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2019年11月23日 (土)

きみに読む物語

★★★★☆
製作:2004年 米国 上映時間:123分 監督:ニック・カサヴェテス

 愛し合った老夫婦の若き日の出会いと苦悩を、回想方式で描いた超純愛作品である。また原作となったニコラス・スパークスの小説は、あの『マジソン郡の橋』を上回る大べストセラーになったという。
 身分の違いと時の流れにも負けず、1年に356通のラブレターを書き、約束の家を建て、夢を実現させた男の「妻に対する強烈な愛の物語」である。
 ただ彼女のほうからは、何故1度も手紙を書かなかったのか、という疑問は残っている・・・。

 ストーリーとしては、良くある話なのだが、痴呆症の妻に自分達の過去を物語として語って、記憶を呼び戻そうというアイデアは、なかなか面白いし、ラストの意外な展開も含めて、全般的になかなか良く出来た脚本だと思う。
 あと映像がとても美しいね。特に夕日がにじむ湖をゆっくり進むボートと、白鳥の群れを横ぎるシーンがとても印象的である。
 だいたい良い映画か否かは、始めの15分位で判るものだが、この作品は、始まって5分位で良い映画の予感があった。

 また中盤からラストにかけては、感動シーンが続いて、涙が乾くひまがない。それも無理やりに泣かせる創り方ではなく、自然にとどめなく涙が落ちてくる仕組みになっているのだ。だから映画が終わっても、誰ひとりとしてすぐに立ちあがらず、老いも若きも男女も、ほとんどの人々が泣き腫らした顔でじっとうずくまっていた気がする。

 とにかく泣きたい人は必見の映画であろう。だいぶ以前に観た映画であるが、最近涙が恋しくなったので、一度原作も読んでみようかと考えている。

評:蔵研人

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