ワイルドライフ
★★★★
製作:2018年 米国 上映時間:105分 監督:ポール・ダノ
監督のポール・ダノは、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』で主役を演じた俳優だが、本作で初めて監督を経験している。
さて本作の時代背景は1960年代で、ジェリー(ジェイク・ギレンホール)一家は、モンタナ州の田舎町へ引っ越して来る。14歳の息子ジョーはフットボール部に入部したが、なかなか馴染めない。だが父親・ジェリーがゴルフ場で働き、母親ジャネット(キャリー・マリガン)が楽しそうに家事に専念している姿を見てホッとしていた。
ところがある日ジェリーが仕事をクビになってしまう。はっきりした原因は分からないが、たぶん客と賭け事をしたためではないだろうか。その後上司から、誤解があったのでもう一度復帰してみないかとの連絡があるのだが、もうその職場では二度と働きたくないと言うのだ。
このあたりから、なぜこの家族がこの地に引っ越して来たのかが、それとなく解明されることになる。そうジェリーはいつも現実と向き合うことが出来ず、仕事も長続きしないようなのだ。
そんな夫に我慢しながら、なんとかついてきたジャネットだった。ところが突然ジェリーが「危険な山火事の消火に行く」と言い出すと、ついに切れてしまうのだった。そして仕事先で知り合った金持ち爺さんと出来てしまうのである。
本作は息子の視点で創られているため、その経緯をずっと見ているジョー少年の辛さと切なさがひしひしと伝わってくる。ジョーはほとんど文句を言わないのだが、その心象風景は若い監督だからこそ巧みに描けたのかもしれない。
なぜジェリーは妻が反対するボランティアのような山火事消火作業に参加したのか、それは自分の不甲斐なさのために妻や息子に労働を強いてしまった苦悩の裏返しなのだろう。また山火事自体も小さな火種から大きな災害になる。それと同様に、家族関係もちょっとしたきっかけが災いして、崩壊してしまうという戒めが込められているのである。いずれにせよ夫婦と息子の三人とも演技力が素晴らしく、ことに父母の双方を愛しているジョーのピュアな葛藤を演じたエド・オクセンボールドには絶賛の拍手を送りたい。
評:蔵研人
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