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2018年10月の記事

はじめてのおもてなし

★★★★

製作:2016年 ドイツ 上映時間:116分 監督:ジーモン・ファーフーフェン

 ドイツが創ったヒューマニズムコメディーで、いま国際的に大問題となっている『難民』問題を中心題材にしたファミリードラマである。従って家族全員と難民の青年が複数主人公となる。
 病院を辞めず、がなり立ててばかりいる医長のリヒャルトと、元校長だった妻のアンゲリカの夫婦が二人だけで住んでいた。そこに離婚した長男が孫を連れ、31歳になっても大学生の長女が帰郷してくる。
 ところがそこに、アンゲリカの希望で難民受け入れを決行し、ディアロというナイジェリアから亡命してきた青年が同居することになってしまう。

 ストーリー構成は分かり易くてテンポが良く、難民を受け入れたことによるファミリーの変化が丁寧に、かつコミカルに軽妙に描かれている。また貧しい国の難民にとっては平穏無事な普通の生活こそ幸福なのだが、裕福な国の人々にとっては、退屈でストレスの多い不満だらけの生活になってしまう。
 そうしたギャップを痛快に対比させて感動させてくれるのだ。もし邦画でこうしたテーマを映像化すると、かなり重々しく息苦しい作品になってしまいそうだ。
 それを飄々と軽妙なタッチで描きながら、ハッピーエンドにまとめてしまうところが実に見事ではないか。久々に楽しく良質な作品に出逢って、気分の良い夜を迎えることが出来た気がする。

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クワイエット・プレイス

★★★☆

製作:2018年 米国 上映時間:90分 監督:ジョン・クラシンスキー

Cplace
 製作費が1700万ドルで、登場人物は約7人+モンスター3匹、主演は監督・脚本・製作総指揮の4役をこなしたジョン・クラシンスキーで、その妻役も実際の妻が演じている。なんとなく中小企業的な映画であるが、米国でのオープニングでなんと5000万ドルを超える興行収入を記録し、初登場第一位を獲得したのだという。

 サブタイトルというかキャッチコピーは『音を立てたら即死。』であり、宇宙から飛来した怪物のために世界中が壊滅状態に陥っていた。この怪物は目が見えないのだが、逆に聴覚が異常に発達しており、どんな小さな音をも聞き漏らさずに襲い掛かってくるのだ。
 まず冒頭で末っ子が、おもちゃをいじって音を立てたために、あっという間に怪物に襲われ殺されてしまう。そして生き残った家族4人と胎児のサバイバルシーンへと繋がって行くのである。

 この映画では『音』を立てないことが肝になっていて、会話はほとんどなく全編が手話と字幕(英語と日本語)で進んで行く。ただどのくらいの音を立てると怪物がすっ飛んでくるのかは、全く明らかにされていない。ただ滝などの自然の大きな音には無反応で、その中では会話も可能なのである。また音を立てないため、全員が裸足で歩いているのだが、生活音を消すことは不可能であり、赤子の泣き声もさえぎることは出来ないのに、それらには余り敏感ではないのも解せない。
 まあいちいちツッコミどころをあげつらっていてもきりが無いし、そもそも宇宙から飛来した怪物そのものがあり得ないことなので、おとなしく素直に鑑賞するよりないだろう。

 序盤は淡々と流れてやや退屈だったが、留守番役の妻が急に産気づいてしまったころから急にドキドキし始めてくる。ただこのあとバタバタと急展開したかと思うと、これからクライマックスシーンへ突入という場面で、いきなりエンディングクレジットが流れてしまうのである。
 かなり尻切れトンボな終わり方で、次に続くのかと思わせるのだが、この家族の戦いはこれでお終いと考えたい。また続編が計画されているらしいが、別の家族の話になるのではないかと想像している。

 米国で大ヒットしたというほど極端に面白い映画でもなかったが、だからと言ってつまらない映画でもない。いずれにせよこの映画の眼目は『会話無しでどれだけ観客を引き付けられるか』であり、その意味ではほぼ成功したのかもしれない。ただあれだけの少ない配役なのだから、せめて長女役の女優については、悪いけれどもう少し愛嬌のある娘を選べなかったのだろうか。これが上映中に一番気になっていたことかもしれない・・・。

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散り椿

★★★★

製作:2018年 日本 上映時間:112分 監督:木村大作

Chiritubaki
 監督:木村大作、脚本:小泉堯史、音楽:加古隆と花の70代トリオが揃えば、まずは完璧な時代劇映画を連想してしまうだろう。もちろん期待通り超美麗な映像と、ジイーンと胸に沁み込むストーリーに、流れるような音楽はほぼ期待通りだった。それだけは間違いなかったのだが…。

 主役の岡田准一をはじめとして、黒木華、麻生久美子、石橋蓮司、富司純子、奥田英二などは見応えのあるりっぱな演技力を誇示していたと思う。ところが演出が全て役者任せだったのか、セリフまわしが現代風で違和感の漂う俳優が数人目立っていたことが非常に残念であった。何故かと言えば、本作は黒澤明風味の本格時代劇であり、最近流行りのコミック発のバタ臭い時代劇ではないからである。

 さて最早TVの民放地上波では、時代劇はほぼ消滅してしまった感がある。それどころか最近は映画においても、本作のような本格時代劇の製作が少なくなってしまったのはなぜであろうか。
 それは時代劇に耐えられる風景が少なくなったことや、時代劇専門の撮影所が少なくなり製作費がかかること、現代の若者たちがシビアな時代劇を余り好まないこと等が原因と考えられる。更にはそのために時代劇を演じられる俳優が極端に減少してしまったことも、時代劇不調を増幅させているのかもしれない。

