、1か月後にまた同じ場所に馬車が現れて、マギーはまた元の世界に戻るという理屈になるのだろうか・・・。

 主な登場人物はヒロイン・マギーのほか、アダムこと第七代リッジフィールド伯爵とその妹リディアであり、バックグラウンドもほぼアダムの屋敷の中という構成になっている。もちろん舞踏会やそこで知り合った数人の男女との絡みもあるのだが、それらを全て加えても約10名程度の配役に過ぎない。まるで舞台劇のようなこじんまりした世界なのであるが、そのお陰で登場人物の名前が覚えやすかった。

 なにせエロティック・コンテンツと銘打っているのだから、エログロに落ちない程度の子細な性描写と、燃えるような恋心とドロドロした猜疑心の心理描写が延々と続いて行く。また「マギーは未来に戻るのか否か」もだんだん気になってくる。
 そしてラストの大団円では、きちっとタイムトラベルもののお約束を守ってくれたではないか。だから男性読者たちでも、たまにこんな恋愛小説を読んでも決して損はしないだろう。さらにもしリディアがヒロインとなる続編が創られれば、是非とも読んでみたいものである。

評:蔵研人

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2020年2月20日 (木)

羅生門

★★★★

製作:1950年日本 上映時間:88分 監督:黒澤明

 本作の脚本は、芥川龍之介の短編小説『羅生門』と『藪の中』を組み合わせて創られている。序盤とラストが『羅生門』で、その他は『藪の中』で構成されていると言って間違いないだろう。
 それにしても古びた羅生門が印象的であり、製作費の大半がこの門の製作費に充てられたとも言われている。また墨汁を混ぜたような黒い雨は、この作品を観る者の心の中にまで降り込んでくるようだった。

 登場人物は強盗の多襄丸(三船敏郎)、武士(森雅之)、その妻・真砂(京マチ子)、杣売り(志村喬)、旅法師(千秋実)、下人(上田吉二郎)、放免(加東大介)、巫女(本間文子)のたった8人なのだが、いずれも黒澤好みの個性的だったり芸達者な俳優ばかりで退屈しないのだ。
 この作品の主眼は、戦に明け暮れて荒れまくった平安京で生きる人々の荒んだ生き様と、当てにならない人の心の変遷を描いている。従って娯楽映画ではなく、どちらかと言うと芸術的な作品として分類できるだろう。そしてその証として、ブルーリボン賞脚本賞をはじめとして、ヴェネツィア国際映画祭やアカデミー賞など国際的にもかなり評価されているのだ。

 さて前振りが長くなったが、ざっとあらすじを述べてみようか・・・。
 強盗の多襄丸が森の中で縛りつけた夫の眼前で、その妻・真砂を犯し、挙句の果てに殺す必要のなかった夫を殺害してしまうという話なのである。ところが検非違使の前での多襄丸、真砂、殺された夫(巫女が再現)の証言が三者三様なのだ。これは法廷における当事者間で生じている利害関係の相反による供述の食い違いと考えればよいかもしれない。
 
 芥川龍之介の『藪の中』は、読者に結末を想像させるリドルストーリーだったが、この映画中では志村喬が演じる杣売りが、木陰で事件の全貌を覗き見ていたことになっている。つまりお白州での三者三様の証言は全てが嘘で、ラスト近くに杣売りによって真実の結末が語られるという構成になっているのだ。
 ただ杣売り自身もある罪を犯しており、その証言が真実かどうかが、また観客のほうに投げ返されている感がないでもない。そして本当のラストになって、それまでずっと暗くて陰湿だった展開にやっと終止符が打たれる。
 土砂降りだった雨も止み羅生門に光が射して、杣売りが赤子を抱えるラストシーンに、やっと観客も救われるはずである。・・・と善意に考えたいのだが、黒澤監督がどんな気持ちでこのラストシーンを挿入したのかは、最早誰にも分からない謎なのかもしれない・・・。

評:蔵研人

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2020年2月16日 (日)

さよならアリアドネ

★★★☆
著者:宮地昌幸

 ある日のことである。未来からやって来た中年女の”アリアドネ邦子”に、「このままだと最愛の妻に見捨てられて不幸のどん底に落ち込みますよ」と忠告される。また「それを阻止するためには、15年後の未来に跳んで、同じ8月23日を72回繰り返して、未来を変える方法を見つけるしかありません」とも断言される主人公の服部政志33歳であった。

 著者はあの『千と千尋の神隠し』の助手を皮切りに、数々のアニメを手掛けている宮地昌幸である。そして本作の主人公・服部政志もアニメーターという設定であり業界人も登場するので、もしかすると半分は自分自身の心境を描いた疑似私小説なのかもしれないね。

 前半は政志が四苦八苦して、同じ日を72回繰り返してなんとかハッピーエンドを迎える。そして邦子が2050年の未来に戻り、時空興信所長に「業務報告書」を提出する。かなり長い報告書なのだが、少し分かり難かったストーリー全体をまとめてくれたので助かった。ところがここまでで、まだこの小説の半分を消化しただけなのである。

 この後一体何があるのかと思っていたら、また過去に戻ってきた邦子が、政志の前でとめどなく泣き崩れてしまうのである。おいおい一体どうしちゃったの?と首をひねっていたら、今度は邦子の不幸な物語の幕開けであった。そしてその不幸を少しでも緩和するために、二人はタイムマシンで過去(邦子にとっては過去だが、政志には未来)へ跳んでゆくのであった。

