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2019年10月の記事

2019年10月29日 (火)

ハンターキラー  潜航せよ

★★★★☆
製作:2018年 英国 上映時間:122分 監督:ドノヴァン・マーシュ

 ジョージ・ウォーレスの小説を原作とする戦争アクション映画である。と簡単に言い切れほど単純な映画ではなく、苦労人の職人同士の信頼関係を描いたヒューマンドラマ仕立てなのである。
 ロシア近海で行方不明になったアメリカ海軍の捜査任務のため、攻撃型原子力潜水艦ハンターキラーが出航する。艦長はジェラルド・バトラー扮するところのジョー・グラス。苦労人で部下たちの信頼も熱いが大胆不敵で独善的な行動も厭わない。

 たまたまロシアでスパイ活動をしていた米軍特殊部隊の調査により、ロシアの国防相がクーデターを起こし、戦争に消極的な大統領を拘束したというのだ。この国防相は超危険人物で米国との戦争を望んでいて、どうやら先の行方不明になった米国原潜の沈没も、彼の指示によるものと思われる。
 この状況下で米国は戦争開始か否かの苦渋の選択を迫られるのだが、なんと戦争反対派のロシア大統領の救出にかけることになった。そして特殊部隊が大統領救出に向かい、彼等を収容するのがハンターキラーの役割となるのだ。

 ラストは派手なアクションシーンを期待していたのだが、それは良い意味で裏切られた。それが男同士の熱い信頼関係だったからである。米国とロシアの艦長同士の信頼、それぞれの部下との信頼関係、いいねえ実にいいねえ。
 なんだか急に目頭が熱くなって、感動の涙に濡れまくってしまったぜ。久々に「ほんとに映画って良いですね。」と言うあのセリフが復活した感動作であった。

評:蔵研人

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2019年10月25日 (金)

ある船頭の話

Sendou

★★★★

製作:2019年 日本 上映時間:137分 監督:オダギリジョー

  2005年~2007年頃にはバンバン主演映画を張っていたオダギリだったが、最近あまり見かけなくなっていた。ところがなんと本作は彼が初めて創った本格長編映画なのだという。あのオダギリに映画監督なんて出来るのかなと思っていたら、これがまたなんとも言えないくらい渋くて日本的で素晴らしい作品に仕上がっていた。

 舞台のほとんどは、船頭小屋と小舟と大河だけであり、ストーリー性はほとんどない。その代わり神秘的なほど超美麗な自然描写と、セリフは少ないものの人間の心の奥に潜む葛藤が滲み出ているのである。
 その美しい自然にぴたりと嵌まった古くてみすぼらしい船頭の存在。彼は村人たちには無料で船を渡している。彼のお陰でどれほどの村人たちが助かっていることやら。

 ところが最近になって、大きな橋が建設され始めたのである。もちろん橋が完成すれば船頭の仕事は不要になってしまう。だが表面づらでは黙々と舟を漕ぐ船頭のトイチであった。
 そんなある日、トイチは川に流されていた傷だらけで身寄りのない少女を助ける。だがこの少女との出会いをきっかけに、彼の人生は少しずつ狂い始めてゆくのであった・・・。そしてそれまで淡々と自然の中を行き過ぎていた映画のトーンが、急に濃くなってゆくのである。主な登場人物はトイチと源三と少女の三人なのだが、もしかすると彼等は別人格のトイチなのかもしれない。

 かなり単調な展開のなかで137分は少し長過ぎた感もあり、その割には終盤が急ぎ過ぎでバランス感にやや難があるような気もしたが、超美麗な映像と贅沢な配役と日本の源風景に免じて許しても良いだろう。また何と言っても、船頭トイチを演じた柄本明の個性が光り輝いていたのが印象的である。ただあの狐の亡霊のようなイマジネーション?は、判り難いし不要だったのではないだろうか。
 
評:蔵研人

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2019年10月20日 (日)

