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2019年5月30日 (木)

ビリーブ 未来への大逆転

Bleeve

★★★★

製作:2018年 米国 上映時間:120分 監督:ミミ・レダー

 現在、合衆国最高裁には三人の女性判事が在籍している。本作はその一人であるルース・ベイダー・ギンズバーグの半生に迫るヒューマンドラマである。
 彼女は貧しいユダヤ人家庭に生まれ育ったが、負けん気の強さと異常なほどの努力により、名門ハーバード法科大学院を首席で卒業する。その1950年代に在学していた女性は500人中たったの9人であり、女子トイレすら設置されていなかったという。
 また首席で卒業したにも拘らず、ユダヤ系移民であること、子供がいること、そして女性であることなどの理由で、法律事務所には就職が叶わず、大学教授として働いていた。だがどうしても弁護士への夢を忘れられず、ある男性差別の訴訟記録を目にしてその弁護を無償で買って出るのだ。

 それは国を相手取っての訴訟だったので、はじめは全く勝ち目がなかったのだが、ギリギリのところで勝負に持ってゆく。そのラストの数分間の弁論はなかなか感動的であり、まるでそのシーンを見せるために創った映画のようであった。
 この裁判によって彼女は名声を得、その後のあらゆる差別問題に新しい判例を提示し、古い慣行に風穴を開けたのである。ことに現在女性たちが自由に活躍出来るようになったのは、まさに彼女のお陰だと言えるだろう。

 しかしその彼女を支えて応援してくれた夫マーティンの存在を忘れてはならない。料理下手の彼女に代わって夕食を作ったり、思春期の娘と気難しい母親の調停役になったり、弁護士活動を支援してくれたりと、まさに優しくて頼りがいのある夫の鏡のような存在だったのである。
 またマーティンは若くして精巣ガンに侵されて生存率5%と医者に宣告されたが、その後妻ルースの看病と大学での代筆などに助けられて、有能弁護士として働き78歳まで生きることが出来たのである。まさに夫唱婦随いや婦唱夫随か、どちらにせよ夫婦二人三脚で助け合い、尊敬し合いながらの人生を全うした結果なのであろう。実に羨ましい夫婦関係である。

評:蔵研人

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