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2019年2月の記事

2019年2月26日 (火)

きみへの距離、1万キロ

★★★☆

製作:2017年 カナダ 上映時間:91分 監督:キム・グエン

 いやに長ったらしい邦題である。確かに超遠距離恋愛を描いたラブロマンスで、原題の『EYE ON JULIET』も判り辛いので仕方ないか…。
 主人公の青年ゴードンは、デトロイトにある警備会社から、北アフリカの油田に設置してある蜘蛛型ロボットを遠隔操作し、石油泥棒を監視する仕事をしている。そしてそこで巡り合った美少女アユーシャにひと目惚れ。そして監視作業をおっぽり出して、少女の日常を覗き見することに夢中になってしまう。

 という訳で、遠距離恋愛と言っても、ゴードンの一方的な思い入れに過ぎない。だがアユーシャには恋人がいた。さらには無理矢理年配の金持ちと結婚させようとする両親のもとから逃げ出して、二人して他国へ駆け落ちしようとしているではないか。アユーシャに同情したゴードンは、二人の駆け落ちを支援するために、彼女宛に大金を送金するのだが・・・。

 序盤はこの作品の意図が分からず、眠くてウトウトしてしまった。だが徐々にこの映画が放つ独特な雰囲気にのめり込んでしまった。なるほど単純なラブロマンスではないし、ロボット絡みのストーカーとは、なかなかユニークな発想である。
 ただちょっと荒唐無稽で無理が目立ち、終盤をはしょり過ぎたところも残念だが、ファンタジーロマンスと考えれば腹も立たないだろう。

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2019年2月21日 (木)

今夜、ロマンス劇場で

★★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:109分 監督:武内英樹

 最近の邦画はマンガを実写化したものや、東野圭吾などの人気作家の小説を原作としたものばかりで、かなり食傷気味であった。ところが本作は良い意味で期待を裏切り、久々に映画らしい邦画を観た気分にさせて貰い嬉しくて堪らない。
 時代背景は1960年頃、モノクロ映画の中から現実世界に飛び出したお姫様と映画監督志望の純真な青年のラブファンタジーである。なんとなく作品全体に『ローマの休日』や『ニュー・シネマ・パラダイス』あるいは『ある日どこかで』などを彷彿させられる雰囲気が漂う。だからオールド映画ファンにはとても心地よいのだ。まさに映画好きが創った映画ファンのための映画といってよいだろう。

 また姫役の綾瀬はるかの凛とした品の良い美しさに、様々に変化してゆく衣装がぴたりとはまりとても印象的であった。そして若き日の純真な青年牧野に坂口健太郎、老いた牧野を演じてこれが映画遺作となった加藤剛と、ともに真面目さを売りにする二人を起用したことも成功している。

 そしてラストに赤いバラと同時にモノクロがカラーに変わるシーンはとても感動的であった。「君の一番欲しかったものをプレゼントしてあげる」とは、まさにこのシーンのことなのだろうか・・・。
 難を言えばストーリーに深味が足りなかったことと、製作費が不足していたことかもしれないが、映像・音楽・配役・衣装・ノスタルジー・初恋・切なさ・涙などを見事に配合した素晴らしい映画だと思う。邦画も捨てたものではないよね。これからもマンガの実写版だけではなく、映画の原点に戻ってこんな真摯な作品も創って欲しいものである。
 

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2019年2月17日 (日)

坂道のアポロン

★★★☆

製作:2017年 日本 上映時間:120分 監督:三木孝浩

 原作は小玉ユキの少女コミックである。原作は未読であるが、マンガとしては上質な作品であり、登場人物たちがマンガにそっくりだったのも微笑ましい。
 オープニングは多忙な毎日を送る医師・西見薫が子供たちにせがまれてピアノを弾くシーンからはじまる。そして10年前に彼が転校先の高校で、不良の川渕千太郎とその幼なじみで委員長の迎律子と運命的な出会いを果たした時代に遡って行く。

 ここから延々と学園ドラマが始まるのだが、彼ら三人は音楽で繋がり、そこに千太郎の兄貴格の桂木淳一とその恋人である深堀百合香が絡んで三角いや五角関係になってしまう。なかなか世の中は上手く行かないものである。そしてやっと落ち着いたかなと思った矢先、またまた残念な事態が勃発してしまうのだ。なんだかわざと不幸を煽っているような展開にかなりストレスが溜まってしまうのだが、ラストは絵に描いたようなハッピーエンドで締めくくられるのでご安心を。

 クライマックスはやはりジャズの演奏シーンなのだが、西見薫役・知念侑李のピアノと川渕千太郎役・中川大志のドラム演奏がともに代役なしで演奏したと知って驚いた。また迎律子を演じた小松菜奈は、決して美人ではないのだが、クールでピュアで何となく謎めいた雰囲気に染まっていて好感を持ってしまった。いずれにせよ爽やかな気分に浸れる作品であることは間違いないだろう。

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2019年2月13日 (水)

まともな男

★★★★

製作:2015年 スイス 上映時間:92分 監督:ミヒャ・レヴィンスキー

 どうも邦題の『まともな男』とは、一体何を意味するのか判断するのが難しい。主人公の「まともな男でありたい」という願望なのだろうか。原題の『NICHTS PASSIERT/A DECENT MAN』はドイツ語なのだろうか。正確には翻訳出来ないのだか、『何も起こらない/まともな男』だとしたらほぼ邦題と変わらないのだが…。

