ブラインドスポッティング
★★★★
製作:2018年 米国 上映時間:95分 監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
原題の『BLINDSPOTTING』をそのまま邦題にした長ったらしいタイトルだが、直訳すると「目隠し」となる。ただこの作品の中では「盲点」という意味に解釈したほうが分かり易い。それをさらに解析すると「自分からは見えない視点(つまり盲点)を知ることで、見えるものと見えていないもの、その両方を見ることができる」ということを示唆しているらしい。
本作はサンダンス映画祭、SXSWほか世界の映画祭で絶賛され、オバマ元アメリカ大統領が2018年のベストムービーに選出したため、かなり話題を集めた作品である。また本作の舞台はカリフォルニア州のオークランドであるが、ここは米国でも屈指の人種的に多様な都市であり、犯罪の発生率がかなり高いと言われている。そして本作の底流に流れる白人警官による黒人射殺事件が、かつて実際に発生していることでも有名である。
黒人のコリン(ダヴィード・ディグス)は、保護観察期間の残り3日間を無事に乗り切らなければならない。ところが幼馴染みで仕事の同僚である白人マイルズ(ラファエル・カザル)が、短気でいろいろな問題を引き起こすため、いつもひやひやしている。
またそもそもコリンが逮捕された原因も、マイルズが余計なちょっかいを入れたため、ことが大きくなってしまったからなのである。そのくせ逮捕されたのは黒人のコリンだけだったのは、人種差別によるものなのだろうか・・・。だが人の好いコリンは、マイルズを恨むどころか、親友として家族ぐるみで付き合っているのだった。
この作品は保護観察期間の切れる直前の3日間だけを描いているのだが、その間にいろいろな事件が勃発する。また黒人と白人のアイデンティティの違い、オークランドの現実などを生々しく描いてあり見所のある作品に仕上がっている。さらに終盤に、とうとうブチ切れたコリンが歌うラップも、なかなか迫力があって決まっているではないか。拍手・拍手。
評:蔵研人
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