A.I.ライジング
★★
製作:2018年 セルビア 上映時間:86分 監督:ラザル・ボドローザ
珍しいセルビア発のSF映画である。宇宙飛行士とアンドロイドの恋愛というキャッチコピーであの『エクス・マキナ』を連想してしまった。またベオグラード国際映画祭5部門受賞するなど、世界中の映画祭で絶賛されたというのだ。
それにミステリアスで壮大な宇宙をバックに描いた美しいポスター。それで思わずレンタルDVDショップの店頭で、衝動レンタルをしてしまったのである。
借りてから自宅でネットの口コミを読んだら、余りにも酷い評価のオンパレード。だが実際に自分の目で確かめてみないことには、うかつに信じられない。と一縷の希望にすがってDVDを回してみたのだが・・・。
2148年、宇宙飛行士・ミルーティンは、ケンタウルス座アルファ星の調査を、世界最大の宇宙開発社であるエデルレジ社から依頼される。ただ彼は過去の任務中に、何度も女性関係でもめごとがあったことから、今回は女性型のアンドロイドが同伴者に選ばれることになる。このアンドロイドはニマニと呼ばれ、500通りの性格を選べて、ミルーティン好みの外見にカスタマイズされていた。
ここまでのオープニング設定では、これから何が起きるのか、人とアンドロイドがどのように愛し合うのかと期待を持たせるのだが、実はこの映画の観どころはここまでで、あとはいきなりセックスシーンに突入。宇宙船の中でいろいろ仕事があると思うのだが、その後もやることと言えば、ただただセックスばかり。
全くストーリーの片鱗もなく、今度は単調なセックスに飽きたミルーティンが、アンドロイドに人間の心を埋め込もうと画策するというだけのお話である。
それでもラスト近くになって、やっとこの映画最大の観どころが描かれるのだが、時すでに遅しそれでザ・エンドとなってしまうのである。期待感が大きかったせいか、かなり拍子抜けしてしまった。
だが神秘的な雰囲気を醸し出す映像とスピリチュアルな音楽、そしてアンドロイドを演じた女優のスレンダーな肉体と無表情な演技が、ベオグラード国際映画祭での高評価に貢献したのだろうか。
評:蔵研人
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