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2019年5月11日 (土)

ラブレス

★★★☆

製作:2017年 ロシア,フランス,ドイツ,ベルギー 上映時間:127分 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ

 第90回アカデミー外国映画賞、第75回ゴールデングローブ外国映画賞にノミネートされ、第70回 カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞している完成度の高いヒューマンドラマ作品である。

 会社員のボリスと美容院を営むイニア夫婦は、お互いに愛人がおり険悪な雰囲気のまま離婚協議を続けていた。また二人には12歳の一人息子アレクセイがいるのだが、二人とも息子を愛しておらず、激しい口論の末お互いにアレクセイを押し付け合うのであった。
 それを聞いていたアレクセイは、悲しみの余り翌朝家を出たまま行方不明となってしまう。だがその父母たちはお互いに不倫相手と濃密なセックスに夢中になるばかりで、アレクセイが家出して2日後になってやっと彼の不在に気づく始末なのだ。

 警察に届けても、「忙しいので誘拐や殺人でない限り捜査できない」と断られ、民間のボランティア団体に依頼するように誘導して引き上げてしまう。
 やる気のない警察に見切りをつけた夫婦は、民間ボランティアの捜索隊に本件を依頼する。そのボランティア捜索隊は民間人らしからぬ手際よさで、すぐさまあらゆる方法で捜索を開始するのだがアレクセイは見つからない。

 こんな調子でストーリーは、不倫ドラマから一転してサスペンス的な展開にチェンジしてゆく。だからと言ってこの事件をきっかけにして、ボリスとイニアが夫婦関係を復活させるという結末になる訳ではない。それどころか捜査を続けるうちに、二人の関係は増々陰険になってくるばかりなのだ。そしてラストも生々しく救いがなく後味が悪い。だがそれがこの作品のキモであり、ハッピーエンドのハリウッド映画とは一線を画すゆえんであろうか。

 いずれにせよ最初から最後までずっと暗くて重苦しい。また人間関係の描き方もストレートで、ドロドロとしているので好き嫌いの分かれる作品かもしれない。なにせ子供の親権を争う話はよく聞くが、その逆は聞いたことがない。
 良く判らないがロシアの実態はかなり病んでいるのだろうか。子供を無視して自己快楽に耽る親たち、ところかまわずスマホばかりに夢中になっている大人達(これは全世界的傾向か)、そして無気力な警察。
 そんなときにウクライナでは、何の罪もない大勢の人々が不幸のどん底に突き落とされている、という皮肉汁もたっぷり盛り込んでいるではないか。また宗教的な終末観を煽る集団の話がバックに流れていたのは、何を意図していたのだろうか。

 それにしても、よくこんな映画の製作がロシアで許可されたものである。昔のソ連時代なら即没収ではないだろうか。それだけロシアも進化したのだろうか。ただ製作国がロシアだけでなく、フランス、ドイツ、ベルギーの4か国合作となっているところに仕掛けがあるようなきがするのだが・・・。

評:蔵研人

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