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2019年6月25日 (火)

女は二度決断する

★★★

製作:2017年 ドイツ 上映時間:106分 監督:ファティ・アキン

 この邦題の意味は、裁判と復讐の二つの選択を意味しているのか、あるいは二回目の復讐行為を指しているのだろうか。いずれにせよ「土曜サスペンス劇場」的な安易なタイトルにしか感じられない。ただ英語なら原題をそのまま邦題化できるのだが、この原題はドイツ語の「Aus dem Nichts」(何もないから)なので、なかなか邦題化が難解であることも確かである。

 舞台はハンブルグ、「お金も地位も名誉もいらない。彼女がいれば幸せ」という歌詞に載せて、主人公カティヤと夫ヌーリの獄中結婚式がはじまる。なぜ獄中結婚式なのかの説明はないのだが、罪を犯したヌーリが出所後にはきっと幸せな家族を創ってゆくのだろうと予感させるオープニングである。

 確かにそれまで大麻の売買に関わっていたトルコ移民のヌーリは、結婚後真面目に働き、可愛い息子にも恵まれ三人でそこそこ裕福で幸せな生活を送ることが出来るようになっていた。ところがある日突然、ネオナチのテロ攻撃に巻き込まれ、ヌーリと6歳の息子が命を落としてしまうのである。

 このあと二人の犯人がすぐに逮捕され、法廷でのやり取りに終始する。そしていかにも我らが犯人だと言わんばかりの病的な陰険さが顔付に染みついた犯人夫婦が、怪しげな弁護人と一緒に登場し裁判が始まる。
 もちろん犯人たちは一言も喋らないが、この弁護人がとにかくよく喋る。冒頭から被害者の同席を延々と屁理屈を並べて拒否するなど、終始憎々しい強引で手前味噌な論理でゴリゴリと難癖を付けたり弁護演説を続けてゆくのだ。

 ちょっとチープな裁判ではあったが、この怪しくて憎らしい弁護人の存在もあり、かなりストーリー引き込まれ、これからの展開にワクワクしてしまった。ところが圧倒的に犯人たちが不利と思われていたにも拘らず、なんと最終判決は『無罪』と言い渡されてしまうのである。
 せっかくこれからさらに盛り上がる法廷シーンを期待していたためか、観ているほうが、被害者であるカティヤ以上に失意の底に突き落とされてしまうだろう。そしていきなり終盤の『海辺の復讐劇』へと急展開してしまうのだ。

 もうここからは復讐以外殆ど何もない。ヒューマンドラマかと思ったら結局は単なる復讐物語だったのかと、私のように失望してしまう人もいるかもしれない。まあ二度目の襲撃が一度目よりマシではあるが、いずれにせよ大同小異であり、個人的にはあくまでも裁判での決着を望んでいた。そして犯人よりも憎々しいあの怪しい弁護人が挫折するシーンを観てみたかったね。

 もっと言えば、この作品は主人公カティヤの行動だけに的を絞り過ぎたことが不満の原因かもしれない。なぜ犯人たちがネオナチになったのか、なぜ今になってヌーリを殺害する気になったのかなどの動機や背景が全く描かれていないのは余りにも温過ぎるのだ。また少なくとも、カティヤの二度目の襲撃への心変わりや葛藤について、もう少し丁寧に描いていれば少し心に沁みる作品になったのかもしれない。

評:蔵研人

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