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2019年12月17日 (火)

カツベン!

Katuben  

★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:127分 監督:周防正行

 タイトルの『カツベン』とは、無声映画(サイレントムービー)の上映中に、傍らでその内容を解説する専任の解説者、つまり活動弁士を略した呼び名である。決して『とんかつ弁当』の略ではないのでご注意を(笑)・・・。

 そのカツベンは日本にしかないシステムで、米国のサイレントムービーなどでは、途中で画面が切り替わって説明文が表示される方式をとっている。ではなぜ日本にだけカツベンが存在したのだろうか。多分はじめは国産映画が存在せず、米国などからの輸入映画に頼っていたため、英文で表示される説明文では誰も理解出来なかったからかもしれない。また解説だけでなく舞台脇の音楽演奏なども含めて、歌舞伎や村芝居など伝統芸能の影響を受けたことも否めないだろう。

 さて本作はあの名作『Shall We ダンス?』で一世を風靡した周防正行監督が、『舞妓はレディ』以来5年ぶりにメガホンを握った待望のオリジナル映画作品である。
 また主人公・俊太郎役には、最近話題作に立て続けに出演しているものの本作が映画初主演となる成田凌が、共演のベテラン俳優たちを凌いで見事にその役柄を演じ切っていた。さらにヒロイン役を黒島結菜が演じるほか、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊ら周防組初参加のメンバー、そして竹中直人、渡辺えり、小日向文世、草刈民代らの周防組常連陣が脇を固めている。

 そのストーリーの中身は、少年時代からカツベンに憧れていた染谷俊太郎が、泥棒グループに利用された偽弁士を経て本物の弁士に成長してゆく過程を、ちょっぴりロマンスも絡めて描いたコメディードラマである。127分の上映時間があっという間に流れてしまったくらい面白かったことは確かだが、ラストの捕り物帳でのドタバタ臭さだけは気に入らない。もう少し質の高い笑いに期待していたのだが・・・。
 それはそれとして、周防流の『特化型ウンチク映画』の味は相変わらず冴えわたっていて、活動弁士の実態が分かり易く描かれていたよね。いい加減な弁士や人気弁士、そしてかなりアドリブの混じった会話力などなど、いつもながら社会勉強をさせてもらった。

 さてその昔、徳川夢声、牧野周一などの人気弁士がいたが、映画が無声映画からトーキーに変貌したことに伴って、漫談家などに転業したようである。それだけカツベンは話術に秀でていたのである。さてとっくの昔に絶滅したと思っていたカツベンだが、なんと現代にも10人程度が存在しているらしい。もっともそれだけで飯を食えるのは、その中の一人だけらしいのだが・・・。

評:蔵研人

 

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