ある船頭の話
★★★★
製作:2019年 日本 上映時間:137分 監督:オダギリジョー
2005年~2007年頃にはバンバン主演映画を張っていたオダギリだったが、最近あまり見かけなくなっていた。ところがなんと本作は彼が初めて創った本格長編映画なのだという。あのオダギリに映画監督なんて出来るのかなと思っていたら、これがまたなんとも言えないくらい渋くて日本的で素晴らしい作品に仕上がっていた。
舞台のほとんどは、船頭小屋と小舟と大河だけであり、ストーリー性はほとんどない。その代わり神秘的なほど超美麗な自然描写と、セリフは少ないものの人間の心の奥に潜む葛藤が滲み出ているのである。
その美しい自然にぴたりと嵌まった古くてみすぼらしい船頭の存在。彼は村人たちには無料で船を渡している。彼のお陰でどれほどの村人たちが助かっていることやら。
ところが最近になって、大きな橋が建設され始めたのである。もちろん橋が完成すれば船頭の仕事は不要になってしまう。だが表面づらでは黙々と舟を漕ぐ船頭のトイチであった。
そんなある日、トイチは川に流されていた傷だらけで身寄りのない少女を助ける。だがこの少女との出会いをきっかけに、彼の人生は少しずつ狂い始めてゆくのであった・・・。そしてそれまで淡々と自然の中を行き過ぎていた映画のトーンが、急に濃くなってゆくのである。主な登場人物はトイチと源三と少女の三人なのだが、もしかすると彼等は別人格のトイチなのかもしれない。
かなり単調な展開のなかで137分は少し長過ぎた感もあり、その割には終盤が急ぎ過ぎでバランス感にやや難があるような気もしたが、超美麗な映像と贅沢な配役と日本の源風景に免じて許しても良いだろう。また何と言っても、船頭トイチを演じた柄本明の個性が光り輝いていたのが印象的である。ただあの狐の亡霊のようなイマジネーション?は、判り難いし不要だったのではないだろうか。
評:蔵研人
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