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2019年8月17日 (土)

ビューティフル・デイ

★★★☆

製作:2016年 英国 上映時間:90分 監督:リン・ラムジー

 第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞を受賞している。男優賞は理解できるのだが、どうも脚本賞のほうは納得できない。一応サスペンスとかスリラーというジャンル分けがされているのだが、アクションシーンはほとんどゼロ、主人公が通り過ぎた後に死体が転がっているという見せ方なのである。

 主人公のジョーは、元軍人でFBI捜査官をしていたこともある。現在は年老いた母親と暮らしながら、行方不明の女の子を探し救済するという仕事を請け負うことで生計を立てている。そしてその仕事を遂行するためには、かなり惨忍で手段を選ばない。だが少年時代に父親から受けた虐待と、戦争で受けたショックがトラウマになって、PTSDを発症して酷いフラッシュバックに悩まされていた。

 本作はジョーの心象風景を描く流れが中心であり、ストーリーはシンプルそのものだ。つまり誘拐され売春組織で富裕層の男性相手に、娼婦として働かされているニーナの救出、それもあっさりと簡単に成し遂げてしまう。
 常に自殺願望を抱いていたジョーだが、母親の死によって生きる支えがなくなり湖に沈んでしまう。だがニーナの救出を思い出し、湖から浮き上がるのである。

 そしてそのニーナを救出したあとは、また目的がなくなり自殺しようとするのだが・・・。ニーナに「いい日ですね(ビューティフル・デイ)」と声をかけられ、思いとどまるのだった。
 とにかく従来のサスペンスやスリラーとは一線を画す、奇妙な創り方に脚本賞が輝いてしまったのだろう。まあそう考えれば脚本賞も納得せざるを得ないのだが、フラッシュバックシーンが多過ぎて、船体の流れが分かり辛くなっているよね。

評:蔵研人

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