 家族三人(倦怠期の夫婦と高校生の娘)のスキー旅行のつもりが、父親トーマスの優柔不断さから赤の他人が加わって四人になってしまう。それはトーマスが上司に頼まれて、その娘ザラを一緒に連れて来てしまったからである。だが家族団らんの旅行を期待していた妻も娘も、突然のザラの参加には不快感を隠せない。

 ロッジに到着した夜、娘とザラがロッジの管理人の息子セヴェリンに誘われてパーティーに行くことになってしまう。はじめは反対していたトーマスだったが、娘たちの執拗な懇願に負けて外出を許してしまうのである。
 そもそもこれが全ての悲劇の始まりであった。トーマスが深夜に娘たちを迎えに行くと、荒れて不機嫌な娘と街角で悲嘆に暮れるザラを発見する。

 そこでザラは、セヴェリンに強姦されたことをトーマスだけに告白する。彼女は警察には行きたくないし、このことは誰にも喋るなとトーマスにくぎを刺すのだが・・・。
 このあとザラは悩み苦しみ、思考が何度も反転し始める。またトーマスのほうも、このことを誰にも相談出来ず、責任感と保身が絡みあい追い詰められてゆく。そして彼はとうとう封印していた禁断の掟を破ってしまうのである。そして次々と重大な事件が勃発することになってしまうのだった。

 一応この作品のジャンルはコメディ・ドラマとなっているのだが、サスペンスとかスリラーと仕訳したほうが適性のように感じる。ただそうであればあの後味の悪いハッピーエンドはどのように説明すればよいのだろうか。
 スイス映画を観るのは久しぶりだが、やはりハリウッド映画とは全く視点が異なっていてなかなか印象深い作品に仕上がっている。また地味ではあるが、かなり丁寧に練り込まれた脚本と心理描写には脱帽せざるを得ない。

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2019年2月10日 (日)

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

★★★☆

製作:2017年 米国 上映時間:120分 監督:マイケル・ショウォルター

 米国在住のパキスタン人であるコメディアン「クメイル・ナンジアニ」の実話である。主役のクメイルを演じたのは、なんと本人のクメイル・ナンジアニであり、脚本は彼と妻のエミリーの共同執筆だという。

 本作はパキスタン人のクメイルと米国人のエミリーのラブストーリーなのだが、一般的にパキスタンでは、パキスタン人同士の見合い結婚が多いらしい。もちろんクメイルの両親は見合い結婚であり、息子にも見合い結婚を強要し、他国の女性と付き合うなら勘当も辞さないのだ。
 一方のエミリーの両親も、エミリーを傷付けたクメイルに対して好感は抱いていない。だがエミリーが昏睡入院し、その間に共同生活を営んでいるうちに、次第にわだかまりが解け始めてくる。

 この物語は国境と人種と異文化を越えたラブストーリーが謳い文句である。だがそれよりも、クメイルとエミリーの両親とのほんわかとした人間関係にうっとりとするヒューマンドラマとも言えるだろう。そして感情的だが正義感に燃える義母と、包容力のある優しい義父のカップルもなかなか魅力的だったね。

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2019年2月 3日 (日)

天のろくろ

著者:アーシュラ・K・ル=グウィン

 ジョージ・オアという神経症患者が夢を見ると、現実世界はその夢を微妙にアレンジして大きく改変されてしまう。だがその事実に気が付いているのは、オアと精神科医のヘイバー博士だけであった。
 ヘイバー博士は、脳に刺激を与えて強制的に夢を見させる『増幅機』を駆使して精神治療を続けた。そのためかオアの夢はパワーアップしてしまい、世界はいつの間にか、70億人が消滅したり異星人が到来したりする状況に陥ってしまうのである。

 まともなストーリーなら、夢落ちはタブーなのだが、本作は夢・夢・夢で構成されており、夢落ちだって何でもありだろう。但し結末は単純な夢落ちという訳でもなかった。もしかするとこの世界は、自分自身が創り出した妄想のようなもので構成されているのかもしれない。果たしてそんな哲学的発想が根底にあるのだろうか。

 本書はSFなのか宗教小説なのか、いま一つはっきりしない趣であるが、とにもかくにも読み難いこと甚だしい。これは内容そのものが分かり難いのか、翻訳が下手なのか、その両方なのだろうか。テーマ的には、人口過剰の排除、全惑星の生態学的バランス回復、癌の克服、核と戦争の廃絶、人種差別・貧困・経済的不平等の解消など、非常に興味深いのだが、ほとんどが言葉の羅列だけに終始しているだけなのが残念である。
 また前半は登場人物がたった三人だけだし、最後まで読んでもちょと出の人や異星人を含めてもせいぜい6~7人くらいしか登場しないのだ。さらに状況説明がくどくどと長過ぎてテンポが悪くすぐ眠くなってしまう。この作品や著者の信奉者には申し訳ないけれど、寝苦しい夜には睡眠薬代わりになって、だいぶ役に立ったけどね・・・。(苦笑)

 本作は1969年に発表され、原題は『The Lathe of Heaven』、1972年にローカス賞長編部門賞を受賞していると言う。また2002年にはカナダ・米国の共同制作で映画化も実現している。
 日本では1979年にサンリオSF文庫から出版されているが、いつの間にか絶版となり手に入り難い作品になっていた。だが2006年に復刊ドットコムにより、再び日の目を見ることが出来たという訳である。
 それほど期待されて復刊した本書であるが、前述した通りかなり読み辛く、登場人物が少なく、ストーリー展開が後付けされているだけなので物足りないのだ。もしかすると映像でフォローできる映画のほうが面白いのかもしれない。是非DVDを探して鑑賞してみたいものである。

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