 結局のところ本作は、政志と邦子の二人の不幸を阻止するためのタイムトラベル小説だったのだ。ただ前半の政志のタイムループ話は少し退屈であり、後半の邦子の過去改変のストーリーのほうが面白かった。ただ改変した過去とのタイムパラドックスについては、やんわりとパスしているのでかなり物足りないのが残念であった。

評:蔵研人

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2020年2月11日 (火)

淪落の人

Rinraku

★★★★
製作:2018年 香港 上映時間:112分 監督:オリヴァー・チャン

 アクション中心の香港映画としては珍しいヒューマンドラマである。それもあってか香港中を涙と感動で包み大ヒットを記録したという。もちろん日本でも、かなり評価は高いのだが、地味な創り方をしているせいか、今のところ上映が極端に少ないのが残念である。

 事故で下半身が動かせなくなったリョン・チョンウィンは、離婚することになり一人息子は妻と暮らしている。それで彼は公営住宅で、独り淋しく不自由な人生を送っていた。そんな彼の唯一の希望は、ネットで連絡を取り合っている息子の成長だけであった。
 また手助けしてれる友人のファイが時々訪ねて来てくれるものの、下の世話や食事の支度をしてくれる家政婦なしでは生活できない。だがこんな状況下では、なかなか長続きする家政婦がみつからないのだ。

 そんなある日、フィリピン人の住み込み家政婦エヴリンがやって来る。ただ彼女は広東語が喋れず、片言の英語でコミュニケーションを図るしかなかった。
 こんな状況下で、障害者と家政婦のギクシャクした生活が始まるのである。だが見かけは神経質で厳しいリョンだが、根は優しくて包容力があるので、エヴリンも少しづつ心を開いて行くのであった。だからと言って恋愛関係に発展するわけではなく、あくまでも人間同士の心温まる触れ合いに終始するところが心地よい。

 思わぬ事故で障害者となり、妻子と別れ、金持ちでもなく、希望もない主人公なのだが、絶望的な展開もなく、ストーリーも退屈しない。また香港に出稼ぎにやって来るフィリピン女性たちの生活実態を垣間見ることも出来る。決して楽しい映画でも痛快な映画でもないのだが、なんとなく心温まる不思議な肌触りを感じる作品であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

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2020年2月 7日 (金)

人魚の眠る家

★★★★
製作:2018年日本 上映時間:120分 監督:堤幸彦

  原作は東野圭吾の小説であり、ミステリー含みの社会派ドラマといったところだろうか・・・。と言うのも、脳死判定と臓器提供の選択に、母親の狂気が絡んでくる、という実に重くて複雑なテーマに挑んでいるからである。

 幼い娘がプールで溺れて意識不明になり、医師に脳死を宣告されるのだが、ベッドで一瞬娘の手が動いたのを見てしまった母親が、延命治療を望むことになる。そして家庭で眠ったままの娘を介護する生活が始まるのだった。さらに父親が経営するIT企業で研究しているロボット開発の技術を利用し、電子操作で娘の体の一部を動かすことに挑戦する。果たして娘は回復するのだろうか・・・。

 と言った展開で、誰もが奇跡の回復を祈り願うのだが、いつの間にか母親のほうが眠り続ける娘に没頭し過ぎて、異常心理に陥ってしまうのである。このあたりの心理描写を、主演の篠原涼子が巧みに演じているところが、実に印象的であった。普段余り彼女の演技を観たことがなかったので、こんなに演技達者だったのかと感心してしまった次第である。 


評:蔵研人

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2020年2月 3日 (月)

七つの会議

★★★☆
製作:2018年日本 上映時間:119分 監督:福澤克雄

 結論から言えば、日本のサラリーマンたちを皮肉たっぷりに揶揄している作品である。なるほど銀行員であることに嫌気がさして、退職後見事小説家を勝ち取った池井戸潤の気分がぶちまかれている作品じゃないの。
 まあ実力はともかくとして、サラリーマンを廃業し売れっ子小説家になれて良かったね、と言うより幸せだよね・・・。ただ同じような気分でいても、毎日イライラしながら我慢と惨めに染まり、サラリーマンを続けざるを得ない気の毒な人々も大勢存在しているということも理解してあげてね・・・。

 さて本作は序盤こそ主人公・八角自身の謎と彼に絡んだ者達が左遷されてしまうという謎を追ってゆくのだが、本命は企業の不正隠しの根幹に迫ってゆくことである。ただタイトルの『七つの会議』が意味するものは一体何なのだろうか。

 映画の中での会議らしい会議は3~4回程度しか行われず、タイトルが意味するところと食い違っているではないか。実は原作は映画と違って、8篇の短編小説の集合体で構成されている。そして最終編はエピローグであり、その他7つの短編にそれぞれ主要人物が一人ずつ合計7人登場する群像劇だと言うことが一つ。

 もう一つはやはり原作では、「定例会議」「環境会議」「計数会議」「連絡会議」「営業会議」「役員会議」「御前会議」の7つの会議が存在するということらしい。また映画の中では、面談や屋上での立ち話程度の会話も、一応会議としてとらえていて7つの会議が行われたとのことである。またもっと深読みすれば、『七つの大罪』と呼ばれている傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰の7つの欲求・感情を示唆している作品とも言えるかもしれない。

 いずれにせよ原作はともかく、映画のほうはなんとなくコメディめいた雰囲気が蔓延していて、テーマの持つシリアスさや重さが感じられなかった。これは主人公・八角を演じた野村萬斎の狂言的なセリフ回しと、営業課長とOLの素人探偵ゴッコの影響なのだろうか。これを面白いと考えるか、もっと真面目にやれと冷やかすかは好みの問題かもしれないね。


評:蔵研人

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