パスト&フューチャー 未来への警告
★★★
製作:2018年 スペイン 上映時間:92分 監督:ダニエル・カルパルソロ
タイトルがなんとなくタイムトラベル風だったので、思わず衝動借りしてしまったのだが、現在と10年後を同時進行で描いたスペイン産のミステリーであった。ではなぜ10年間の時を隔てて、同時進行して描かれなければならないのだろうか。
それはあるコンビニで、1913年、1955年、1976年、2008年の同じ日に、発砲による殺人事件が発生したからである。これは偶然か呪いなのだろうか。さらにはどの事件も、現場に居合わせた被害者・犯人・目撃者は合計5人で、その年齢構成は、53歳・42歳・32歳・21歳・10歳なのだ。そのパターンを解析した数学者のジョンが出した結論は、『10年後の2018年4月12日に、そのコンビニで10歳の子供が死ぬ』というものだった。
その因果律を阻止するために、ジョンは必死に動き回るのだが、周囲の人々は彼を異常者扱いするばかり。そして彼の行動は全て空回りして増々悪い方向へと反転してゆくのだった。
一方10年後に殺される予定の子供は、母子家庭のためか、学校でいじめの対象となっている。また母親が過剰に関与してくるため、なかなか独り立ちできない。そして少年は、4月12日にコンビニに行くと殺されるという警告書を発見し、さらに臆病になってしまう。
ところが母親は、そんな息子を強くしようと、嫌がる少年を無理矢理コンビニへ連れて行くのである。そこへ拳銃を持った強盗が侵入してくるのだが…。
こうした展開により緊迫感を持たせるため、10年の時を隔てて同時進行風に描いたのであろう。それはそれで良いのだが、どうもジョンの行動に冷静さが全くみられず、まるで麻薬中毒者のように悪夢に襲われる状態にイライラが募ってしまう。また嫌がる少年を強引にコンビニへ引っ張ってゆく母親のしつこさも納得できない。
ラストの締めくくりが気になるので、それとなく退屈もせず観終わったのだが、なにか余りすっきりしないし、殆ど予測の範囲内で感動もなかったのが非常に残念である。まあ悪い映画ではないのだが、数字ばかりいじくりまわさないで、もっと人間関係の部分を掘り下げて欲しかったね。
評:蔵研人
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