ジュリアン

★★★
製作:2017年 フランス 上映時間:93分 監督:グザヴィエ・ルグラン

 離婚した両親の板挟みで悩む少年と家族を描くヒューマンドラマで、第74回ベネチア国際映画祭で最優秀監督賞に輝いた作品である。と言う触れ込みにつられてレンタルしたのだが、はっきり言ってヒューマンドラマというより、ホラー映画と言ったほうが似合っているのだ。

 オープニングは家裁での調停シーンで、弁護士経由で離婚した夫婦それぞれの言い分が延々と語られる。この断面で両者の言い分にズレが生じているのだが、どちらが正しいのかは分からない。そして裁判所の裁定が下され、父親に少年の親権が認められると、2週間に一度の頻度で父親と少年が一緒に週末を過ごすことになるのだった。

 このあたりから父親の横暴さがチラチラと顔を出してくる。そしてだんだん陰険になり、狂暴性を発揮してくるのだ。結局この父親は少年が可愛くて親権を要求したのではなく、別れた妻とヨリを戻したくて少年を利用しているだけのようである。
 自分の両親にも見放されたこの父親は、なんとヤケクソになったのか、深夜に猟銃を持って、元妻の家のドアをバンバンと叩き、挙句の果て銃をぶっ放す始末。

 結局は親権とかDVとかと言うレベルではなく、ストーカー的な狂人の話だったのだろうか。それにしても逃げ回っているだけで、結果的に息子にリスクを押し付けている母親にもイライラが募る。警察への通報も迷っているばかり、近所の人の通報がなければ手遅れになっていたかもしれないじゃないの。まあ母親もはっきりしないが、少年もモジモジし過ぎているよね。姉が一番しっかりしているようなのだが、ただ彼氏とイチャイチャしているだけで、ほとんど存在している意味がない。

 決してつまらない映画ではないのだが、ストーリーがバラバラにちぎれていて、前後の話が繋がってこないのだ。またラストの尻切れトンボのような締めくくりもすっきりしない。あれではまたまたその後に、さらなる恐怖を引きずって行くだけではないのだろうか。
 

評:蔵研人

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2019年10月15日 (火)

ファースト・マン

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:141分 監督:デイミアン・チャゼル
 
 アカデミー賞で視覚効果賞を受賞しただけあって、とにかく臨場感が凄いのだ。観客も一緒に宇宙空間を疑似体験してしまうという映像と音には驚いた。

 本作は人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマという触れ込みである。ただ自伝としては、薄味でこじんまりとし過ぎた感があり今一つかもしれない。またラストの感動的な帰還シーンがないのも、私的には物足りなさを感じてしまった。

 もっともその地味なラストは、不器用で寡黙な主人公の意思とリンクしていて好感が持てるという人もいるので、賛否の分かれるところかもしれない。まあいずれにせよ月面着陸シーンにだけは、全ての観客が大感動することだけは間違いないだろう。


評:蔵研人

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2019年10月11日 (金)

シャザム!

★★★☆
製作:2019年 米国 上映時間:132分 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ

 14歳の少年が「シャザム!」という呪文を唱えると、スーパーヒーローに大変身できるようになる。これは闇の世界でたった一人生き残り、もはや消滅寸前の魔術師が純真な心を持つビリー少年を後継者に選んだからであった。

 ただいくらヒーローと言えども、中身は少年なのでその行動は幼いし気も弱い。それで前半は『キック・アス』や『デッドプール』のようなコミカルタッチのヒーロー像になってしまう。
 後半悪魔に憑りつかれた悪人が登場すると、だんだんパワーアップしてきて、なんと空を飛ぶことが出来るようになる。こうなるともうほとんどスーパーマンの世界だ。とは言っても、やはり子供には変わりないため、どこかぎこちなさが残ってしまう。

 ただコメディーと言ってもそれほど笑えるわけでもないし、ストーリー展開も子供仕様で大雑把な感が否めない。まあお気楽なので暇つぶしには良いかもしれないね。またラストの牢獄シーンで、続編が創られるような雰囲気があったが、個人的にはもうこの一作だけでお腹一杯である。

評:蔵研人

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2019年10月 8日 (火)

