« 真っ白な図面とタイムマシン | トップページ | カランコエの花 »

2019年10月 4日 (金)

帰れない二人

Kaerenai

★★★☆
製作:2018年 中国、フランス 上映時間:135分 監督:ジャ・ジャンクー

 『長江哀歌』『罪の手ざわり』で有名なジャ・ジャンクー監督の人間ドラマで、2001年からある男女がたどる18年間の顛末を描いている。予告編を観たときは、中国の大自然をバックに描く大恋愛映画かと勝手に想像してしまったのだが、濡れ場どころか「愛している」の一言もない。また日本の任侠映画とは微妙に異なるのだが、渡世人とか義理人情といったセリフが頻繁に飛び交うのである。この映画のテーマは男と女の異なる愛の形なのか、風化してゆく義理と人情なのか、観る人によってその判断が多様になるだろう。

 北京五輪や上海万博を経て、さらには国内総生産(GDP)も一気に世界2位に躍り上がった中国。他国では100年かかった進化を、僅か20年前後で達成してしまった。とにかくここ最近の中国は猛烈なスピードで進化し続けている。
 だが14億人とも言われる中国人の全てが、その進化に連動しているわけではない。どちらかと言えばその劇的な進化について行けない人たちのほうが多いかもしれない。

 本作では敵対するメンバーの襲撃を受け、殺されそうになった恋人ビンを助けるために、ヒロインのチャオは意を決してご法度の銃を撃ち、さらに恋人をかばったために5年間の実刑を甘受することになってしまう。だが助けたはずの恋人ビンは、一度も面会に来ないどころか、刑期を終えて出所しても迎えにも来ないのだ。

 身寄りがなく行き処のないチャオは、伝手をたどってなんとかビンに逢いに行くのだが・・・。そこに待っていたのは厳しい現実と裏切りだけであった。愛のため身体を張って闘い、義を通して5年間も服役したのに、娑婆はあっという間に昔気質の価値観が通用しない世界に変化してしまったのだ。こんな悲しいことがあろうか・・・。それでも絶望することもなく、したたかに生き抜き続けるチャオには、観客の全てが惹かれてしまうことだろう。

 このチャオを演じたのは、監督夫人でもある同名のチャオ・タオであり、彼女の魅力が満載の作品に仕上がっている。そして髪型と化粧と演技力による彼女の18年間の風貌の変化にも着目して欲しいね。まさに彼女あってこその作品であった。


評:蔵研人

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

|

« 真っ白な図面とタイムマシン | トップページ | カランコエの花 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 真っ白な図面とタイムマシン | トップページ | カランコエの花 »