シェイプ・オブ・ウォーター
★★★☆
製作:2017年 米国 上映時間:124分 監督:ギレルモ・デル・トロ
原題は『THE SHAPE OF WATER』。直訳すると「水の姿」あるいは「水の形」という意味なのだが、このままでは意味不明である。そこでいろいろ調べてみると、ギレルモ・デル・トロ監督がこの難解なタイトルを説明している動画を見つけることができた。またその動画で監督は次のように語っている。
「水は一番力を持った物質だ。どんな場所でも通り抜けるし、どんな形にもなり得る。グラスに入れるとその形になる。瓶の形にもなるしボトルの形にもなる。氷にもなるし蒸すこともできる、柔軟で強力だ。
それは愛だと思う。愛する対象により形を変える。相手が誰であろうと、人種、肌の色、宗教、性別に関わらず形を変え全てに適応する。水は強力でやさしい物質だ。愛の形という認識だった。」
つまりあらゆる障壁を超えたところにある『究極の愛の物語』を描きたかったのだろうか。だから本作に登場する主な人物は、ゲイ、黒人女性、障害者など差別を受けやすい人ばかり、そしてさらには究極の「半魚人」なのかもしれない。
さて何といっても半魚人の登場は荒唐無稽なのだが、本作はモンスター映画ではなく、れっきとした恋愛映画なのである。それも人間と半魚人のラブストーリーなのだ。だから半魚人の姿はやや陳腐だが、CGではなく着ぐるみで優しい眼をしたぬいぐるみ仕様になっているのかもしれない。
いずれにせよ監督が描きたかったのは、あらゆる障壁を超えたところにある『究極の愛の物語』なのだから、美女と野獣でもよかったのだろう。だがそれを半魚人と障害を持つ不美女にすることで、いまだかつてなかった斬新さを創造したのである。
それにしても本作は、主役のイライザを演じたサリー・ホーキンスの熱演がなければ完成しなかったに違いない。『しあわせの絵の具』でも熱演していたが、美人でもなく貧相で小さい彼女が、これほどの大女優に駆け上がるとは誰が予測したであろうか。
また本作は第90回アカデミー賞作品賞に輝いているのだが、半魚人の登場するファンタジー作品がアカデミー賞を受賞するなど、一体誰が想像でき得たであろうか。時代の流れとは実に恐ろしいものである。
ただ注意しなければならないのは、残酷なシーンやエロいシーンが所々にちりばめられているので、お子様と一緒に観るのはやめたほうがよいだろう。
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