カランコエの花

★★★☆

製作:2016年日本 上映時間:39分 監督:中川駿

 保健の教師からLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)についての説明を受けて、いろいろな反応を見せる高校生たちの姿を描いた作品である。監督は若いし出演者はほとんど無名の俳優ばかり。それに上映時間がたったの39分という究極の短編映画なのだが、第26回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」のコンペティションでグランプリに輝いたほか、さまざまな映画祭で高評価を得ている。

 なかなか良い映画だと思うのだが、レンタルなので劇場鑑賞料金が不明だが、39分の上映時間で1800円を払う気にはならない。せめて1時間程度のストーリーにまとめても良かったのではないだろうか。
 タイトルのカランコエとは、ベンケイソウ科の一種で光を嫌う短日植物だという。また肉厚な葉と様々な色の鮮やかな花が特徴的だ。そして花言葉は「あなたを守る」である。
 
 映画の中では新米教師が、ある女学生に女友達を好きになってしまったと告白される。それをそのまま自分の胸の内にしまって置けばよいものの、その女学生をかばうために、いきなり授業で「LGBT」のことを取り上げてしまう。
 ところがそのことに興味を示した男子が、「そういうことをこのクラスだけで取り上げたということは、クラスの中に「LGBT」がいるのだろう!」とはやし立てるのである。それに驚いたくだんの新米教師が、今度は男性教師に叱ってもらったため、騒ぎはさらに大きくなり、犯人探しにまで進展してしまうのだった。

 光を当てられたくない(そっとしておいて欲しい)、あなたを守るつもりが逆に傷つけてしまった。本作はカランコエをモチーフにしながら、思春期の女学生が陥りやすい葛藤を描き、そこに「LGBT」味をブレンドした作品なのであろう。もし「LGBT」味がなければ、単に良くある話で終わっていたのだが・・・。

評:蔵研人

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2019年10月 4日 (金)

帰れない二人

Kaerenai

★★★☆
製作:2018年 中国、フランス 上映時間:135分 監督:ジャ・ジャンクー

 『長江哀歌』『罪の手ざわり』で有名なジャ・ジャンクー監督の人間ドラマで、2001年からある男女がたどる18年間の顛末を描いている。予告編を観たときは、中国の大自然をバックに描く大恋愛映画かと勝手に想像してしまったのだが、濡れ場どころか「愛している」の一言もない。また日本の任侠映画とは微妙に異なるのだが、渡世人とか義理人情といったセリフが頻繁に飛び交うのである。この映画のテーマは男と女の異なる愛の形なのか、風化してゆく義理と人情なのか、観る人によってその判断が多様になるだろう。

 北京五輪や上海万博を経て、さらには国内総生産(GDP)も一気に世界2位に躍り上がった中国。他国では100年かかった進化を、僅か20年前後で達成してしまった。とにかくここ最近の中国は猛烈なスピードで進化し続けている。
 だが14億人とも言われる中国人の全てが、その進化に連動しているわけではない。どちらかと言えばその劇的な進化について行けない人たちのほうが多いかもしれない。

 本作では敵対するメンバーの襲撃を受け、殺されそうになった恋人ビンを助けるために、ヒロインのチャオは意を決してご法度の銃を撃ち、さらに恋人をかばったために5年間の実刑を甘受することになってしまう。だが助けたはずの恋人ビンは、一度も面会に来ないどころか、刑期を終えて出所しても迎えにも来ないのだ。

 身寄りがなく行き処のないチャオは、伝手をたどってなんとかビンに逢いに行くのだが・・・。そこに待っていたのは厳しい現実と裏切りだけであった。愛のため身体を張って闘い、義を通して5年間も服役したのに、娑婆はあっという間に昔気質の価値観が通用しない世界に変化してしまったのだ。こんな悲しいことがあろうか・・・。それでも絶望することもなく、したたかに生き抜き続けるチャオには、観客の全てが惹かれてしまうことだろう。

 このチャオを演じたのは、監督夫人でもある同名のチャオ・タオであり、彼女の魅力が満載の作品に仕上がっている。そして髪型と化粧と演技力による彼女の18年間の風貌の変化にも着目して欲しいね。まさに彼女あってこその作品であった。


評:蔵研人

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