万引き家族
★★★☆
製作:2018年日本 上映時間:120分 監督:是枝裕和
リリー・フランキーの夫に対して安藤サクラの妻や子供たちとは、ちょっと年齢が離れ過ぎているよね。・・・なんて考えていたのだけれど、本作を鑑賞してその理由が分かった。
つまり何か変な祖母だと思っていた樹木希林や、安藤サクラの妹なのかなと考えていた松岡茉優も含めて全員が、赤の他人だったという結末なのである。それを言っちゃあネタバレじゃないのと、叱られてしまいそうだが、それを言わなければこの映画に対するコメントは何も書けないのだから仕方がない。
赤の他人同士なのだが、皆それぞれが『深い心の傷』を背負っており、誰かと寄り添って生きてゆきたいという裏願望を持っている。だから赤の他人同士が家族を装って一緒に暮らしているのだろう。
本作はタイトルの万引きだけではなく、児童虐待・殺人・独居老人などの社会問題にメスを入れている群像劇とも言える。従って本来はとても暗くて陰湿なドラマになりそうなのだが、出演者の多くがおとぼけ風味を身上とする役者さんで固められているためか、以外に明るく楽しく鑑賞することができた。多分そのあたりは、是枝マジックによる味付けなのかもしれない。
さて本作では『三度目の殺人』で描き切れなかった『法律的な悪と実質的な善』という矛盾したテーマを再提出し、もう砕いて分かり易く描くつもりだったのであろうか。だが分かり易くなったものの、やはり結論は出せずに尻切れトンボ的な終わり方でお茶を濁しているようであった。
本来はテアトル新宿あたりでの単館上映になりそうな作品なのだが、カンヌ最高賞の受賞によりメジャーなシネコンなどで上映それることになったのだろうか。それなりに良い映画であることは否めないが、私自身が勝手に期待していた『感動の涙』を流すようなシーンは最後まで見ることが出来なかった。それだけが心残りだったかもしれない・・・。
また昔どこかで同じような臭いのする映画を観たことがあると感じながら鑑賞していたのだが、それはまぎれもなく是枝監督の出世作『誰も知らない』であった。
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0
コメント