父、帰る
★★★★
製作:2003年 ロシア 上映時間:111分 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
菊地寛の小説ではありません。12年間行方不明だった父親が突然帰ってきて、二人の息子と謎の旅に出るという、ミステリアスなロシア映画なのです。
優柔不断で優しい中学生の長男と、頑固で我がままな小学生の次男の好演が、特に光っていました。特に次男は表情を初め、体中から頑固さが漂っていました。あれは演技というよりは天性のものではないかと思いますし、万一演技だとすれば鬼気迫る大天才であります。
それにしても不思議なタッチの作品でした。意外なラストの結末、父が行方をくらました理由、息子達を無理やり旅に連れ立った訳、謎の電話、土中から堀り出した謎の箱、これらの全てを説明しないままエンディングとなるのです。
考えようによっては、馬鹿にされた気分になってしまうのではないでしょうか・・・。しかしながら一方では、この投げやりな終り方が、この作品に深みを与えているとも言えるでしょう。
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