彼が愛したケーキ職人
★★★★
製作:2017年 イスラエル・ドイツ 上映時間:109分 監督:オフィル・ラウル・グレイツァ
ナチとユダヤ人が手を組んで映画を製作するとは、誰が予測し得たであろうか。それにしても時代は変ったものである。舞台も序盤はベルリンであとはエルサレム、そしてラストがまたベルリンに戻るという展開だ。
ベルリンのカフェで働くケーキ職人のトーマスは、いつも出張でイスラエルからやって来る客オーレンに好感を抱き、二人はいつの間にか男同士の恋人関係へと発展してしまう。だがオーレンにはエルサレムで妻子が待っている。
ある日突然オーレンは、「また1か月後に」とトーマスに告げてエルサレムに帰って行く。だがその後全く連絡が途絶えてしまうのである。トーマスは何度もケータイに留守電を入れるのだが、全く返信がない。
ある日トーマスは、オーレンがエルサレムで事故にあって死亡したことを知らされる。半信半疑のトーマスはエルサレムへ飛び、オーレンの妻・アナトが経営しているカフェへ行くのだが・・・。
イスラエルの食文化と宗教観、美味しそうなドイツのケーキとクッキーなど、数々のカルチャーは実に興味深い。そしてオーレンを愛した男と女の遭遇という、一種の皮肉めいた出会い。それは淡々としているようで、ねっとりとした分身の愛と隣り合わせているようだ。その分身の気配をいち早く察知したのが、オーレンの母親だったのかもしれない。
全体的に雰囲気が暗くセリフも説明も少ないため、主人公トーマスの意図がはっきりしない。さらにはラストシーンも、観客たちの想像に委ねたままである。従って好き嫌いの分かれる作品かもしれない。だがそれらを全てひっくるめたところで、この作品の味が醸し出されているのではないだろうか。
評:蔵研人
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