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2019年2月 3日 (日)

天のろくろ

著者:アーシュラ・K・ル=グウィン

 ジョージ・オアという神経症患者が夢を見ると、現実世界はその夢を微妙にアレンジして大きく改変されてしまう。だがその事実に気が付いているのは、オアと精神科医のヘイバー博士だけであった。
 ヘイバー博士は、脳に刺激を与えて強制的に夢を見させる『増幅機』を駆使して精神治療を続けた。そのためかオアの夢はパワーアップしてしまい、世界はいつの間にか、70億人が消滅したり異星人が到来したりする状況に陥ってしまうのである。

 まともなストーリーなら、夢落ちはタブーなのだが、本作は夢・夢・夢で構成されており、夢落ちだって何でもありだろう。但し結末は単純な夢落ちという訳でもなかった。もしかするとこの世界は、自分自身が創り出した妄想のようなもので構成されているのかもしれない。果たしてそんな哲学的発想が根底にあるのだろうか。

 本書はSFなのか宗教小説なのか、いま一つはっきりしない趣であるが、とにもかくにも読み難いこと甚だしい。これは内容そのものが分かり難いのか、翻訳が下手なのか、その両方なのだろうか。テーマ的には、人口過剰の排除、全惑星の生態学的バランス回復、癌の克服、核と戦争の廃絶、人種差別・貧困・経済的不平等の解消など、非常に興味深いのだが、ほとんどが言葉の羅列だけに終始しているだけなのが残念である。
 また前半は登場人物がたった三人だけだし、最後まで読んでもちょと出の人や異星人を含めてもせいぜい6~7人くらいしか登場しないのだ。さらに状況説明がくどくどと長過ぎてテンポが悪くすぐ眠くなってしまう。この作品や著者の信奉者には申し訳ないけれど、寝苦しい夜には睡眠薬代わりになって、だいぶ役に立ったけどね・・・。(苦笑)

 本作は1969年に発表され、原題は『The Lathe of Heaven』、1972年にローカス賞長編部門賞を受賞していると言う。また2002年にはカナダ・米国の共同制作で映画化も実現している。
 日本では1979年にサンリオSF文庫から出版されているが、いつの間にか絶版となり手に入り難い作品になっていた。だが2006年に復刊ドットコムにより、再び日の目を見ることが出来たという訳である。
 それほど期待されて復刊した本書であるが、前述した通りかなり読み辛く、登場人物が少なく、ストーリー展開が後付けされているだけなので物足りないのだ。もしかすると映像でフォローできる映画のほうが面白いのかもしれない。是非DVDを探して鑑賞してみたいものである。

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