 そんな中で主演の岡田准一が、数少ない時代劇の出来る俳優として頑張っているのは非常に喜ばしいことである。日本が世界市場でも絶対的に負けない誇れる映画と言えば、本格時代劇をおいてないことは間違いのない確かな事実ではないか。
 また今後若者たちや外国人を引き込むためにも、本格的でありながら派手さも兼備した忍者映画や剣豪映画の製作なども忘れてはならない。黒澤時代に戻れるわけではないが、かつてのような時代劇ブームの再来と、時代劇俳優の質の向上を願ってやまないのは、決して私だけでは無いはずである。

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百日告別

★★★☆

製作:2015年 台湾 上映時間:96分 監督:トム・リン

 交通事故で婚約者を失ってしまった女性・シンミンと、同じ事故で妊娠中の妻を亡くしてしまったユーウェイの悲しみを描いたヒューマンドラマである。
 最初は同じ悲しみを共有した二人の恋愛物語なのかと錯覚してしまったが、冒頭に記した通りあくまでもヒューマンドラマであり、ラブストーリーではなかった。突然最愛の伴侶を失った男女を襲った悲しみと苦しみを、百日まで追いかけてその葛藤を丁寧に描いた作品と言えよう。

 そして淡々と続く二人の心の傷は、百日経っても癒されないのだが、なんとなく微妙な余韻を感じるラストシーンは印象的であった。ただ惜しむらくは、二人のストーリーをパラレルに描き過ぎたため、それぞれの時の流れを把握し難かったこと、男優の顔付きにいま一つ共感を持てなかったことだろうか。決して悪い作品ではないのだが・・・。

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コーヒーが冷めないうちに

★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:117分 監督:塚原あゆ子

Coff
 川口俊和の小説を映画化した作品である。過去に戻れる席(ある意味でタイムマシンの役割)のある喫茶店を舞台に、そこに訪れる客たちが体験する摩訶不思議な体験が描かれている。
 ただ過去に戻るには、非常に面倒ないくつかの掟があった。
1.過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。
2.過去に戻っても、喫茶店を出る事はできない。
3.過去に戻れるのはコーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4.過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事ができない。

 という五つの約束である。
 これらの掟の中でも、「コーヒーが冷めるまでのタイムスリップ」というところが本作のミソであり、『謎の先客』の存在理由でもあるのだ。

 さて本作で過去に戻った客は三人である。
 アメリカへ旅立ってしまった幼馴染と喧嘩別れしたままの独身キャリアウーマン・清川二美子(波瑠)
 若年性アルツハイマーに侵された妻(薬師丸ひろ子)を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)
 故郷の妹に家業を押し付けて家出したスナックママ・平井八絵子(吉田羊)

 彼等のショートストーリーもそれなりに楽しめるのだが、なにせ時間的に描き方が中途半端なため、感情移入するゆとりが得られない。結局彼等はこの作品を彩るアクセサリーの一部に過ぎないのであろう。
 やはり本当の主役は、喫茶店で過去に戻るためのコーヒーを注ぐウェイトレス時田数(有村架純)なのだった。序盤の彼女はミステリアスで、陰気な雰囲気の漂う旅先案内人のようであった。
 ところが客の一人である大学生・新谷亮介と親しくなってからは、だんだん打ち解けはじめて、暗い過去の拘りが明らかになってくるのだ。そして謎の先客と彼女の秘密も解明されてくる。

 そしてラストのどんでん返しが花開き、タイムトラベルもののお約束のような見事な収束で幕を閉じるのである。またこの展開を分かり易く説明するような、エンドロールの映像配置もグッドタイミングだし、音楽もなかなか良い味付けに仕上がっていた。
 ただ登場人物が少なく、ほぼ喫茶店の中だけの話に終始するため、劇場映画というよりはテレビドラマで十分だったかもしれない。まあいずれにせよ、原作が良かったのか脚本が良かったのか、そこそこ泣けるし後味の良い楽しい映画であることは間違いないであろう。

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キングスマン:ゴールデン・サークル

★★★☆

製作:2017年 英国 上映時間:140分 監督:マシュー・ヴォーン
 
 本作を一言で評価すれば、『007にコミカルタッチとエグいシーンを盛り込んだスパイ映画』と言ったところか。また本作より3年前に製作された初回作のほうが、好評価を得ているようだが、この続編もそれなりに楽しめたので大きな不満は湧かなかった。
 ただ映画開始直後、キングスマンの組織がいきなり壊滅してしまうのは、ぶっ飛び過ぎではないだろうか。またジュリアン・ムーアのおバカっぽい悪女も、なんとなく鼻につく。それに本物のエルトン・ジョンが、エルトン・ジョンを演じていたのは笑えるのだが、必要性に乏しいし余りにも馬鹿々々しいではないか。さらには人間ミンチに至っては、もう勘弁してよと文句を言いたくなってしまった。
 と言った具合に、かなり問題点とツッコミどころ満載なのだが、それらを遥かに乗り越えてしまうパワーと面白さを併せ持っていることも確かであろう。あとはこの映画を観る人の趣味と感性の世界ではないだろうか・・・。まあそれはそれとして、本作より評価の高い初回作も是非鑑賞してみたい。ただ第三作目はもう不要かもしれないね。

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